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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

レーダー照射事件の原因は安倍首相の挑発だった!?

2013年03月15日 | 平和憲法
 ◆ 中国軍部怒らせた安倍「タイヤモンド安保」
高島伸欣(琉球大学名誉教授)

 尖閣諸島に近い東シナ海で、中国軍艦から自衛隊のヘリコプターと護衛艦が、射撃管制用のレーダーの照射を受けた、という。
 この件が二月五日の夜に防衛大臣から緊急に公表されるや、日本国内大半のメディアは一斉に「危険な挑発」とし、中国非難の論調で足並みを揃えている。
 以後、週刊誌や夕刊紙はまるで開戦前夜であるかのような、扇情的報道を展開している。それでも、少し冷静な報道では、あくまで偶発的なものだとして、再発防止策を求めている。その点で政府のホットライン設置案が支持され、安倍政権は点数を稼いだ形だ。しかし、ことは偶発的なものではない
 安倍首相本人こそが、中国側に「宣戦布告だ!」と受け取られかねない挑発的な発言を昨年末にしていたのだ。
 それは、安倍内閣発足の翌日、一二月二七日に国際言論NPO「プロジェクト・シンジケート」(本部はチェコ)のウェブ上に、安倍晋三首相本人名で発表した英文の論文で、題名は「アジアの民主主義的安全保障ダイヤモンド構想」。骨子は、日本と米国、それにインドと豪州の四力国を結ぶ「ダイヤモンド型の安保体制」をもって、中国包囲網の形成をしようというものだ。
 安倍氏は東シナ海と南シナ海で勢力拡大中の中国の牽制をめざし、このダイヤモンド体制を基軸にした東南アジア諸国との連携も、画策している。
 麻生副総理を同地域に派遣し、岸田外務大臣を豪州に行かせたのも、そのためだ。
 また、首相自身も一月中の日米会談開催を拒否されると最初の外遊先を東南アジアにした。ダイヤモンド構想を、安倍首相は着実に実行している、と一月一四日付『産経新聞』は評価した。
 ネットでも安倍論文を支持するコメントや動画が載り、日本語訳の拡散を呼びかけるなどしている。
https://www.youtube.com/watch?v=LhkUy5hfmoQ
 だが、同論文の危険性を真正面から指摘したメディアがある。『週刊アサヒ芸能』一月三一日号(一月二二日発売)だ。
 同誌の記事のタイトル「中国に“宣戦布告”した『安倍論文』の過激すぎる挑発全容」は、多少の誇張も含みながら、要点を指摘している。安倍論文は、中国側が「宣戦布告だ!」と激怒してもやむをえない代物なのだ。
 それに、インド洋と太平洋を結ぶ南シナ海を抑えるのが日本の国益に叶うという発想も古い。アジア侵略を正当化した戦時中の皇国地政学が唱えた「大東亜海」支配の論理の焼き直しだ。
 そのような構想にインドや豪州が乗るはずがない。また、インドも豪州も中国は重要な貿易相手国だ。
 岸田外相がカー豪州外相「中国を封じこめる考えはない」と一蹴されたのも当然だろう。
 もともと、米豪ニュージーランド三力国のANZUS条約は、天皇制を残した日本を仮想敵国にした安保条約として締結されたものなのだ。
 南シナ海における中国の領有権の主張には、戦時中に南沙諸島を日本軍が占領し、台湾に所属させていたことも含まれている。
 おまけに安倍首相は「従軍慰安婦」問題で世界中から顰蹙を買っている
 日本の侵略行為の事実とその責任を認めることを「自虐的」とし、歴史教育の「是正」を選挙公約にしたのが安倍氏だ。
 人権問題に敏感なオバマ米国大統領が、会見を嫌がった原因が自分にあることを、安倍首相はまるで気付いていないように見える。
 安倍氏は今や「裸の王様」同然の状態だ。
 そうなったのは、お気に入りの人物ばかりを登用しているためだ。国内はそれで誤魔化せても、国際的には通用しない
 歴史を知らず、歴史に学ばない首相に「安倍包囲網」が形成されつつある。安倍内閣の命運は危うい、とさえ思われる。
 ところで、安倍論文の危険性にいち早く気付いたのは自由主義の“お色気雑誌”だった。
 戦前の思想統制では、共産主義と無政府主義の前に弾圧されたのが、自由主義者たちだった。新自由主義者の危険な本性を、正統自由主義者たちは的確に見抜いている。大手マスコミは無為無策か。
 (たかしまのぶよし)

『週刊金曜日 933号』(2013.3.1)

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