京都 洛北の時計師 修理日記

時計修理工房「ヌーベル・パスティーシュ」京都の洛北に展開する時計修理物語。
夜久野高原で営業再開しました。

時計師の京都時間「知の輪くぐり時間」

2015-06-30 09:12:06 | 時計修理

6月30日火曜日の晦日
朝から北野天満宮「夏越の払え」に行く。
式は夕刻4時からなのでちょっと早すぎるが時間の都合で中学生に混ざってお参りしてきました。
今年も半年すぎて無事を感謝し残り半年の心の平和をお祈りしてきました。
雨にも降られず修学旅行の仲良しグループの皆さんは境内をのんびり散策。よかったね~!と思う。
それにしても境内にある造作物の大きさには驚きます。写真の常夜灯「日月光」の存在感はすごい!
お参りを済ませてとっとと工房に向かう。修学旅行の中学生の集団にオヤジは似合わないのだ。

この半年を振り返る。
円安とスイスフラン高で高額時計の修理依頼は激減。高額修理はプロ同士仲間修理に頼る売り上げなので数年前から3割高の料金はさすがにこたえた。
ヨーロッパへ留学していた学生も途中で戻ってきた。
語学留学の期間を終えてこれから専門課程と言うときに資金が尽きたそうだ。「アベクロ」発の円安政策に怒りがこもったこの半年です。
「海外留学を勧めていながら円安を進める。足をつかんで飛べ!」といっているようなものだ。
おまけに「戦争法案」まで引っ張りだしてきた。
日本が戦争国家になるので海外で生活している人に余計な不安材料になる。これから残りの半年「安倍一族」の凋落もお願いしてきた。

可哀想なのが長州(山口県)から来た修学旅行生です。京都は歴史的に長州ファンの町。京都女子マラソンでも山口県代表が走ると声援がすごい。宿も西陣のホテルが定宿で居心地がいいという。
ところが最近の安倍一族の影響で一気に冷めてきたようだ。京都の疫病神だ!

海外からの観光客は増えたが宿泊数は減少、また外食産業もぱっとしない。中国製キモノで伝統的な繊維産業は急激に悪化。いまや西陣で「アベノミクス」は疫病神と同じ用語になった。

「キモノDE京都」の散策を楽しむ人も増えるがよく見るとテラテラ中国製キモノなのだ。これでも京都の伝統産業にはまったく効果がない。
 また中国人旅行者のマナーの悪さにうんざりする。ホテルの室内の散らかし方は人間と思えないほど悲惨だと言う。
カップラーメンの汁は残したまま、鳥の骨が床に散乱しているなど清掃員は泣きたくなるそうだ。
「悪貨が良貨を駆逐する!」原則はここでも生きている。普通の観光客が逃げるぞ!

「時計屋さんは器用でいいね~!」と一般のお客様からの評価がある。
これが大間違いなのです。実際は不器用な人が多い。
バイヤー時代に19店舗の時計技術者を見てきたが器用な人は少なかった。やっと自慢できるスキルでは忍耐力と持続力。これで生き残ってきた人が多い。

また必要なスキルでは「クールダウン」を速やかに出来ることです。
クオーツ時計の電池交換一つでも無事に終わるとほっとする。緊張の後に来る脱力感を短時間で回復させること。スケルトンの裏ブタを無事に割らないで完了した後は特にぐったり来る。裏ブタに付くガラスは限りなく薄く割れやすいのだ。

また中国製「スカーゲン」のガラスが弱い。
「割れるか?割れるか?もうちょっとしめるぞ~!」微妙な力加減で締め付けていく。この緊張感がたまらないのだ。
中にはアルコールに頼り中毒になるケースもあるほど緊張する仕事内容です。
痔の病気とアルコール中毒は職業病だ。

このクールダウンの力が最近は役に立つね~!腹が立つことばっかりだ。
明日は定休日です。
ブログはお休みですが今宮神社の手つくり市を見に行く予定だけなので10時前には工房に入れます。

プロ同士の仲間修理が減ってきた分、一般のお客さんが増えました。
特に定休日の水曜日の来店客数の増加には驚きます。水曜日だけがお休みだ!と言う人が増えてきたようです。
まあこれから半年、よろしくお付き合いくださいね~。






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時計師の京都時間「梅雨の晴れ間」

2015-06-29 09:05:41 | 時計修理

6月29日月曜日。
梅雨の晴れ間の京都。緑が鮮やかの一日になりそうです。こんないいお天気なのに月曜日なのじゃ~。
明日は夏越の祓、残り半年の無事に送れるように神様に祈る行事の日。
 開店前に北野天満宮の知の輪くぐりに行ってきます。
翌日の1日が水曜日なので恒例の今宮神社の手作り市を散策と連日のお宮参りは雨の予報。
今日の晴天がなんともうらめしい。せめて一日ずれてくれたら~と思う。

時計師は不運な職業だと叩きこまれた。
朝食のトーストを落としてしまうとバターやジャムをぬったほうが下になる。時計を落すと文字盤が下になる。
確率は二分の一のはずなのだがいつものことだ。シャツを着る場合前後確認しないと前後逆になる。仕事中どうも気持ち悪いと思ったらシャツが逆。
ネクタイの隙間から白いシャツが見えている人はほぼ時計師なのだ。

仲間と食事に行くと時計師グループだけ注文を忘れられる。または私の注文がいつも最後だ。
ハエが飛び込んでくる時は決まって私のさらに飛び込んで入る。この広い店内によく私の皿を選んでくれたと感謝するのです。
休憩時間のコツは他業種の半分位の30分だと思うことでしょう。居酒屋で「おねーさん!注文入っている?」と何度も確認するグループは決まって時計師の集団なのだ。

ギャンブルはご法度の仕事です。競馬、競輪、ボートやパチンコまで当然負ける運命なのだ。
時計の仕事をしていると数字に強くなるのも不運だ。
ギャンブルにはつき物の胴元の取り分を計算すると必ず負ける統計が出る。これでは始めからあきらめて気合が入らないのでしょう。
ニースやマカオのカジノに行っても周辺の時計屋を観察しただけでした。

もともと時計の仕事に就いただけでも勝ち目のないギャンブルをやっているようなものだ。
国産メーカーの販売店では定価の60%が仕入れ率。市場では2割引で売るのが通例。
結果、利益は2割だけ残る。別に保証書、化粧箱、包装紙、ディスプレイ用品は有料。一万円の時計を販売しても1000円ほどの利益しか出ない計算になります。

スイスの時計販売店なら仕入高で仕入れ価格が変わる変動性。仕入額が高いほど安く仕入れが出来る。
通常一度の仕入れに3000万円ほどでやっと大手の量販店と競争が出来る程度。
その際、商品に不良品や傷が付いていても返品は不可能なのだ。

おおらかなアマチュア時計愛好家がこの商売を始めると不良品や売れないモデルをつかまされて失敗する。悪魔の執拗なほどの繊細さの仕事なのです。
時計の神様はクロノス。ヨーロッパでは大きな草刈カマをもった貧相な死神がそれ、私たちの神様なのです。
神様と悪魔がセットでそろっている仕事です。

この世界で生き残るためにはウサギの耳が必用、常におどおどと周辺を気にします。
時計の裏ブタを開けると出来る限り短時間で閉める。「しゃべてないで早く閉めろ!」と怒鳴られる。
写真撮影ではクオーツ時計の電池交換の場合すべて作業を終了した後に撮る。
スープの皿と同じうっかりしているとハエが飛び込んできます。本当に小バエが入る!
時計師と書いて貧乏神と読みます。

明日は雨!暴風雨を予測しながら出かけると意外と小雨だったりします。ラッキー!
明日は北野サンにお参りに行きますね。
開店時間の10時までには戻ってくるのでよろしくお願いいたします。途中、転んでもたどり着けるくらいの余裕を持って出かけますよ~ん。




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時計師の京都時間「水無月時間」

2015-06-28 10:05:31 | 時計修理

6月28日大安吉日の日曜日。
京都は結婚式の集中日!どこに行っても晴れやかな笑顔になる日。
最近は上賀茂神社、岡崎の平安神宮など神社の結婚式が多いそうです。

招待客には交通アクセスもよくん道に迷うこともない。方向音痴の私の嫁さんも一発でいける。
結婚式後には初詣など式をあげた思い出の場所になるので結婚記念日など忘れてしまうこともないのでいい選択方法なのでしょう。

お寺さんで結婚式を挙げる人はいない?
ちなみに千本の閻魔さんのまえで永遠の誓いをする度胸があるカップルが出てくればいいかも?

写真はオメガ。オメガのトップクラスの技術が証明されたようなモデルです。
時計の裏側にあるリューズでネジを巻き上げる構造です。
ホワイトゴールド・手巻き。ベゼルには時計に採用されるにはちょっと大き目のダイヤが目立ちます。
結婚式に着けていくモデル。非防水なので式後のメンテナンスにやってきます。ここまで完成されている時計はキモノにも似合う。
今週は株主総会後、冷や汗をかいた時計のメンテナンス集中日でもある。

ところで和菓子・水無月の季節になりました。外郎(うりろう)の上につぶ餡が乗っているもの。
「なんじゃこりゃ~?」よそさんの私に驚きのお菓子の一つです。
何せ南国・長崎県育ち。同じような寒天ならお正月の食べ物です。真っ赤に色付けされたゼリー状の食べ物がお正月のおせち料理には定番でした。

その同じお菓子を夏の暑いときに食べるのだ!「なんじゃ~この京都人?」と文化の違いを叩き込まれるのでした。
暑い盛りに水無月と宇治のお茶で涼しい顔をしていただくのが京都人です。汗をだらだらかくのは反則!罰金を取られるぞ~!(嘘)

水無月を食たら今度は祇園祭。全国の京おんなが京都へ帰省してやかましくなります。
よそさんの私にはちょっと肩身が狭くなる季節。
「あら!あんたいつ長崎に帰らはるん?」といやみの一発を食らう。
嫁さんとは同じ歳なので仲間の女子も私の身体が長崎チャンポンとカステラで出来ていることを知っているのだ。
近くに寄るとチャンポンのにおいがプ~ンとするらしい。

7月10、11,12日は祇園祭の鉾たて集中日。私も借り出されるので10日の午前中、工房はお休みになります。
最近の祇園祭は外人のボランティアなくして成り立たなくなってきた?そこで南の島からやってきた長崎チャンポン人も憧れの祇園祭にも参加できるようになりました。めでたしめでたし~。
ただ顔を見ると下駄に目鼻。一発でよそさんとわかる。京都顔はほっそりとした京都ならではの顔だ、山鉾でお囃子を担当している人たちと私は顔が違う!
「あいつはよそさん!ぱっちもんや~!」と騒ぎになりかねないので夜間お当番など裏方に回るのです。

工房は7月10日は午前中はお休み。17日の先祭り・山鉾巡行までの1週間は通常通りの営業になります。よろしくね~!






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時計師の京都時間「1955」

2015-06-27 09:02:03 | 時計修理

6月27日土曜日
「九州では毎日雨ばっかりたいね~!」と島原ソーメンが届いた。長崎でも今年は雨ばっかりだそうです。
毎年恒例になったそうめんがありがたい京都の7月はすぐに来る。

写真はエルジン。1955年生まれの私はエルジンの栄光を知っている世代です。
時間を合わせるときにリューズボタンを押してモーターの力で針を動かす。これがおしゃれでした。リューズをボールペンの先で押すと針が動くのだ。

電池交換では2本のネジを緩めるのだがネジが小さく押さえバネが強いので難易度は高い。
エルジンをなめてはいけない。ショパールより難しい。
残念ながら今では山口県で細々と生産されているメーカーに落ちぶれてしまった。
若い世代の修理技術者には安物ジャンク品のイメージが強いのでしょう。修理には気をつけたい高級時計の素材が使用されています。

エルジン、ハミルトン、ウオルサム、ブローバなど1900年初頭アメリカ東部が世界の高級時計の生産地だった懐かしい思い出がある。
いつの間にかほとんどが中国製。ハミルトンまでメイド・イン・チャイナになったのを見ると悲しくなった。オバマが悪いのか?ブッシュの責任なのか?
誰のせいでもない日本のセイコー・クオーツの影響なのだ。

最近1955年生まれがご迷惑をかけているので肩身が狭い。
ちなみに「安倍のおぼっちゃま、腐った民主ドジョー、百田尚樹」使用済み核燃料世代だ。
脳みそは退化してほとんど使えない。小説を書かせるとチョウチン小説。政治をやらせると右へ右へと金のほうへ曲がってまっすぐ歩けない。

ブスブスと騒ぎ出しセシウムより迷惑で危険極まりない物体。おまけにどこに持っていっても「こっち こんといて!」と嫌われる。
そんな1955年・昭和30年生まれが今年60歳になる。
この使用済み核燃料世代がこのまま平均寿命まで生きると半減期の残り20年は危険にくすぶり続ける計算になる。

昨日雨を突いていった銭湯で「この世代にろくなやつがいてへんな!」といわれると私はうつむくしかない。
「そうだ!ヨー・ヨー・マがいました!昭和30年生まれのチェリストだ。」と言っても知名度は少ない。
さびしくしばらくは隠れています。隠れ昭和30年世代だ。

今日、嫁さんは女子会。夜は外食だ。
「今日晩御飯どこかで食べてや~!」「はーい。」
「どこで食べるの?王将か?ラーメン天狗か?」と気になるらしい。
気にしてもらえるだけ平和なのだとおもう。

1955年生まれの女子は元気だ!梅雨の雨降りの中に元気に飛び出していきました。
「あいつ元気やね~!なに食っているにゃ~?」
使用済み核燃料オヤジはとぼとぼと工房にやってきて朝10時。さあ仕事を始めましょう!














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時計師の京都時間「

2015-06-26 09:54:44 | 時計修理

6月26日金曜日。
写真はグランドセイコー直前のモデル。電池がSR43の大型電池を使用。ロレックスのクオーツモデルと同じ電池なので3年は確実に持つはず。電池交換1000円なのでお客様にはお買い得?な工房なのでしょう。

週末が大安の日曜日。結婚式の集中日だ!
式服といっしょに時計も着けていかないいけない!そこで引き出しから昔の時計を引っ張り出して工房にやってくる。その中に写真のようなお宝が眠っていたとは!

結婚式の祝辞に「三つの袋」のはなしが出る。
時計業界ではこの内容が袋に変わって「三つの石」になる。道具も材料も元のままでは使わない業界だ。

一つは心の石。
時計を触っていると心が砕けるほど緊張するシーンが出てくる。一日心が乾くので仕事が終わったらアルコールで湿らせるのです。
これを毎日続けないといつの間にか心石が割れてしまう。中国製時計が続けてやってくると突然暴れだす可能性が出てくる。ご主人にはお酒を飲ませて上げましょう。くわばわくわばら。

二つ目「耳石」
耳石は厄介である。この石はとくに朝の出勤前に楽しい、美しいお話が聞きたい。
時計工場ではクレームばかりで耳石が割れそうになるので自宅に戻ったら楽しい美しい会話に心がけましょう。
「口はご飯を食べるときだけに使え!」しゃべっていると仕事にならないので時計師は無口な人が多いのも特徴です。口が退化しその代わり耳だけは発達する。「耳石を大切にしましょう」

最後に「へそ石」がある。これまた厄介だ!
時計は厄介な壊れ形をした時計がやってくる。「神様はお前が不可能な仕事は回さない!」が鉄則なので逃げられない。
そこでチャレンジすると必ず失敗する。シャネルのガラス、オメガの裏ブタ・スケルトンガラス、ショパールのガラスから始まって落とし穴にワニが口を開けて待っているような業界です。
自宅に戻って仕事の失敗が続く日々の毎日なので速攻眠りたいところだがそのまま眠ってはダメ!
そこで「へそ石」の問題が発生するのです。
この時計師のへそ石は単独では生きられません。必ず三日に一度はほかのへそ石と触れ合わないと割れてしまうのだ。
貧乏時計師はつぶしが利かない仕事なのでこのヘソ石が割れると陸に上がった河童!日なたのミミズだ。
時計師の奥さんになるなら夜は石が割れないようにヘソ合わせの仕事があるのでご協力しましょうね!
薄利の貧乏な生活なのでキャバクラやら風俗に頼ることは生涯あきらめましょう。正直私も自慢じゃないがキャバクラには行ったことがない。
膨大な資料と歴史の時計店で絶望して問題を起す女子社員の面倒を見ているとチャレンジする勇気が起きないのだ。

ところで時計店をやっているご夫婦は商店街でも有名なおしどり夫婦が多い。
この「ヘソ石伝説」をよく守ってきたからなのでしょう。
今週の日曜日は結婚式の集中日!
この未来が見えない不況のまっただ中勇気があるカップルに「三つの石」で乾杯しましょうね!



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