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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

東京地裁・高裁の根拠が疑わしい差別警備

2013年03月04日 | 平和憲法
 ◆ 年1億円かけた差別警備に疑問持たぬ記者クラブ員
三宅勝久(ジャーナリスト)

 ある刑事事件の傍聴に東京地裁・高裁(以下東京高裁)を訪れた際、身体検査のために長蛇の列をなす傍聴希望者の脇で、はしゃぎながら別の入ロから入る記者クラブ記者の姿があった
 東京高裁の入ロは職業別にふたつに分かれている。看板によれば「一般来庁者」「職員・弁護士・検察庁職員」だ。
 右へ行くと衛視や民間警備会社社員が立ちはだかっていて、手荷物はX線検査機に、体は金属探知機をくぐらされる。音が鳴れば携帯式の金属探知機で股間や脇の下をまさぐられる。ときに靴を脱がされ、手でポケットを触られる。
 テロ容疑者なみの徹底検査を受ける「一般人」を横目に、「左」から入る者たちは、バッジや身分証をチラと見せるだけで素通りしている。職員は会釈で応じている。
 看板には「弁護士」などとなっているが、じつはそれだけではない。
 警察官や、記者クラブに属する新聞・テレビ・通信社の社員ら無検査で入れている。
 裁判所の職員は二万人あまり、弁護士は約三万人、検察庁職員が約一万二〇〇〇人で警察官は約二五万人。無検査組は全国で合計三〇万人を超す。
 しかも東京高裁管理課によれば、来庁目的が職務かどうかは不問だ。身分証の確認も杜撰にみえる。
 刑事被告人の職員や警察官も身分証があれば無検査で入っているのかと聞くと、「そういうことになります」と管理課職員は答えた。
 新聞・テレビ・通信社は社員証だけで通過。記者クラブは排他的で公共性のない任意団体。お得意様の企業に裁判所が便宜をはかっているとしかみえない。
 管理課によれば、来庁者を検査する根拠は「裁判所の庁舎等の管理に関する規程」だ。
 だが規程に、検査について明記された部分はない。むろん検査対象を職業で分けるなどといった記載もない。
 情報公開で開示された文書によれば、根拠薄弱で効果が疑わしい警備は年間一億円国際警備㈱や首都圏ビルサービス協同組合が受注。
 X線検査機は㈱日立エンジニアリング・アンド・サービスから四六七万円(二台)で購入した。保守点検として年間約三一万円。金属探知機は一台約四五万円だ。
 警官が殺人を犯す時代だ。検査をするなら職業を問わず全員やるべきでは」-東京高裁に質したが、「現在の庁舎管理の方法に問題はない」というだけだ。
 南アフリカのアパルトヘイトは法律で定めていた。日本は「法の番人」がやる分たちが悪い。だが、新聞・テレビが報じた例はない。
 差別検査の責任者は岡健太郎高裁事務局長。前任者の安浪亮介氏は最高裁事務総局人事局長に出世した。
 司法記者クラブ(幹事社・読売新聞』)は取材に対して「東京高等裁判所の警備に関することであり、当クラブとしてお答えしかねます。ご賢察下さい」と説明を拒否した。
 「名誉白人」待遇に嬉々としているとすれば、遠からず読者に見放されることだろう。
『週刊金曜日 932号』(2013/2/22【メディア一撃】)

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