ぴあピアノ教室 in 目白

豊島区目白にある
小さなピアノ教室のページです。
日々の出来事を綴っています。

不安の果てに

2014-02-17 13:26:10 | レッスン
年末から1月半ばまで、
お家の都合でレッスンが抜けてしまったMちゃん。
久々にレッスンに来た1月は不安で不安で仕方なく、
私にすがるような表情だったのが印象的だった。
お母さまからは「レッスンを追加してほしい」
とお願いもされていたけれど、
申し訳ないけれどお断りした。

今じゃない。Mちゃんのあの不安は、
誰かに頼ることで払拭されるものではないから、
自分自身の力で進めるようになってから。
その前に手を貸したら
一人で前へ進めなくなってしまうから。

これは賭けに近かった。
発表会前だし、仕上がらなかったら、
一番辛いのはMちゃん自身だから。

でもね。

闇雲に弾いていたMちゃん。
まずは、落ち着いて楽譜を読むことから始めた。
いつもなら、丁寧に音符を数えることができていたMちゃんが、
不安に飲まれて、それら全てに背を向けていたから。
曲の中の分からない音を数える。
早く曲を仕上げたいMちゃんは、
冷静に数えることができない。
私が何の音か教えてくれるのをひたすら待っている。
「出来るよ」とMちゃんに伝え、見守り続ける。
私にはこれしか出来なかった。

翌週、Mちゃんは自分が数えたものが合っているのか、
不安顔でやって来た。
殆んど合っていて、いくつか違っていた。
それらを一緒に数え確かめた。
「これで大丈夫だよね?」と念を押す。
そして、
難しいいくつかの箇所を
そこだけ、どれだけゆっくり弾いてもいい、
正しい指、正しい音で弾く、
これを日に10回ずつ練習すること、
と課題を出した。

そしてまた翌週、Mちゃんは少し笑顔でやって来た。
出された課題はきちんとこなしていた様子。
それでもまだ、目をつぶって最後まで全力で駆け抜けてしまえ!
という感じの演奏からは抜けきれない。
そこで曲全体をパーツ分け。
この部分は、スタッカートとスラーがきちんとできているか、
それを聞き取れる速さで弾いてごらん。
Mちゃんが弾いてみる。
どうだった?と聞くと、分からない、と答える。
当然、速さはこれまでと変わっていなかったし、
言われたことを気にして弾いている様子もなかったので、
この答えには予想がついていた。
じゃ、このくらいの速さで弾いてごらん、と速さを提示。
言われた速さで弾くMちゃん。
どうだった?と聞くと、ん~~どうかな?とMちゃん。
じゃ、もう一回!
またどうかな?と聞くと、今度は「ここがダメだった」と。
おぉ!やっと聞こえるようになってきたね。
他のところもそうやって、自分でチェックしながら弾くんだよ、
と話した。

そしてまたまた翌週。
Mちゃんの表情は既に自信のあるいい笑顔だ!
演奏なんて聞かなくたって分かる。
もう大丈夫!

自分で何をどう弾くかが分かっているから、
自分でそれらをチェックできているから、
何をすればいいかが分かっているから安心なのだ。

いい笑顔だ。

Mちゃんが地道に弾き続けるのを、
黙って静かに見守り続けて下さったお母さまに感謝だ。
通奏に逃げることなく、言われたことを着実に、
自分に甘えることなく頑張り続けたMちゃんに拍手だ。

実は感動してちょっと泣きたくなってしまった私だけれど、
発表会本番はまだ少し先。
そこまでは泣くのはやめよう♪

でもでも、
Mちゃん、偉いね!!!
嬉しいよ♪
コメント
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