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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

「介護離職ゼロ」のお手本はスウェーデンに

2015年10月22日 | 格差社会
  =スウェーデン=
 ◆ ケアハウスの介護士に6時間労働 (労働情報)


 ヨーテボリ市の高齢者介護施設、スバルテダレンズ(介護士数82人)では今年2月から、介護士の労働時間が8時間から6時間に短縮されている。賃金は同じである。
 この労働時間短縮の実験のために新規に14人を雇用し、コストが増加したが、スタッフの福祉が充実して、ケアの質が改善され、実験は成功だと評価されている。
 介護助手のリセロッテ・ペテルソンさんは「これまではいつも疲れ切っていて、家に帰ったらソファに倒れ込んでいた。しかし、今は、もっときびきびと動けるし、仕事に集中できる。家族の生活も楽しめる」と語っている。
 高齢者(認知症の人もいる)の介護は常に緊張と創造性が求められるが、1日6時間なら高いレベルのケアを提供できるとペテルソンさんは言う。
 彼女によると「高齢者にストレスを感じさせてはいけない。そうでないとみんなが一日中不機嫌になる」。
 ルンド大学の研究者(ビジネス管理)のローランド・ポールセン氏によると、スウェーデンでは20世紀に労働時間が徐々に短縮されてきたが、最近十数年の間に労働時間が長くなっている
 これは歴史上初めてである。労働密度も強化されている。

 彼は「1970年代と比べて労働生産性は2倍になっている。論理的には1日4時間労働も可能だ。問題は生産性向上の成果をどう配分するかだ。労働時間の短縮はユートピアではなく、これまでやってきたことだ」と語っている。
 ヨーテボリのトヨタのサービスセンターでは13年前に、36人の修理工に6時間労働が導入され、その結果、離職率が下がり、新規採用も容易になったという。
 新興のインターネット企業のブラス社も、3年前の創業時から6時間労働を導入している。同社は優秀なスタッフが集まってくるため、競争上の優位を確保している。
 90年代に賃下げなしの6時間制導入のいくつかの試みがあった。北部の鉱山都市キルナの高齢者介護施設や、ストックホルムの託児所などである。
 しかし2000年代に市政が右派に移ったのに伴って、この実験が打ち切られた。
 ストックホルムにおける経験の評価に参加したルンド大学のビルギッタ・オルソン教授は「実験の打ち切りは政治的な決定だった。彼らはコストがかかりすぎると言った。しかし、それは良い投資だった。雇用が増え、健康が増進され、より良い労働条件を享受できた」と指摘する。
 ヨーテボリの市議会の多数派が中道左派連合から保守リベラル連合に移行したため、この実験が来年に打ち切られる可能性が高い。
 スウェーデン最大の労働組合センターであるLOは6時間労働の導入について沈黙してきたが、LOの研究員のジョア・バーゴールド氏は「ヨーテボリの経験は大きな象徴的な意味を持っている」と述べている
 (英国「ガーディアン」紙9月17日付)

『労働情報921号』(2015/10/15【アジア@世界】)

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