京都 洛北の時計師 修理日記

時計修理工房「ヌーベル・パスティーシュ」京都の洛北に展開する時計修理物語。
夜久野高原で営業再開しました。

時計師の京都時間「京の猫の手不足」

2017-03-31 09:19:34 | 時計修理

3月31日金曜日
昔、京都では旧暦弥生3、4日がお花見の集中日でした。
つまり朔の一日から4日までお休みだったのでしょう。

ソメイヨシノはまだ咲いていないので早咲きの糸桜を観に行ったのでしょうか?
40年前、学生アルバイト時代の料亭で働いていたころにはお弁当造りの季節。
ずらりと持ち込まれる旧家のお花見箱にはそれは見事な蒔絵が施されていました。
時価一千万円するか?という弁当箱の価格に驚きます。
弁当箱にまでこだわる京都。長崎出身の私に圧倒的な生活文化の差を見せつけられました。

お花見でお弁当に入れる料理は料亭で作るのが一般的です。それを高級住宅地がひしめく下鴨柿木町のお屋敷などにもっていく。お屋敷の庭には桜が咲いていました。

見事なお弁当に学生アルバイトの私達はただただ見とれるだけ!
「いつかこいつを食っちゃる!」と山口県出身の友人が悔しそうにつぶやいていました。
今日は彼の出身地山口県「防府天満宮」の御正祭。梅の花が見事でしょうね~。

昨日は朝からアイドリング抜きで全力疾走のような状態でした。
中国産の文字盤ロゴ取れがたて続けにきた。ロゴ貼り付け2000円1時間。これが3本。
そのあいだにグッチ、エルメスの電池交換。
何とかこなした。
最近チャイナケースは難しい物が多いね~。ロゴをぺったりと貼り付けているだけなので気温差の膨張率で簡単に剥がれる。この修理が増えてきました。

「我が国は草も桜を咲きにけり」一茶。
日本はサクラソウという野の草花まで桜の名前がついているのだね~の意。

ところが今ではサクラソウ自体が絶滅危惧植物になっているそうです。桜よりサクラソウが珍しい時代になってきました。害虫対策、遺伝子組み換え植物の増加影響などでミツバチが激減したことも要因でしょうか。

「クオーツ1級免許でも時計師と呼ぶのかね~?」と機械式時計世代から冷たい視線を感じながら今日時計組合費を払ってきた。月2500円を4か月分払う。

先輩たちの時代は機械式時計一日8本の修理を楽々出来た技術世代です。天真折れの継ぎ足しまでやっていた技術に脱帽!何とすごい技術者ばかりそろったうらやましい時代でした。

その貴重な世代もサクラソウと一緒でぼちぼち市場から消えていきます。「中国時計ばっかり来るので失敗ばっかりじゃ~!」いきなりネジのあたまがぽろっと取れてしまう事故が続くと仕事が嫌になるそうだ。
写真はカルティエ・タンク。30年超使われていてもネジは強くトルクをかけて折れません。カルティエばっかりやれたらいいね~。壽命が延びるね~。

「我が国は時間も値下げになりにけり」へなちょこ時計師。
日経新聞ではスイスブランドの時計が値下げというチョウチン記事。
爆買いが収まったというよりボーダレス社会の影響で日欧レートの価格差修正なのでしょう。1割引きでも8%の消費税がかかるのでそれほどの割安感はない。

4月4日ツバメがやって来る候。七十二候でツバメが来るということは餌になる虫も生まれてくる頃です。やぶ蚊にご注意!ヒカリ薬局では蚊取り線香の店だしが始まる。

明日から四月の始まりです。
毎月一日は今宮神社の今宮市の日。土曜日なのでバスの本数が少ない関係でちょっと回転が遅れるかも?
また第二日曜日は京都三大奇祭の一つ今宮「やすらい祭り」の日。
もうこんな季節か?と時計が進みすぎ!早く感じるね~。
それでも美味しい、嬉しいタケノコにょきにょき~♪の四月!のんびりがんばりましょう~。




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時計師の京都時間「京の砂時間」

2017-03-30 09:21:20 | 時計修理

3月30日木曜日。旧暦弥生三日のひな祭り。京都は桃の花やら梅、桜もそろって今日は女の子のお祭り。
枕草子では花は桜や梅を押しのけて梨の花がいいという。
私は桂あたりの畑にさいている大根、ジャガイモの白い可憐な花がいい。
それぞれの思い出が詰まっている京都の春。

今日はひな祭りです。
昨日西の空に一瞬見えた夕日が見事でした!、真っ赤な夕日の後には細いお月さんが顔を出します。
極楽の京都時間でしたね~。こんな夕日がきれいなのに仕事で見られない人はもののあわれをさそいます。「今日は夕日がきれいだから仕事はおしまいおしまい!」と帰って来た。
私は雨男!工房の定休日にこんな夕日が見れるのがありがたい。

時計業界では桜休みがある。桜が咲くころは入学、入社の繁忙期にあたります。ところが神がかり的に瞬間ものすごくヒマな日が訪れる。桜の開花時期の花散らしの雨でもなく普通のお天気なのに客が全く来ない日が突然ある。
神様が早くお店を閉めて花見に行ってください!という日なのでお店に店長だけ残してとっとと八坂神社に繰り出すことだ。

お花見弁当では助六(お稲荷さん)がつきもの。スキットルの中にはシングルモルト、竹の徳利には月桂冠、これは安物で良い。桜の花が主役なので素朴な料理に限る。
この日は時計は日時計、腹時計でいいと思います。
時計にお金をかけるならいづうの助六1個500円を贅沢を楽しみましょう。力餅食堂の助六なら1個100円なのだか年に一度の花見なのでカルティエ・ベルメイユを買う気分で豪華に行きましょ~。
この日は一点豪華主義!お花見は助六にこだわる時計師なのだ。
たぶんこの日の京都大丸さんの時計売り場に地下の助六鯖寿司のお店「いづう」さんの売り上げが勝つかな?勝ってほしいね~。

「おとろいや歯に喰いあてし海苔の砂」芭蕉。
春海苔を使った巻きずし。がりっと砂を噛んだ記憶がある最後の世代か?
海苔も米も砂が当然のように混ざっていたものです。今では大クレームになることでしょう。
逆に時計の中にはほこりやごみが絶対になかった時代が懐かしい。
時計生産地が中国製に変わってチープレーバーの恩恵を受けたのは国内メーカーの役員さんたちだけか。
 時折やって来る旋盤くずのかけらで止まった時計を砂を噛むような気分で見つめる日が続きます。
晴明神社、一条通りの桜も咲きました。逢魔が刻には妖艶な夕日が見られるようです。早めに帰りましょうね~。










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時計師の京都時間「京の利休忌」

2017-03-28 09:28:42 | 時計修理

3月28日火曜日。弥生の朔。裏千家では利休忌。
「寂びたるものはよし寂ばしたるもの悪しし」
パスティーシュ工房の基本姿勢がこの言葉であらわされます。
文字盤のリダンという書き換えはしない。
古い手巻きのケースにクオーツムーブを入れる作業はしない。
当時使われていたままの状態に戻してお渡しします。
ロレックスのケースにETAキャリバーを入れて販売。
IWCの文字盤をリダンして別の人気モデルに見せかけるなどなど業者さんからの依頼にはお答えしないことにしています。
すべて利休好みの工房なのだよ~ん!

今日は朔日。千本通りではタイミングよくスピード違反の取り締まりをやっていました。今日は事故に注意する日。
東北那須では雪崩の事故が起きました。
人災でしょう。
足掛け10年住んでいた期間は岩手山、八幡平を中心に年間60日は山に入っていた頃もありました。一番怖いのが雪崩。氷の塊が滑ってくるのだからひとたまりもない。
小さな屋根からの雪下ろしでも埋まったら終わりです。
春スキーでは大雪が降った後には山には入らない。また朔、望月の周辺の日には山へは行かないなど地元の風習がありました。知識はあっても生活の知恵がなくなって来たのか。
ご冥福をお祈りします。
ちょうど入学式がある4月の始めにはご注意くだされ~。東北に大雪が降る。

人災もう一つ。
東京の石原さん。
豊洲でもどこでも市場の事は京都に住む私には無関心です。ところがこの石原氏は長年芥川賞の選考委員でした。たぶん編集者に丸投げだった疑いは晴れません。市場の移転問題をすべて丸投げするほど無責任な人だ。芥川賞の選考などのエネルギーはとてももたなかったでしょう。
作曲家も小説家もゴーストのお披露目だ。「お化けはいま~す!」
田中慎弥氏の「共喰い」事件を思い出します。彼は間違いなく読んでいないと思う。

人災もう一つ。
森友学園。まるで「バスの車内から見える犬のう○こ!早く片付けてよ~!」とおもう。
見ないふりをしても見てしまう。
政治家も教育者もウ○コの様な醜いうそつきばっかり映像が露出しています。
講演に呼ばれて「謝礼金はらっていない。」と言っているおばさんが何となく火星人に見えてきました。私だって講師時代は一日14000円の謝礼金をもらえた。
面の皮が厚いおばさん事件。
「スタッフ細胞はありま~す」のおぼちゃんが可愛く見えます。

この時計業界に入ると入社直後から「美しいものを見なさい!」と指導されます。
他人の悪口は言うな!聴くな!とさだまさしさんも言っています。
写真のような芸術品に触れる毎日の仕事なのは幸せだと思う。

小さな人災もう一つ。
今朝のバスで乗車口をずーっと塞いでいたいた邪魔な女子大学生がいました。
お年寄りや子供連れの生活弱者の主要な交通手段の市バス。空席が目立つ中スマホを見つめてしがみついています。バリケードを意地で守るように見える状態が続く。
自分の立ち位置はわからないのでしょう。
この女の子終点近くの佛教大学で降りた。これは新入生のオリエンテーリングが始まる季節の風物詩。
大学も新入生へバスの乗り方から基本的な慣習を教えるのはつらいだろうね~。
新学期が落ち着く5月頃には後ろの席から詰めていく方法を学ぶのだから誰かがそっと教えているのでしょう。

明日は工房の定休日。月末近くになるとメーカーから月の締めに間に合わせるように修理品が届くので休めない。朝一番で床屋さんからとっとと戻らないといけません。

「こうるさい花が咲くとて寝釈迦なり」一茶。
桃の花が咲いていますが運送屋さんを待って工房で寝ていることにしましょうの意?
今日はお月さんが見ない朔。
ヨロズ浮かれ気分に気をつけよ~!






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時計師の京都時間「京の塩漬時間の作り方」

2017-03-27 09:34:43 | 時計修理

3月27日月曜日。
明日は弥生の朔。旧暦三月一日です。
お月様が見えないひなので事故にご注意しましょう。
ちょっとしたミスでもツキのない日は大事故につながるそうです。
満月と新月の日は交通事故が多いというデーターもある。
時計業界では以前から朝礼でも知らせるほど月の運行に敏感なのですね~。
一般の人には潮位計より月齢の文字盤が見やすいか?

京都に塩竃があったことはあまり知られていません。
在原業平が藤原氏によって西京区の十輪寺に隠遁された。隔離された!
その折々に塩を焼いて心を慰めたという。
ある日、かつての恋人藤原高子が彼をしのんで訪れた。それを知った業平は塩を焼いてその紫煙で悲しみの想いを知らせたという。今でも十輪寺に塩竃跡がある。
そうか!失恋では塩を焼くのか?
悲しみの香りはどんな気持ちになるのかやってみましょう。
悲しみの漬物まで塩を使うのが京の知恵?

クオーツ時計の塩漬けなら電池を抜くか、定期的に電池交換をやるか?どちらかでしょう。
使わないのに電池交換料金の出費はもったいない。
そんな人は一般客に向けて電池抜き取り無料サービスをやっています(プロなら自分でやって)。ご利用くだされ~!

もちろん時計にとっては定期的に電池交換を繰り返し稼働させたほうがいいと思います。
最悪止まった状態で電池入れっぱなしが故障の要因になりやすい。

時計は機械を製造する際に来上がって同時に電池を入れて精度を安定させます。その後それぞれの製品に入れ込むケーシング作業の工程です。
国産時計の場合ムーブメントは日本で作ってケーシング作業は中国でやるのが通例なのでお客様の手元の届くまで数か月かかるのです。
通常2年の電池寿命なら1年くらいで止まることも当然あるのでモニター電池と呼びます。これは故障ではありません。時計に電池代は含まれないのだ。
スイス時計は当然スイス製の電池レナータ製が組み込まれていますので止まったら早めに電池交換するか抜くかの対策をとりましょう。
液漏れが始まると最悪機械交換の修理になり電池交換1000円で済むところ数万円かかる場合もあります。

修理作業では蓋を開けてセイコー、マクセル、ソニーなど国産の電池を使っているモデルが来るとホッとします。余計な液漏れの心配をしなくていいし電極掃除も不要になる。
時計の塩付けにも知識が必要なのですね~。

 重症の恋の塩付け時間なら京都!
京都は出会いよりも別れの街。有名なプレーボーイの在原業平も悩んだのか~!ざまーみろと思う。
西行法師の出家の原因もどうやらそれらしい!
そこで男の子でも貴船神社、詩仙堂、大原の里がおすすめ!歩き回ったら疲れてぐっすり眠れます。
エビスビールを飲みながらとっとと忘れましょ!

「こずえからはやす蛙やをどり花」一茶。
この句を詠むおどり花の「踊り」はもちろん上七軒「北野をどり」を思い出す穏やかな舞。
こずえにカエルがぁ~!北野をどりにオヤジがぁ~!と見つけてびっくりしないようにしましょうね。
私は理数系。高校生時代の国語の時間は昼寝か瞑想の時間でした。古文などの解釈は勝手に想像してるのでどうやら普通と違うらしい。
人文系の皆さんは怒らないでくだされ~!







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時計師の京都時間「三文の時間」

2017-03-26 09:37:47 | 時計修理

3月26日日曜日。上賀茂神社「手作り市」の開催日。
明日は表千家の利休忌。西陣地区ではキモノ姿の女性の艶やかさが映える日。

利休邸跡にある晴明神社に立ち寄るのも風情があってよろしいか?しばし利を休んで一服。
私は禁煙9年目に入る。一服とはたばこを吸う5分間程度の時間。
これを30分も一服していたのでは勤務評価に差し支えますよ~ん。

私は愛煙家当時、マイルドセブンひと箱250円時代から以来記憶が途絶えていまがいまだに夢の中ではタバコを吸っている。成田空港でゴロワーズからマイルドセブンに変えてホッとして仕事に向かう最高の一本。
時計1本仕上げるたびにタバコを吸う習慣がありました。難しい仕事後の自己満足の一服は最高な味がした。
写真のような高級時計なら二本は吸えるだろうと自分に言い聞かせながら休憩。次第に本数が増えて一日2箱のヘビースモーカーになってしまう。

最近、京都では気が付かないうちにこの一服タイムの風景が消えました。最近見たのが京都コンサートホールの喫煙所くらいか?寒風にさらされて濡れ雀の群れ、何となくみじめな気がする。ホテル内のシガーバーもいつの間にか見当たらない絶滅危惧種か?

京都でタバコというとキセルンの文化でしょう。いたずら坊主はキセルでポンと頭をたたかれる。
江戸時代に使われていた煙草盆セットを時折時折天神市で見かけていました。
煙草盆と有明行灯の時代によく火事が起きたというので京都人は寝たばこ禁止が徹底されているという。
嫁さんの実家では寝室に灰皿がないのに普通と違う違和感がありました。

有明行灯というのは枕元に置く灯り、夜間真っ暗なので唯一の常夜灯でした。若い世代はこれを知らない!
明治になるとボンボン時計が時刻を知らせるので夜のお役たち仲間が増えた。

真っ暗の暗闇にボンボンとなる音で目が覚めてちょうど二つなるとまもなく丑の刻の時間がそろそろ来る。これは恐怖でしたね~。唯一の助けが有明行灯。
中学生のころ住んでいた平戸沖の離島では当時22時になると送電が止められ真っ暗!この夜の怖さを体験した最後の世代になるかね~。
丑の刻になると直ぐとなりにある小さな池から何かがピチャピチャ這い出して来るような音が聞こえるのです。いまだに不思議だ。

現在掛時部門では音が出るとクレームになるので夜間室内が暗くなると自動的に針が止まるモデルが売れる。
腕時計専門の修理工房でも時折ボンボン時計の修理依頼が舞い込むがすべてお断り。今ではボランティアで文化財の修理をやっている「仲間修理」だけを細々と続けています。

「古桶や二文樒も花の咲く」一茶。
今では古桶もないし仏壇もない家庭が増えた。せめて樒の花とささやかな香りを楽しんでもらいたい。
煙草をやめてふと樒の花の香りを感じた時にやめてよかったと思った記憶がある。なにかを失うと何かをもらう京都なのでしょう。
明日は利休忌。
大徳寺さんの裏を通って工房入りします。









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