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趣味いろいろ。2014/9に別ブログを合体したので、渾然一体となってしまいました(笑)

HoME7 XVI : The Story Foreseen From Lorien (2)

2005-12-12 23:48:26 | Tolkien・HoME
この下書きは,相変わらず「1940年夏の試験用紙」に書かれているそうです。ボロミアの「おせっかい」は,XI The Story Foreseen From Moriaでは,Angle(=ロスロリアン)で起きたとされますが,この下書きでは,「Stone Hills」に変わっています。今回の同じ下書きの中でも,場所が,最初は湖を渡ってから,だったのが,「途中書き直し」で,湖を渡る前,に変わっていたりとか,なかなか興味深いですね。

下書きメモはさらに続きます。

<Sketch>
Stone Hillsでのボロミアとフロドの会話。Eredwethion(=Mountains of Shadow 後のエフェル・ドゥアス)がぼんやりと見える所で。
「我々の心を重くし,物事を複雑にしているのは『小さな物』だ。私はエルロンドの館でちょっと見ただけだ。もう1度見せてもらえないか?」見上げるフロド。突然彼の心は冷たくなる。彼はボロミアの目におかしな輝きを見る。「これは人の目に触れないのが1番よいのです。」するとボロミア,「好きなようにしたまえ。しかし私はその指輪について語りたいのだ。(隠されていようがいまいが話をしたい?)」

ボロミアは,エルロンドその他は馬鹿だと言う。敵に対して使わないのは気違い沙汰だ,エルフも半エルフも魔法使いも堕落しているのではないか,しかし人間は違う。例えばホビットである君は平和を望んでいるだろう。考えてみよ,もし私か-アラゴルンか(君が望むなら)なら,「できる」ではないか! これは自由に使える力を与えてくれる物だ!

それでもエルロンドは,棄てるだけでなく,破壊しろと言う。それはわかるが,敵に捕まえるチャンスを与えるようなものだ。

フロドは強情

ボロミア「ミナス・ティリスに一緒に行こう」と友好的に肩に手をかけるが,フロドはボロミアの手が興奮を抑えるように震えているのを感じて,後に引く。

「君は何故そう友好的にないんだ? 私は勇敢で忠実だ。私がそれを取ったりするつもりではないと約束しよう。‥もし貸してくれるなら‥ちょっと試しに!」

「だめです!だめです!」とフロド。(追加:これは私のみに課せられた物です。It is mine alone by fate to bear.

ボロミアはますます怒り出し,「お前は馬鹿だ! 指輪はお前の物ではない! たまたまお前が持っているというだけだ! それはアラゴルンか,私が持った方がよい! よこせ! お前は任務からはずされた! 私を責めるがよい! 私はお前には強過ぎるからな!」そして彼の美しく愛想の良い顔が醜く変わり,フロドに飛び掛ってきた。

フロドは指輪をはめてその場を逃げ出すしかない。ボロミアは我に帰ってフロドに詫びるが,フロドは恐ろしくなり,ボロミアがキャンプに帰っていくまで隠れている。そして彼は遠くにモルドールを眺める‥‥。

フロドは1人で考える。指輪の邪心は既に仲間の中にも忍び込み,彼自身にも入り込んでいる。(また指輪をはめてしまった) 彼は,これは自分の役目,誰も指輪所有者を助ける事はできない。これ以上ホビット達や他の仲間を危険にさらすわけにはいかない,1人で行こう。

一方ボロミアは彼自身の行いに恐れを抱き,仲間に何と話そうと思って歩いていると,サムがやってくる。サムは「旦那はどこに?」と尋ねるとボロミアは「丘の上に置いてきた。」サム「旦那に何しただ?」ボロミア「私は何もしていない。彼は指輪をはめて消えた。それだけだ。」サムは「よかった。島はそんなに広くない。」と思う一方「あの大きな馬鹿野郎は何を企んでいるんだ?」とも考える。彼はボロミアにはそれ以上何も言わずにキャンプに戻り,トロッターに「フロドの旦那がいなくなった!」と言う。

驚愕,そして捜索,ある者は島中探し回るが,サムはボートが1つなくなっているのを発見。やがてトロッターはフロドの意思に背いて連れ戻すのは諦める。しかし,できれば彼を追いたいが,どこへ?
</Sketch>

「島」だったのですね。気が付きませんでした。(汗) さらに,驚愕の(笑)下書きが

<Sketch>
「島」をもっと近づき難いものにするか?黒い鳥が崖の上や頂上を舞うとか。Dantruinel(ラウロス)の滝の音。彼らは西の岸へ。ピピンとメリーは別々に行動する。サムは座っていて無くなったボートを発見。彼はもう1つのボートを漕ぎ出し,フロドを追う。
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しかし,実はこのすぐ後,彼らがキャンプしたのは「島」ではなく,湖の西側の岸という事に落ち着いたそうです。

<Sketch>
ボロミアは「西」を指示。彼は指輪がもう敵の手に堕ちている事を恐れ,その為に自分は狂気に襲われた,と言い,できるだけ早くミナス・ティリスに行く事を希望。
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この事件はどうもボロミアの事ばかり気になってしまいますが,実はフロドの側も他の人に指輪を渡したくないという力が働いていたんだなあというのがわかる下書きです。

XI The Story Foreseen From Moriaでは,ボロミアはミナス・ティリスにアラゴルンと一緒に行く事になっていましたが,まだ相変わらずそんな感じです。彼とフロドの事件があった後,正式版ではオークが襲ってきますが,この時点ではそんな様子もありませんね。メリーとピピンも何かバラバラになりそうだし‥(汗)また正式版とかなりセリフも違います。モリアやロスロリアンのようにほぼ最初から正式版に近いものができたシーンもあれば,ここのようにいろいろとんでもない変遷を遂げる所もあるのですね。


その後サムは1人でフロドを追うのですが,どうやって追ったのかは,また明日。

Run!Run!Run!