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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

教師の身分の不安定化

2010年06月17日 | 人権
 《子どもの権利条約カウンターレポート(DCI)》から VIII-10-3
 ◎ 教師の身分の不安定化

 (1)教員免許更新制の導入

 2007年6月に教育改革三法の一つとして改正された教育職員免許法は、それまで終身有効とされていた普通免許状と特別免許状に10年間の更新制を導入した。
 これにより、上記免許状を所持する教員は、免許状の有効期限の満了前に、大学等を開設主体とする30時間以上の免許更新講習を受講することが義務づけられることとなった。さらに、重要なことには、更新講習の修了認定が受けられないまま、有効期間が満了した場合、当該教員の所持する免許状は失効するものとされ、現職教員の場合は、免許状の失効によりその職を失うものとされたのである。
 文科省によれば、免許更新制の目的は「教員のリニューアル」にあるとされているが、免許状の失効が即失職へと結びついている以上、それは10年ごとの実質的な任期制を導入したといえる。ゆえに、全国の教師達は、更新制の導入により自分が失職するのではないかとの大きな不安を抱いている(基礎報告書035)。
 他の公務員職に類例をみない事実上の任期制の導入は、教員身分の不安定化をもたらし、教師という職の魅力を奪っている。
 また、教員免許状は各教員個人の資格の問題とされているため、更新講習は職務内研修として位置づけられていない。このため、更新を必要とする教師は、夏季休業や土日休日、勤務時間終了後の夜間に講習を受けることを強いられている。
 夏休みの講習に関しても、2002年以降、東京都をはじめ多くの都道府県は長期休業の間も原則出勤が義務づけられているため、免許の更新を必要とする公立学校教員は、職務専念義務の免除を受けるか年休をとって更新講習を受講しなければならない。
 学校週5日制の完全実施に伴い、教師の労働密度が過密化し、勤務時間外の残業や、休日出勤に伴うサービス労働が深刻化している中、免許更新制は教師の多忙化をさらに促す役割を果たしている。

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