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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

フジビのスラップ訴訟:労働組合の言論活動を封殺する東京地裁・高裁

2017年01月08日 | 格差社会
 ◆ このノボリ旗のなにが問題?
   ~「言論活動否定の判決」に日本労働弁護団も声上げる


→動画(6分半)
https://youtu.be/XJn0hb5ZopA
 「このノボリ旗には私たちの怒り・要求・決意がこもっています」、解雇された中原純子さん(全国一般東京労組フジビグループ分会書記長/写真)は、12月26日の司法記者クラブの会見でノボリ旗を掲げた。
 そこには「安い給料で使い捨て 泣き寝入りしないぞ/荒川区の『印刷御三家』フジビは責任を取れ!/億万長者の社長が給料・退職金をふみ倒すな!」と書いてある。
 ところが「この文言が会社に対する名誉毀損である」という会社の言い分を、東京地裁・高裁は認め、解雇された人に350万円を払えという判決を下した。
 前代未聞の判決に日本労働弁護団(1700人)も「看過できない」と立ち上がった。
 11月11日には異例の抗議決議を採択し、最高裁に判決変更を求めている。26日の会見で徳住会長は「労働組合にとって言論活動は生命線。絶対に許されない」と語気を強めた。
 中原さんは「裁判所には働くものの気持ちをわかってほしい。泣き寝入りしている労働者はたくさんいるが、その声を背景に最高裁で覆していきたい」と胸を張った。
 小金井分会長「破産は組合つぶしが狙いだった。責任追及を続ける」

 この日の会見にはクラブ所属のマスコミ記者が6人出席していたが、加盟社以外のフリーの参加が目立った。「連合通信」「弁護士ドットコム」「新社会」「思想運動」「レイバーネット」などだ。
 質問で「そのノボリ旗はいまも掲げているのですか?」という問いがあった。
 これに対して中原さんは「3本一緒だと名誉毀損と言われたので、いまはバラバラにして使っています」との回答だった。
 このようにスラップ訴訟は確実に労働者に「萎縮効果」をもたらしている。企業に追随する裁判所の責任はあまりに大きい。(M)
 →日本労働弁護団決議文(pdf)
http://roudou-bengodan.org/wpRB/wp-content/uploads/2016/11/60_07.pdf
『レイバーネット日本』(2016/12/26)
http://www.labornetjp.org/news/2016/1226shasin
● 労働組合の言論活動を否定する不当判決 ●
-最高裁は口頭弁論を開いて不当判決を糾すべきである-

 東京高裁第22民事部は、平成28年7月4日、「富士美術印刷事件」について、労働組合の言論表現活動が名誉毀損であるとして、組合員3名に対し350万円の損害賠償を命じた。
 富士美術印刷(「フジビ」)は、印刷会社である。フジビの子会社であるフジ製版は、平成24年9月破産手続開始決定を受け、従業員であった組合員らを解雇した。
 労働組合は、フジビに対して、「フジビはフジ製版の社員を雇用せよ」、「フジ製版の倒産は偽装倒産である」、「フジビグループ・田中一族の組合つぶし偽装倒産を許すな!」、「荒川区の『印刷御三家』フジビは責任を取れ!」等と記載したビラをフジビ周辺等で配布したり、幟を掲示し、拡声器で宣伝し、横断幕をフジビの本社屋上のフェンスや壁に掲示するなどの活動を展開した。
 これに対し、フジビは、組合に対してではなく、組合員個人3名に対して、施設管理権の侵害、名誉・信用毀損、営業妨害行為などを理由に2200万円の損害賠償請求を提起してきた。組合員個人に対するかかる巨額の損害賠償請求訴訟の提起は、労働組合活動の抑圧を目論む“スラップ訴訟”であった。
 東京高裁判決は、以下の3点で、表現の自由を保障した憲法21条や労働者の団結権・団体行動権を保障する憲法28条の解釈適用を誤ったものというべきである。
① 言論行動は労働組合としての行動であり、損害賠償責任を労働組合ではなく組合員個人に認めたことは、団結権・団体行動権保障を保障する憲法28条に違反する。
② 表現行為が「事実の適示」又は「意見・論評」のいずれによる名誉毀損かを区別せず、社会的評価の低下の事実を認定しないまま、名誉毀損の成立及び損害賠償責任を認めたのは、名誉毀損の成立及び真実・真実相当性の民事免責に関する一連の最高裁判決に悖るものであり、労働組合の正当な言論活動を否定・抑圧し、憲法21条、28条に違反している。
③ 会社法所定の実質的支配基準からして、フジビはフジ製版の親会社であり、労働組合が親会社に対して行う要請行動は、正当な組合活動であって、これを否定することは、憲法28条に違反する。
 労働組合にとって、その要求実現のために行う組合活動としての言論表現活動は、労働組合運動の生命線であり、労働組合の正当な言論活動の否定は、憲法21条・28条に違反する。最高裁は、口頭弁論を行ったうえで、原判決の誤りを糾すべきである。
2016年11月11日 日本労働弁護団 第60回全国総会


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