京都 洛北の時計師 修理日記

時計修理工房「ヌーベル・パスティーシュ」京都の洛北に展開する時計修理物語。
夜久野高原で営業再開しました。

時計師の京都時間「京のそわそわ時間」

2020-01-14 09:10:29 | 時計修理

1月14日火曜日。電車の中は連休疲れのご機嫌斜めの乗客でいっぱい。
昨日で年末年始の量販期は終わり、来月に迫ったバレンタインデーセールに売場が変わります。
普段身に着ける時計をチョコと一緒に贈る。
下見客がぼちぼち現れる頃です。
バレンタインデーの予算は10万円、ディーゼル、ハミルトン、G-SHOCK。
お返しのホワイトデーは30万円オーバーのカルティエ・タンクフランセ、ブルガリ・ブルガリ、エルメス・クリッパー。
世の中男性が損をするシステムになっているこの季節。

残念ながらプレゼントされた時計が粗末に扱われることが多い。
高額の購入価格を知らずに放置されるパターン。
工房に来る電池交換の依頼では電池液漏れで高額修理になることが目立ちます。
メーカーからすると痛くもかゆくもない。
電池の液漏れがすぐに始まるレナータ電池の採用を続けている目的は修理部門でも利益を上げたい?
そんな疑いたくなる液漏れが目立ちます。
工房ではせっかく苦労して裏蓋を開けても電池から液漏れを見るとがっかりします。
追加料金が4~5万円ほどの高額修理になるのでほとんどのお客は修理キャンセル。
タダ働きの結果になります。
「時計が止まったらすぐに電池交換を行ってください!」
30万円の高額時計を1100円をケチっただけで壊してしまって使えなくなる。

カルティエ、ブルガリを贈られたら動いていても国産電池に替えることをお勧めします。
工場ではムーブメントを造った時点で電池を入れて稼働させるのでクオーツを安定させます。
これで時計の精度を高めるのでモニター電池という。お粗末な電池ではなく普通の電池なのです。
熱帯地方の日本。マクセル、ソニー、セイコー社なら液漏れがほとんどないので安心です。
ちなみに工房ではセイコーまたはセイコー・インスツルメント製の電池を使っています。

明日水曜日は定休日。
 心と体の修理の日。
身体より心の修理が大事なのです。心の故障はモチベーションに影響します。
時計師の中に玉が入っていてそれが乾いてしまうと割れるので適量にお酒を入れます。

心得を壊す場面の例。
時計を持って来ないで修理料金だけ聞きに来る。
そんな人は病院に行って「うちのじいさん・ばあさんが病気のようだけど治療費はナンボ?」と言うのでしょうか?

電話で突然修理料金を聴いてくる。「ロレックスの修理はナンボ?」
客様を待たせているタイミングで電話に出たことを後悔する瞬間です。

そんな時は早く電話を切りたいので4万円と答えます。国産時計は二万円。
これであっさり撃退できる。
「ほかの店では8千円と言ったよ!」と抗議する人もいる。
「ではそちらでお願いしてくださいね~!」とあっさり切る。
最悪はコピー品を持ってくるパターン。意外としつこい人が多い。塩をまいて追い返す。「え~んがっちょぉ~!切った。」

時計修理はお客様からお願いされて初めて修理が始まるお仕事。
こちらから修理をやらせてくださいとは言わない。

実際、修理を受ける際にはネガティブなお話ばかりしています。
「このアンティーク時計を修理しても数年後再修理になることがありますよ!
お金がもったいない!4万円もあれば家族で食事に行けるし旅行に行けます。」
客を追い返しているのだ。それでも依頼していただくお客さまだけ限定しています。
いったん預かって数時間後引き取りに来る客もいる。こちらもホッとする瞬間です。

時計はスマホに替わり実用性が無くなったアイテムです。
修理費用の4万円もあればスマホが買えます。

 自分が神様だと勘違いしている客が増えてきたのも最近の傾向でしょう。
神様は私のほうだ。貧乏神はここにいるぞ~!
ほとんどのお客様を追い帰しているのだから貧乏神のお店なのだ。

明日は定休日。11時から5時まで臨時営業の予定。
今夜は心部門の修理で居酒屋へ向かいますね~!




コメント
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