東京都教育委員会 教育長 浜 佳葉子 殿
2023年1月24日
四者卒業式・入学式対策本部
対策本部長 川村佐和
◆ 「10・23通達」の撤回と懲戒処分・再処分の取消しを求め、
新たな処分等を行わない要請
2003年10月23日、東京都教育委員会が都立学校長に対して発した「入学式、卒業式等における国旗掲揚及び国歌斉唱の実施について(通達)」(「10・23通達」)以後、「職務命令違反」を理由とする懲戒処分者は、これまでに延べ484名にものぼっている。加えて、判決が確定し減給以上の処分が取り消された原告に対して、謝罪するどころか、再度懲戒処分を発令するという暴挙を行った。
私たちは、「10・23通達」及びそれにもとつく職務命令の違憲違法性を訴え、職務命令違反を理由とする懲戒処分、及び処分を理由とする定年退職後の再雇用拒否撤回を求めて、これまで数多くの裁判を提起してきた。さらに、15名の原告による新たな訴訟(五次訴訟)を提起してきた。
職務命令と不当処分を繰り返している都教委の頑なな姿勢は、国際的にも注目され、厳しい批判を浴びる事態になっている。
ILO/ユネスコ合同専門家委員会(略称セアート)は2019年4月に発表した最終勧告で、懲戒処分を続ける都教委の姿勢を改めることを求めている。同勧告はまた、式典の実施にあたっては、内心の自由を尊重し、実施規則や懲戒のしくみについて教員側との協議を求め、また再発防止研修についても方針変更を求めている。
しかし、都教委は3年間この勧告を無視し続けた。
この状況に対して、2022年6月、セアートは先の勧告の実施が遅々として進まないとの認識の下、より踏み込んだ再勧告を発表した。地方レベルでも労使対話をすること、1966年勧告が最大限に適用されるために地方当局と適切な指導を共有すること、というその内容は、日本政府が「国内状況や国内法令と合致しない」「裁判所の判決でも職務命令と処分は認められている」「学校への指導は地方行政の権限である」という立場を取ってきたことへの痛烈な批判である。
さらに、「勧告には拘束力がない」との主張に対しても、「加盟国が全員一致で採択した規範的文書という地位は、1966年勧告に重要な政治的道徳的迫力を与えている。」と述べ、その中に日本政府も存在していたことを強調している。
また、国連自由権規約委員会は、2022年11月3日に日本政府報告に対する「総括所見」を公表し、その中で東京都教育委員会の「10・23通達」によって引き起こされた教職員に対する「最高6カ月の停職」を含む厳しい処分が、思想良心の自由を保障した自由権規約に違反することを指摘した上でその是正を強く勧告している。
これらの勧告は、「10・23通達」こそが人権抑圧の元凶であると指弾しているのである。都教委はもはや言い逃れはできない。
終わりのきざしの見えないコロナの流行の中で、式が短縮されているにもかかわらず、都教委は、卒業式・入学式において「君が代」だけは現場に強制している。本来生徒のためのものであるべき卒業式・入学式が、「日の丸・君が代」のためのものになってしまっているのである。
私たちは、教育行政の本来の道を逸脱し、頑なな姿勢をとり続けている都教委に対して、「10・23通達」の撤回と共に、通達に基づく懲戒処分・再処分を取消し、新たな処分を行わないことを求め、以下を要請する。
《要請》
1.10・23通達を撤回すること。
2.10・23通達に基づく職務命令を出させないこと、また職務命令違反を理由とした懲戒処分を行わないこと。
3.裁判の結果処分が取り消された被処分者に対して、誠意をもって謝罪し再処分を行わないこと。
4.思想転向を強制する「再発防止研修」を行わないこと。
5.国連自由権規約委員会の勧告に従い、10・23通達を撒回し自由権規約の規定を遵守すること。
6.ILO/ユネスコ合同専門家委員会の勧告に従い、命令と処分の教育行政を改め、教員の代表と協議すること。
7.10・23通達に基づく職務命令違反を理由とする再任用の更新拒否を行わないこと。
8.新型コロナウィルスによる感染予防として式が短縮される申で、「君が代」だけは演奏させるという指導をやめること。
要請に対する回答は、2月17日(金)までに下記宛に送られたい。(略)
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