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2004年12月25日(土曜日) 藪の中
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関東大震災の前年、1922年(大正11年)にこの作品は発表された。
第一次大戦後の束の間のまどろみとでも言った時代である。芥川ファーンにとっては名作であるが、彼を生理的に嫌っている連中にとっては、相も変わらず気色悪い作品である。前提としての好き嫌いで作品を受け取られるのは、仕方のないことである。
日頃の人との付き合いに於いても、気に食わない奴が立派なことを言っても、曲解したりする。藪の中でなくて白昼の出来事であっても、見方は様々に異なる。当事者に対する前提としての思い入れが、事実を如何様にも投射するのであろう。
石原慎太郎氏の記者会見を見て、立派なものだと言う人もいれば、何と不愉快な物言いをするのかと気分悪くなる人もいる。そうなると、彼が誰かと言い合いをした場合、事柄の経緯は極めて異なって捉えられるであろう。傲慢にも大声でその議員を侮辱した、堂々とその議員のひどい発言を掣肘した、などと見方が分かれる。
芥川賞で、「太陽の季節」が一席となり、高橋和己が次席となった結果が、今日の状況を生んでいるのだから妙なものである。
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