パワー・トゥ・ザ・ピープル!!アーカイブ

東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

◆ 言論の自由が失われた東京都の教育現場

2024年06月27日 | 「日の丸・君が代」強制反対

  =予防訴訟をひきつぐ会 総会資料=
 ◆ 教育現場の状況

[今年の卒・入学式]
 10.23通達発出から21年2018年の入学式以降、不起立による処分は途絶えているが、学校現場への締め付けは留まるところを知らない。
 卒・入学式は、昨年の入学式からコロナ前と同じ形に戻り、都教委職員が派遣され、国歌斉唱が行われた。
 特別支援学校では、以前から予行で国歌斉唱が行われていたが、都立高校でも、卒業式の予行で国歌斉唱が行われる学校が出てきている。
 特別支援学校では、包括的職務命令発出の際、「強制はしないでほしい」と発言した教員を後日校長室に呼び出し、「今後、あのような発言は個人的に言ってほしい」と言われた事例もあった。

[東京「君が代」五次訴訟]
 2021年3月に提訴した東京「君が代」裁判五次訴訟は、すでに13回口頭弁論が行われた。7月4日からは、いよいよ証人調べが行われる
 行政法の権威である岡田正則教授が証言台に立つことになっている。原告9人の証人尋問も行われる。

[教育ダッシュボード]
 「学習データ」(授業における端末の利用状況等)や「校務データ」(成績・出欠席等)などの「教育データ」を集約・可視化し、分析を行う教員用のシステムである「教育ダッシュボード」の一部のデータ(学習データ)の利用が、今年1月22日からTOKYO教育DX推進校19校で始まった。
 今年度の後半からは100校に拡大し、来年度からは全都立高校で実施の予定だ。
 「教員の経験に加えて、データに基づく指導を実現することで、子供たち一人ひとりの力を最大限伸ばしていくことを目的として」行うそうだが、そんなことが可能であるとは到底思えない。

[教育不足の現状]
 教員不足の問題は、もはや児童生徒の「教育を受ける権利」が保障されない状況にまで立ち至っている。東京都内の公立小学校では、2023年4月7日時点で約20人の教員が欠員している(都教育委員会調べ)。
 都立高校では教員の欠員はないが、心を病むなどで病休する教員が多く、その代替を見つけることが困難な状況にある。産育休代替の教員の不足も非常に深刻で、専任の教員の負担が増えている。

[不起立者を時間講師から排除]
 このような状況の中、被処分者を都立高校から排除するさらなる攻撃があった。2022年3月31日に、2016年の卒業式での不起立による処分を理由に再任用の任用を打ち切られた教員が、今年度、東京都の時間講師に申し込んだところ、不合格となった。
 その教員は、2021年の秋に申し込んだ際には合格し、2022年、2023年には時間講師として都立高校で勤務していた。
 2022年秋に時間講師の名簿登録の要項が変わり、申込書類に、以前はなかった処分歴の項目が加わったことが不合格の原因だと考えられる。
 総務省によると2022年の65歳以上の就業者数は過去最多の912万人で、定年後も年齢制限なく働き続ける時代になったにもかかわらず、国歌斉唱時に起立できなかったことだけを理由に学校現場から排除し生計の手段を断っことは、深刻な人権侵害と言わざるを得ない。

[闘いを継続する意義]
 一昨年の1学年から高校でも実施された新学習指導要領により、多忙化にさらに拍車がかかっている。
 教育現場の課題は山積している。しかし、過酷な労働環境の中、教員は目の前の仕事に忙殺されて、じっくり考えたり、情勢を分析したりすることができなくなっている
 教員を孤立させず、教育現場の問題点をあぶりだして、問題解決の方策を考える学習討論集会の取り組みが、今後ますます重要である。

(川村佐和)

『予防訴訟をひきつぐ会 総会資料』(2024年6月15日)


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