《日本弁護士連合会作成》 第6回政府報告書審査をふまえて
◎ 『自由権規約委員会は日本政府にどのような改善を求めているのか』から
◎ 『自由権規約委員会は日本政府にどのような改善を求めているのか』から
第7章 危機に立つ思想良心信教の自由・表現の自由(p14)
1 人権保障には厳しい制約を
委員会は最終見解22項において,公共の福祉を理由とする基本的人権の制限に言及しました。
同項は,「委員会は,「公共の福祉」の概念が曖昧かつ無限定であり,かつ,規約(2条,18条及び19条)の下で許容される制約を超える制限を許容する可能性があることについて,繰り返し懸念を表明する。
委員会は,前回の最終見解(CCPR/C/JPN/CO/5,para.10)を想起し,かつ,締約国に対して,規約18条3項及び19条に定める厳格な要件を満たさない限り,思想,良心,宗教の自由または表現の自由を享受する権利に対して,いかなる制限も課すことを差し控えるよう,強く求める。」としています。
このような見解は,これまで委員会が公職選挙法上の公務員の政治活動の制限や戸別訪問の禁止などが表現の自由に対する過度の制限となっていることを指摘していたことが背景となっています。
また,委員会が規約19条だけでなく,18条にも言及した背景には,いくつかの市民グループが,学校における日の丸の掲揚,君が代斉唱時に起立しなかった教員に対する懲戒処分が,思想,良心,宗教の自由を侵害するものと指摘したことについて,考慮されたものと評価できるでしょう。
※第6回政府報告書審査をふまえて『自由権規約委員会は日本政府にどのような改善を求めているのか』(日本弁護士連合会作成)
http://www.nichibenren.or.jp/library/ja/kokusai/humanrights_library/treaty/data/liberty_pam.pdf
【国連自由権規約委員会 第6回日本審査『最終見解』パラグラフ22 (2014/7/24)】
「公共の福祉」を理由とした基本的自由の制限
22.委員会は,「公共の福祉」の概念が曖昧で制限がなく,規約の下で許容されている制限を超える制限を許容し得ることに,改めて懸念を表明する(第2条,第18条及び第19条)。
委員会は,前回の最終見解(CCPR/C/JPN/CO/5, para. 10)を想起し,締約国に対し,第18条及び第19条の各第3項に規定された厳格な要件を満たさない限り,思想,良心及び宗教の自由あるいは表現の自由に対する権利への如何なる制限を課すことを差し控えることを促す。
Restriction of fundamental freedoms on grounds of "public welfare"
22. The Committee reiterates its concern that the concept of "public welfare" is vague and open-ended and may permit restrictions exceeding those permissible under the Covenant (arts. 2, 18 and 19).
The Committee recalls its previous concluding observations (CCPR/C/JPN/CO/5, para. 10) and urges the State party to refrain from imposing any restriction on the rights to freedom of thought, conscience and religion or freedom of expression unless they fulfil the strict conditions set out in paragraph 3 of articles 18 and 19.
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