公民も「つくる会」教科書を採択
●白鴎情報通信●
2006/7/30 Vol31
「白鴎高校附属中学の教科書問題を憂慮する『白鴎有志の会』」の電子メール通信です。 (発送責任者)尾形修一
▼━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━▲
ちょっと報告が遅れてしまいましたが、都教委は27日に、白鴎高校附属中学校の公民教科書に、扶桑社を採択しました。
11時半から、抗議の記者会見を行い、白鴎有志の会からも同窓生の立場から、反対の意思表示をしました。
しかし、残念ながら、新聞各紙には、我々の抗議活動どころか、採択の事実自体極めて小さな記事にしかなりませんでした。
委員会では、予想通り米長委員は欠席しましたが、残り5人の「全員一致」でした。
現場の意見を聞かず、教育委員が決めるという建前から、委員会の場で初めて協議を行うものとされ、その場で投票が行われました。
が、昨年と同様、全員一致のため、実質的な「協議」はなく、そのまま「扶桑社採択」の原案となり、決定されました。
昨年の採択で、養護学校等の公民教科書に、扶桑社を採択しています。
しかし、建前としては、中高一貫校は各校別に、教科書の調査研究を行い、それを基に判断することになります。
その調査研究資料及び、採択資料は、採択の当日に都教委ホームページに公開されています。
http://www.kyoiku.metro.tokyo.jp/press/pr060727k.htm
この、採択資料を見ても、決して扶桑社が一番ではないことも、例年のとおり。
白鴎附属中は、日本の伝統文化を重視する学校とされています。
そのことの是非はともかく、それなら扶桑社がふさわしいようにも思うかもしれませんが、
採択資料によれば、日本の伝統文化を扱う数が最も多い教科書は、扶桑社ではなく、大阪書籍になっています。
教科書を、単に教材を数値化して評価すること自体、全然意味がないと思いますが。
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この扶桑社の公民教科書は、全国で0.2%というシロモノです。歴史は0.4%で、つまり歴史の半分。
歴史もひどいけど、その歴史を採択した、例えば杉並区や愛媛県の中高一貫校、養護学校でも公民は他社でした。
それだけとっても、公民は、「よりひどい」ということになります。
公民は、政治を扱うだけに、「彼らの論理」がより鮮明に反映された教科書になっています。
例えば、憲法9条は改正すべきという方向に誘導するようなつくり方であるのが、歴然としています。
他社は「憲法改正」について、手続きを簡単に解説するだけですが、扶桑社は1単元をあてています。
そして、日本国憲法は改正が一度もなされていない「世界最古の憲法」という、不思議な表現をしています。
しかし、政府のやり方はこの間「解釈改憲」と言われるものだったのだから、それを考慮すれば、何度も「改憲」されているのと同じじゃないですか。
もちろん、それぞれの人は改憲論でも護憲論でもいいですが、教育の場では、「とりあえず今の憲法をもとにして、それを理解させる」ものなのではないでしょうか。昔は逆に、「革命」を論じるような教員もいて、そういう時には政府や教育委員会の側で「教育にイデオロギーを持ち込むな」と言ったものです。そういうことを言っていた人は、結局時代が変われば「教育に自分のイデオロギーを持ち込む」人たちだったわけです。
言うまでもなく、都教委は政治的に扶桑社を採択しています。
現在の構成メンバーから見て、都の教育委員が何回協議しても、結論は決まっています。
その意味で、今回の決定に驚きは全くないので、マスコミの判断でニュース価値がほとんどないとするのも理解はできます。
ここ3年ほど、都教委の採択の日に都庁を訪れていますが、都教委の対応は毎年ひどくなる一方。
今年はついに、抗議文を教育情報課の部屋では受け取らないと言い張り、1階ロビーに向こうから下りてきたそうです。
●●●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
2年前に、初めて都立中高一貫校の採択が行われたときから、3回の採択が終わりました。
白鴎としては、あと2年間は採択がなくなります。
しかし、来年は今年発足の3校の公民、及び新設予定の武蔵(武蔵野市)、北多摩(立川市)の採択が予定されています。
もちろん、それも扶桑社に決まってるようなものですが、それでも黙って見ていられない思いの同窓生が活動を続けると思います。
中高一貫校が多摩地区に広がるわけです。さらに4年後には、冨士、大泉、三鷹、南多摩が中公一貫化されます。
東京西部にたくさんいるはずの、さまざまな市民活動に参加しているこれらの学校の同窓生が、きっと声をあげてくれると思います。
我々としても、働きかけの機会をつくって生きたいと思います。
2年前や今年に、自分の出身校でもないのに、多くの人が白鴎附属中の採択を心配してくれました。
来年は、白鴎が今までの経験を生かしながら、他校の運動に協力していきたいと思っています。
白鴎附属中及び白鴎高校の今後ですが、私見では大変厳しいものと考えています。
中高一貫と言いつつ、附属中と高校が別校舎というのが致命的です。
教育活動が完全に分離しているならまだしも、教員が授業のたびに行き来しているという現実。
行事、生徒会なども「附属」という建前から、共同の機会も多いと聞きます。
さらに、日本の伝統文化という特殊な教科が高校段階で導入されるのも、マイナスに働く可能性もあります。
大学進学を考えたら、英語、国語等に時間を割いて欲しいという要望もあるはずだからです。
地域的に見て、上野近辺の台東区民を除けば、都立中高一貫校を受けさせるなら、通いやすさなら小石川や両国でもいいでしょう。
小学6年の保護者が、実際に各校に足を運べば、そういう判断をするのは避けられないと思います。
ということで、「都立中高一貫校の最下位」になっていく可能性が、客観的には高いのではないかと思います。
ということで、今後とも、活動をゆるやかに継続しながら、白鴎関係の情報を、この通信でお知らせしていきたいと思います。
しかし、やはり、報告の回数は減るのではないかと思います。ご了承下さい。
今まで、いろいろとご協力頂きありがとうございました。
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尾形修一 bv-ogata@adachi.ne.jp
携帯 bv-ogata@t.vodafone.ne.jp
℡&fax 03-3899-1871
住所 足立区西竹の塚1-7-10
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●白鴎情報通信●
2006/7/30 Vol31
「白鴎高校附属中学の教科書問題を憂慮する『白鴎有志の会』」の電子メール通信です。 (発送責任者)尾形修一
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ちょっと報告が遅れてしまいましたが、都教委は27日に、白鴎高校附属中学校の公民教科書に、扶桑社を採択しました。
11時半から、抗議の記者会見を行い、白鴎有志の会からも同窓生の立場から、反対の意思表示をしました。
しかし、残念ながら、新聞各紙には、我々の抗議活動どころか、採択の事実自体極めて小さな記事にしかなりませんでした。
委員会では、予想通り米長委員は欠席しましたが、残り5人の「全員一致」でした。
現場の意見を聞かず、教育委員が決めるという建前から、委員会の場で初めて協議を行うものとされ、その場で投票が行われました。
が、昨年と同様、全員一致のため、実質的な「協議」はなく、そのまま「扶桑社採択」の原案となり、決定されました。
昨年の採択で、養護学校等の公民教科書に、扶桑社を採択しています。
しかし、建前としては、中高一貫校は各校別に、教科書の調査研究を行い、それを基に判断することになります。
その調査研究資料及び、採択資料は、採択の当日に都教委ホームページに公開されています。
http://www.kyoiku.metro.tokyo.jp/press/pr060727k.htm
この、採択資料を見ても、決して扶桑社が一番ではないことも、例年のとおり。
白鴎附属中は、日本の伝統文化を重視する学校とされています。
そのことの是非はともかく、それなら扶桑社がふさわしいようにも思うかもしれませんが、
採択資料によれば、日本の伝統文化を扱う数が最も多い教科書は、扶桑社ではなく、大阪書籍になっています。
教科書を、単に教材を数値化して評価すること自体、全然意味がないと思いますが。
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この扶桑社の公民教科書は、全国で0.2%というシロモノです。歴史は0.4%で、つまり歴史の半分。
歴史もひどいけど、その歴史を採択した、例えば杉並区や愛媛県の中高一貫校、養護学校でも公民は他社でした。
それだけとっても、公民は、「よりひどい」ということになります。
公民は、政治を扱うだけに、「彼らの論理」がより鮮明に反映された教科書になっています。
例えば、憲法9条は改正すべきという方向に誘導するようなつくり方であるのが、歴然としています。
他社は「憲法改正」について、手続きを簡単に解説するだけですが、扶桑社は1単元をあてています。
そして、日本国憲法は改正が一度もなされていない「世界最古の憲法」という、不思議な表現をしています。
しかし、政府のやり方はこの間「解釈改憲」と言われるものだったのだから、それを考慮すれば、何度も「改憲」されているのと同じじゃないですか。
もちろん、それぞれの人は改憲論でも護憲論でもいいですが、教育の場では、「とりあえず今の憲法をもとにして、それを理解させる」ものなのではないでしょうか。昔は逆に、「革命」を論じるような教員もいて、そういう時には政府や教育委員会の側で「教育にイデオロギーを持ち込むな」と言ったものです。そういうことを言っていた人は、結局時代が変われば「教育に自分のイデオロギーを持ち込む」人たちだったわけです。
言うまでもなく、都教委は政治的に扶桑社を採択しています。
現在の構成メンバーから見て、都の教育委員が何回協議しても、結論は決まっています。
その意味で、今回の決定に驚きは全くないので、マスコミの判断でニュース価値がほとんどないとするのも理解はできます。
ここ3年ほど、都教委の採択の日に都庁を訪れていますが、都教委の対応は毎年ひどくなる一方。
今年はついに、抗議文を教育情報課の部屋では受け取らないと言い張り、1階ロビーに向こうから下りてきたそうです。
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2年前に、初めて都立中高一貫校の採択が行われたときから、3回の採択が終わりました。
白鴎としては、あと2年間は採択がなくなります。
しかし、来年は今年発足の3校の公民、及び新設予定の武蔵(武蔵野市)、北多摩(立川市)の採択が予定されています。
もちろん、それも扶桑社に決まってるようなものですが、それでも黙って見ていられない思いの同窓生が活動を続けると思います。
中高一貫校が多摩地区に広がるわけです。さらに4年後には、冨士、大泉、三鷹、南多摩が中公一貫化されます。
東京西部にたくさんいるはずの、さまざまな市民活動に参加しているこれらの学校の同窓生が、きっと声をあげてくれると思います。
我々としても、働きかけの機会をつくって生きたいと思います。
2年前や今年に、自分の出身校でもないのに、多くの人が白鴎附属中の採択を心配してくれました。
来年は、白鴎が今までの経験を生かしながら、他校の運動に協力していきたいと思っています。
白鴎附属中及び白鴎高校の今後ですが、私見では大変厳しいものと考えています。
中高一貫と言いつつ、附属中と高校が別校舎というのが致命的です。
教育活動が完全に分離しているならまだしも、教員が授業のたびに行き来しているという現実。
行事、生徒会なども「附属」という建前から、共同の機会も多いと聞きます。
さらに、日本の伝統文化という特殊な教科が高校段階で導入されるのも、マイナスに働く可能性もあります。
大学進学を考えたら、英語、国語等に時間を割いて欲しいという要望もあるはずだからです。
地域的に見て、上野近辺の台東区民を除けば、都立中高一貫校を受けさせるなら、通いやすさなら小石川や両国でもいいでしょう。
小学6年の保護者が、実際に各校に足を運べば、そういう判断をするのは避けられないと思います。
ということで、「都立中高一貫校の最下位」になっていく可能性が、客観的には高いのではないかと思います。
ということで、今後とも、活動をゆるやかに継続しながら、白鴎関係の情報を、この通信でお知らせしていきたいと思います。
しかし、やはり、報告の回数は減るのではないかと思います。ご了承下さい。
今まで、いろいろとご協力頂きありがとうございました。
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尾形修一 bv-ogata@adachi.ne.jp
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