《interschool journal》
◆ 姫路女学院高ソフトボール部顧問教諭が生徒叩きケガさせ懲戒解雇
兵庫県姫路市の私立姫路女学院高校のソフトボール部顧問の教諭の男(41)が、9月24日、遠征先で1年生の女子生徒のほおをたたき、顎が外れるケガをさせていたことが、わかった。
同校によると、男は、女子生徒がユニフォームを忘れたことを報告しなかったことなどに激高。女子生徒のほおを叩き、「帰れ」「お前なんかいらん」と暴言を浴びせた。さらに翌日も「反省しているのか」と言いながら、女子生徒の尻を2回蹴り、頭を1回叩いた。
女子生徒は顎が外れ、全治1か月の「外傷性開口障害」と診断された。
女子生徒はショックで学校に登校できなくなった。
女子生徒側は、兵庫県警に被害届を提出。現在、警察が捜査している。
姫路女学院高校は、10月12日付で男を懲戒解雇した。
◆ 現場では何が起こったのか
事件が起きた9月24日(土)は、姫路女学院高校ソフトボール部も参加する「後期西播高等学校女子ソフトボール大会」の1日目。
被害生徒は、6時前に姫路女学院に登校し、6時に学校が運用するワゴン車に乗車。7時前に会場の兵庫県立上郡高校に到着した。しかしこの際、被害生徒はユニフォームを忘れてしまっていた。
7時30分、被害生徒の母親が監督の男に電話で連絡。この際、男は母親に「一発どついてもいいですか」と尋ね、母親は「お任せします」と返答している。
この後、8時過ぎ、男は、ベンチエリア近くで謝罪しようとした被害生徒の左ほおをいきなり右手で1回叩いた。
叩いた後、男は「親に許可をもらっている」と発言したという。
このとき、ほかにも1人の教員が近くにいたが、「(暴行は)一瞬で止めることはできなかった」(寳谷参与)という。
被害生徒は、その後、他の部員たちと離れた場所で5時間以上立って試合を観戦。その後、ユニフォームが届いたことからベンチ入りしたり、練習に参加しようとしたが、男に「入るな」「出ていけ」「ボールを触るな」などと暴言を浴びせられた。
◆ 学校側「5時間立たせたという報道は誇張」
現地紙「神戸新聞」は、10月2日付で「女子生徒の顔たたき、顎が外れた状態で5時間以上立たせる その間暴言も浴びせる」と題した記事を配信。本文では「体罰の後、女子生徒は顎が外れた状態で5時間以上、顧問のそばに立ち暴言を浴びせられた」と報じているが、寳谷参与は「記述には誇張があるのではないか」と主張している。
寳谷参与によると、その当時、近くにいた教員が見たところ被害生徒に大きなケガはなかったのだという。
寳谷参与は、会見で、「もし顎が外れているならすぐに救急搬送とかそういう措置がとられて然るべき」と述べ、当時、学校側が被害生徒がケガをした認識がなかったことを強調した。
さらに寳谷参与は「(男が)被害生徒に5時間立つよう命じた事実はない」と主張する。また、試合中にユニフォームを着用していない被害生徒がベンチに入ることは大会のルール上許されないことから、ベンチエリアで指揮を執っている男のそばに被害生徒が近寄ることは困難だという。
このため、学校側は、被害生徒が男のそばに立ち続け、男から試合中ずっと暴言を浴びせられ続けた事実はないとしている。
◆ 副顧問の教員は監督を現行犯逮捕すべきだった
今回、取材の中で、現場に加害者の元教諭の男(41)のほか、もう一人教員がいたことが明らかになった。
この教員は、一瞬のことで止められなかったとしているが、学校内とはいえ、生徒に対する暴行傷害はれっきとした刑法犯である。犯罪行為を目撃したなら、現行犯逮捕し、警察に引き渡すべきだった。
さらに学校が男の暴力行為を把握したのは事件の2日後の9月26日。
同行した副顧問がなぜすぐに学校管理職に報告しなかったのか。隠ぺいを図ったといわれても致し方ない対応だ。
今回のような部活動の指導担当教員から生徒への暴力行為は、毎年のように繰り返されている。
生徒を怒鳴りつけ、暴力をふるい、恐怖で支配する教師に対しては、現行犯逮捕し、刑事罰を受けさせる等、厳しい措置で臨むべきだ。学校管理者の意識が強く問われる。
『interschool journal』(2022年10月20日)
http://interschooljournal.officeblog.jp/30465088archives/20221007html
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