パワー・トゥ・ザ・ピープル!!アーカイブ

東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

郵政非正規労働者が同一労働同一賃金を求め「郵政ユニオン集団訴訟」

2020年03月01日 | 格差社会
 ◆ 郵政ユニオン 合同で集団訴訟
   同一労働同一賃金の実現へ
(週刊新社会)
郵政産業労働者ユニオン中央執行委員長 日巻直映

 郵政ユニオンは2月14日、労働契約法20条裁判で東京・大阪高裁で勝訴した手当・労働条件を原告となった11人の組合員だけでなく、郵政グループで働く非正規労働者全体に広げるため、北海道から長崎まで154人の組合員が原告となり、札幌・東京・大阪・広島・高知・福岡の6地裁、2月18日には長崎地裁に提訴、全国7地裁で「集団訴訟」に立ち上がりました。
 請求額は総額で約2億6千万円、数多くの労契法20条裁判で150人を超える原告が一斉提訴する集団訴訟は初めてのたたかいになります。
 集団訴訟を担う弁護団は、東京で労契法20条裁判をたたかっている弁護団が中心となり、集団訴訟の意義と目的に43人の弁護士が賛同し、短期間で「郵政ユニオン集団訴訟弁護団」として、原告一人ひとりの聞き取り調査や訴状の作成など、訴訟準備に尽力していただきました。
 原告となった154人の原告組合員は、職種、勤務年数、労働時間、雇用形態(無期か有期か)は多種多様であり、提訴するにあたっては2016(平成28)年7月にさかのぼって給与明細や年末年始の勤務実態などの請求資料を集めるため奮闘しました。
 労契法20条裁判は、14年5月に東京地裁、同年6月に大阪地裁に提訴して以降、地裁、高裁で住居手当、年末年始勤務手当、扶養手当、夏期・冬期休暇、無給の病気休暇など「格差は違法」との勝利判決を勝ちとり、現在、最高裁第1小法廷で係属になっている段階です。
 日本郵政グループ全体の雇用状況は、約22万人の正社員約19万人を超える非正規社員が働いています。
 グループ全体の非正規率は47・05%、日本郵便株式会社の非正規率は48・44%となっており、非正規社員は業務の重要な担い手となって働いています。
 多くの非正規社員を雇用している日本郵政グループにおいて、労契法20裁判で勝利することは、「企業における司法判断」だけに留まらず、約2000万人ともいわれている非正規雇用労働者の労働条件に与える影響は大きぐ、とりわけ政府が日本郵政の株式を約57%保有している「公的企業」において、現在の労働条件が「違法」と最高裁が判断を下せば、社会に与える影響は計り知れないものがあります。
 郵政ユニオンは東京・大阪高裁判決を受け、昨年8月に郵政ユニオンに所属する非正規組合員187人が名を連ね「労働契約法20条に基づき、手当等の支払いを求める要求書」を日本郵便㈱及びゆうちょ銀行に提出しました。
 しかし、会社は高裁判決を無視して「要求には応じられない」との回答を行ってきたことから交渉では解決が困難と判断し、本集団訴訟を提起するに至りました。
 集団訴訟の目的は、
   ①地裁・高裁で勝訴した手当・労働条件の範囲に限定して請求することにより早期決着で組合員の経済的利益を獲得すること
   ②裁判で勝利することによって会社の就業規則や給与規定などを「同一労働同一賃金」の方向に改書させていくこと
   ③郵便局における非正規の働き方、働かせ方が「違法」であることを明確にさせることにあります。
 日本の非正規労働者の著しい労働条件格差をなくしていくたたかいは、裁判闘争だけでは解決するものではありません。広く世論にも訴えながら「労働運動のたたかい」で切り開いていかなくてはなりません。
 非正規雇用を安上がりな労働力として活用している財界とのたたかいであり、組織の枠を超えた大きなたたかいなくして勝利することはできません。
 こうした点からも、集団訴訟は正規と非正規の格差を是正し、だれもが8時間働けば安心して暮らせる社会の実現に向けた一歩につながるものになります。
 札幌と盛岡の原告は「寒冷地手当」を請求しており、正社員には支給し、非正規社員に支給されないなど、新たなたたかいとして裁判闘争に挑みます。
 今後、全国7地裁でたたかう「郵政ユニオン集団訴訟」をはじめ、最高裁での勝利判決を勝ちとるたたかいに、大きな支援をお願いします。
『週刊新社会』(2020年2月25日)

コメント    この記事についてブログを書く
« 国際人権入門講座 第7回「カ... | トップ | 全国一斉臨時休校の中止を求... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

格差社会」カテゴリの最新記事