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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

都教委包囲行動レポート

2008年09月07日 | 日の丸・君が代関連ニュース
 ▲ 夏の終わりの都教委包囲行動

 前夜の激しい雷雨はおさまったものの、蒸し暑さが続く8月の終わりの午後、恒例の都教委包囲行動が都庁第二庁舎前で実行された(主催 都教委包囲・首都圏ネット)。
 行動は3時から開始され、4時過ぎに都教委への申し入れを行い、6時から報告集会と進んだ。わたくしは最後の20分だけ参加した。わたくしが聞いた最後のほうの方の発言のみ紹介する。

 今年のメインテーマは、大原正行教育長の就任直後、7月15日に都教委が発出した「分限事由に該当する可能性がある教職員に関する対応指針」という通知だった。分限処分とは公務員に特有の制度で、その職に必要な適格性を欠く場合、その職員の意に反して任免権者が行う処分のことである。懲戒免職と異なり退職金は支払われる。今回の通知は、2006年10月人事院が各府省官房長に出した通知(リンク)をべースに都が今年5月20日に通知を出し、さらに都教委が教職員向けに、いわゆる「指導力不足」など4項目を加えて作成したものである。

 通知の特徴は、分限事由に該当する可能性として、じつに21もの具体例を列挙していることである。とりわけ問題なのは「(14)過去に非違行為を行い、懲戒処分を受けたにもかかわらず、再び非違行為を行い、都及び教職員に対する信用を著しく失墜させている」「(7)法律、条例、規則及びその他の規程又は職務命令に違反する、職務命令を拒否する、独善的に業務を遂行するなどにより、公務の円滑な運営に支障を生じさせる」「(8)上司等に対する暴力、暴言、ひぼう中傷を繰り返し、公務の円滑な運営に支障を生じさせる」「(9)協調性に欠け、他の教職員と度々トラブルを起こし、他の教職員の業務遂行を妨害するなどにより、公務の円滑な運営に支障を生じさせる」「(10)保護者、地域の方々、来校者及び電話等の対応で、的確な説明や対応ができず、トラブルが絶えない」「(11)他の教職員や上司等とのコミュニケーションが著しく欠如し、公務の円滑な運営に支障が生じる」などである。
 この日、採択された★「7.15通知の撤回を求める決議」には「10.23通達に反対し、処分された教職員を対象」に「教育行政や校長の学校経営のやり方を批判するものを学校から一掃しようとするもの」とあり、第一のねらいは今春解雇できなかった「根津さんを分限免職処分にすることにある」、「分限処分は懲戒免職と異なり、1発で免職にできる。処分理由は複数の理由を結びつけることもできる。また校長の恣意的判断が入る余地が大きい。きわめてファッショ的方法」だと指摘している。
 この通知によるものではないが、2006年3月分限免職処分を受けた増田都子さんは最初の犠牲者といえる。増田さんの分限免職処分の理由は足立十六中時代の懲戒処分と2005年の九段中での戒告処分、そして2005年の半年間の研修中の「不適切な独善的行為」である。もとの2005年の戒告処分は、プリントのなかの都議の議会発言引用(「日本は一体どこを、いつ侵略したのかということを(略)具体的に一度聞いてみたい」)と扶桑社批判が「不適切な文言」とされたことが理由である。指導力不足ではない。

 この日は、いわゆる指導力不足教員として今年7月に分限免職処分された方から報告があった。

●今年の分限免職処分の実態
 昨年度、指導力不足等教員として研修を受けていた人は10人いた。そのうち現場に復帰できた人は1人だけ、1月ごろから何度も退職するよう説得され、6人が屈して「希望退職」を強いられることになった。断った自分は公務員試験を受けさせられた。この年ではなかなか受験勉強に向かず不合格になり、その結果分限免職ということになった。

●「新学習指導要領」に関する対文科省交渉の報告
 昨日(8月28日)対文科省交渉を行った。都教委とは違い、30歳くらいの担当課の係長が対応した。新学習指導要領案が異例の「修正・追加」が加えて3月末に告示されたことを問いただした。係長の答えは「中教審答申に基づき原案を作成し、パブリックコメントを募集した。5000件寄せられた要望に応えて修正した」というよどみないものだった。「最終的には文科大臣の責任で行った」と言い切った。政治的圧力を素直に認めたが、今後も政治的圧力で変更になることはありうる。

●新任教員免職裁判、大阪高裁で逆転勝訴
 全国で新採用者の自殺など痛ましいできごとが続いている。本日(8月29日)大阪で1年間の条件付き採用期間(試用期間)後に免職処分を受けた女性教員の控訴審判決があり、逆転勝訴した。この教員は2004年4月大阪市教育委員会に採用されたが2005年3月免職処分を受け、10月に大阪地裁に提訴し2007年7月に不当判決を受け控訴していたものである。判決は「原告はもともと大阪市役所で6年間働いていたので条件付き採用にすること自体おかしい。さらに市教委が挙げる瑣末な理由での不採用は許されない」という画期的なものだった。
 昨年は京都地裁で同様に勝訴した男性教員がいたが、全国の新採用者にとって大きな励ましとなるだろう。

 そのほか、今年定年退職した小学校教員から、今春の卒業式で処分されたので「解雇を許さない会」を立ち上げたという報告、予防訴訟の会の方から控訴審の報告、滋賀県や三重県の方から連帯のアピールがあった。

 最後に、ところどころ窓に電気が灯る都庁第二庁舎めがけ全員でシュプレヒコールを行った。
 いつもの「10.23通達を撤回しろ」「君が代処分を撤回しろ」だけでなく「新銀行への支援反対」「築地の豊洲移転反対」「東京オリンピック反対」まで入ったにぎやかなものだった。

☆増田都子教諭に、分限免職の前提である2005年の戒告処分を下した担当者・樋川宣登志都教委人事部担当係長、大江近都教委指導部義務教育心身障害教育指導課長(いずれも当時)に対する証人審問は9月8日(月)午後1:30~5時、東京地裁631号法廷で行われる。

『多面体F』より(2008年09月02日)
http://blog.goo.ne.jp/polyhedron-f/

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