パワー・トゥ・ザ・ピープル!!アーカイブ

東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

派遣法改正の課題 上

2008年09月14日 | 格差社会
 ◆ 派遣法改正の課題 上
 「違法のやり得」を防ぐ

ジャーナりスト 北健一

 労働者派遣法の改正が臨時国会の焦点になろうとしている。どんな改正が必要か、現場から考えてみたい。

 「組合員はトイレの時間や会話まで監視されているようだ。偽装請負で是正指導を受けた職場で、すごく小さなミスを理由に解雇をするのは許されないと思います
 8月21日に東京都内で開かれた「偽装請負を内部告発する非正規ネット」の集会で、キャノン非正規労働者組合宇都宮支部長の大野秀之さんは、淡々とした口調に怒りを秘めて語った。
 キャノンは昨年10月、偽装請負で働かせてきた労働者を期間社員として直接雇用。同社は、半年契約を繰り返してよほどのことがない限り2年11カ月まで更新され、登用試験に合格すれば正社員にもなれると説明した。
 ところが非正規労働者組合によると、直接雇用された組合員1名に対しキヤノンが8月末での*”クビ”を言い渡した。採用から11カ月。「2年11カ月」という根拠不明の期限さえ、踏みにじられようとしている。
 労働者が偽装請負を告発すると、受け入れていた企業が短期間だけ直接雇用し、その後放り出す。なぜか「2年11カ月」という期限が多い。

 非正規ネットは8月21日、集会に先立って厚生労働省と交渉し安定雇用を求めた。しかし官僚は、「民民の契約を超えて指導するのは最適とはいえない」と突き放した。
 ヤンマーの子会社からヤンマー琵琶工場に派遣されている佐々木真一郎さんも、6月23日、労働局に偽装請負を告発したら、ヤンマーに「最長2年11カ月」で直接雇用された。
 仕事はずっとあるのに、なぜ有期雇用なのか。団体交渉で会社は言った。
 「あなたたちは生産変動の調整弁です」
 ヤンマーは直近の決算で145億円の経常利益をあげた。佐々木さんたちの年収は250万円だ。

 労働者派遣法では、労働者を違法に受け入れた派遣先への「罰」は最高で企業名公表に過ぎない。処分されるのは派遣・請負会社だけ。「違法のやり得」を防ぐ仕組みが不可欠だ。

『週刊新社会』(2008/9/2)

コメント    この記事についてブログを書く
« キャノンが偽装請負告発者1名... | トップ | 派遣法改正の課題 下 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

格差社会」カテゴリの最新記事