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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

経団連『偽装請負』

2007年07月23日 | 格差社会
■ 経団連規制改革要望公表
 日本経団連(会長・御手洗冨士夫キヤノン会長)は先月下旬、政府・与党への二〇〇七年度「規制改革要望」を公表した。
 最大のポイントは派遣労働
 携帯電話で日払い求人をする「スポット派遣」に象徴される格差問題は、参院選の焦点の一つでもある。要望の中身をのぞいてみると-。

 ■ 「偽装請負」合法化狙う?
    経団連主導「格差」の車輪の下に


 「要望」は一九九四年度から毎年出されている。本年度は百三十七社・団体の七百十七の回答を十四分野、二百五項目にまとめた。この「要望」は政府の政策決定にどのくらいの影響を与えるのか。
 経済アナリストの森永卓郎氏は「日本経団連は財界団体の中でも大企業集団。『要望』はとりわけ小泉前政権以来、米政府からの対日『年次改革要望書』と並び、経済政策の根幹を規定してきた」と説明。
 経済ジャーナリストの荻原博子氏も「小泉、安倍両政権は『要望』を積極的に取り入れ、日本経団連側も要求を加速させている」とみる。

 では、ことしの「要望」の特色は何か。項目が最も多いのが「雇用・労働」分野。昨年の二十三から三十四項目に増え、うち十一が派遣労働関連だ。
 中でも「派遣労働者への雇用契約申込義務の廃止」と「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準の見直し」の二項目が注目を集めている。
 前者は、ある派遣労働者を三年以上連続して受け入れている派遣先(二十六業種)は、その人を正社員として雇用しなくてはいけない、という現行の労働者派遣法(四〇条)の規定を撤廃するよう求めている。

 後者は昨年、問題になった偽装請負にかかわる。本来、請負は派遣とは違い、発注主にその後の直接雇用の義務はなく、労働安全衛生上の責任もない。一方で発注主は請負に指揮や命令はできない。しかし、現実にはキヤノンをはじめ、多くの大企業が派遣より安い労働力として、形式的には請負だが、労働現場では業務を命令していた。
 今回の要望ではこの命令の禁止扱いをなくし、偽装請負の「合法化」を望んでいる。
 ちなみに御手洗氏は政府の経済財政諮問会議(議長は安倍首相)の一員だが、問題が明るみに出た後の昨年十月、同会議で「法制に無理がありすぎる」と"開き直り"、物議を醸した。

■「永遠に正社員にしない」指摘

 荻原氏はこうした要望内容について「派遣労働者に対し、永遠に正社員にはしないという絶望を授ける中身だ」と批判する。「全体として、労働者の権利だとか、ぐちゃぐちゃ言うな、ということに尽きる」
 森永氏は「大企業の史上空前の利益の裏側にはぎりぎりまでの人件費抑制、下請けへの発注単価の切り詰めがある。今回の要望はさらに低賃金のまま、労働者を使い続けたいという財界の願望が、如実に反映されている」と指摘する。

 「この五年間で正社員が三百万人減った。この間に名目国内総生産(GDP)は二十二兆円増えたが、被雇用者の報酬は五兆円減。誰が誰の犠牲で潤っているか、それは明らかだ」
 「要望」のほかの内容では昨年、世論の大きな反発を受けた「ホワイトカラー・エクゼンプション」も引き続き、「労働時間等規制を除外すること」と名前を変えて残されている。
 荻原氏は「政府は大企業が車輪の前輪、下請けや労働者は後輪で、時間差で皆の暮らしが楽になると説いてきた。でも後輪は地中に沈むばかりだ」と話す。
 一方、森永氏は「『要望』の先に本当の危機がみえる」と次のように懸念する。「『要望』に一貫している視点は人を労働者ではなく、労働力とみなすこと。日本企業は長く社員を『家族』扱いして、企業と生産物への高い忠誠心を養ってきた。優しい心が高品質を保証してきたといってもよい。それを逆転させた先には日本経済を支えてきたブランドカの崩壊しかない」
『東京新聞』(2007/7/19 ニュースの追跡)

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