京都 洛北の時計師 修理日記

時計修理工房「ヌーベル・パスティーシュ」京都の洛北に展開する時計修理物語。
夜久野高原で営業再開しました。

時計師の京都時間

2011-11-30 15:57:26 | 日記

今日は工房がお休み。
時計旋盤は冬寒くなるとベルトがよく切れる。
そこで縄跳びのプラスティックのヒモをつないで対応。

市販の旋盤ベルトでは調子が出てきた頃に切れたりするのです。
知り合いの時計師に聞いたところやはり縄跳びのヒモが良いそうだ。
同じ材料に行き着くところが面白い。

午前中、残った仕事を終わって夫婦仲良く銀行まわり。

11月のカレンダーが悪い。水曜日が月末にあたる。先週は祝日だ。
銀行が混んでいて待ち時間が長い。
二人で話していると呼び出しの声を聞き逃したりする。
「何の役にもたたんなりね~!」

時間が押しているので回転寿司「くらすし」西陣店に行きました。
10年ぶりの回転寿司。システムが面白くておやじでも遊べます。

嫁さんは回ってくるおすしが面白いらしく片っ端からテーブルに並べていく。
私が食べる係りになる。味見係りだ!
「OK!」「いまいち」「だめ」反応を聞いてその後食べる。
平戸沖の島育ちの私だ。魚の新鮮度テスタ-として利用される。

食後、腹ごなしに御所へ散歩。
今年は暖かいので紅葉は例年に比べて寂しい。赤や緑や黄色さまざま。個性的な紅葉でした。


ぼちぼちニューイヤーコンサートを決めないといけない。
12月29日(日)川畠成道2012ニューイヤーコンサート。
パンフレットが届きました。

pfが私の好きなピアニスト「寺嶋陸也」だ。絶対お勧め!
ところが東京の紀尾井ホール。「残念!」
この日はパスティーシュ工房の仕事収めに当たる。

川畠さんの音を聞いた後は自分のチェロの音がよくなる。
いつも不思議な効果に驚いています。
せめて名古屋あたりだったらコンサートの後に「味噌煮込みうどん」とセットで楽しめたのに!
本当に残念だ!

正月の大雪には泣かされました。
今年は近所のコンサートに決めました。

ところで「おいでやす」と「おこしやす」とでは歓迎の意味が違うそうだ。
先日、銭湯で聞いた。

大切なお客様を迎えるときに「おこしやす」
どうでもいいお客を迎えるときに「おいでやす」が京都ルールだそうだ。

私は「おこしやす」と言われて迎えられたことがあまりない!
殆ど気楽に「おいでやす!」
または「おっ!いらしゃい!ン?なんや~耳のでかい座敷わらしかいな~!」なのだ。

「おこしやす」と迎えられると高くつきそうで怖いなーと漠然と思っていた!

「川畠成道」さんは京都の常連になりました。今年で40歳でしょうか。
「おいでやす!」グループに仲間入り年齢に到達おめでとう。
京都はおやじ天国!歓迎!

明日から12月。師走。「なんちゃって時計師」も一応自転車で走っています。
自転車の飲酒運転取締りが強化されるそうだ。

「そこの人!二人乗りはアカンで!」おまわりさんから注意された。
急に自転車のペダルが重くなったと思ったときだったのでびっくりしてこけた!
路地の走行は要注意です。

「官休庵」の武車小路通りは舗装がされて歩きやすくなりました。
一条通りよりこの道がお勧めです。

「お化けさん」も師走はいそがしいらしい。


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時計師の京都時間

2011-11-29 13:00:00 | 日記

大阪のダブル選挙も無事に終わりました。
よその町のお祭りなので少し冷ややかな京都。

お勧めの本。
「錨を上げよ」百田尚樹 講談社。
作者は私と同年代です。1956年生まれ。

この時代に生まれた人たちにお勧め!
±5年ほどタイトな世代に受ける小説のようだ。出版社に感謝。ありがたい。

昔の傷を抉り出して塩を振りかけたような小説でした。

長編でしたが2日間で読み上げた。
途中「うへ~!」恥ずかしさにもだえながら奇声を上げるので嫁さんら文句を言われながらの完読!
今、嫁さんが読んでいます。

子供時代の大阪から始まる物語です。
私の(長崎の高島炭鉱から記憶が始まる)小学生時代と酷似しているのが気持ち悪い。
あの世界を生き残れた。それだけでも奇跡のような時代だ。

死のわながぽっかりと口をあけて仕掛けてある時代。
使い捨てが出来るようなくらい多くの子供たち、子供は粗末な存在でした。

その後、1970年代後半、京都のスケッチは見事。
同志社大学と立命館大学の違いはあるが私も同じ光景を見ていた。
10万人以上の若者を京都の田舎町に詰め込んだ社会実験都市。

いつも何かに怒っていた。
若者が何かの不満を抱えていて爆発寸前のような町でした。

アルバイトの時間給も正確に描写されている!
今でも怒りがふつふつと湧いてくるのです。
「不払いのバイト料かえせ~!」

彼が放送作家のスキルはすごい!
会話がその時代、時代を正確に描写している。記憶力の確かさには驚いた。
今の大学生にはノンフィクションの歴史小説として面白いと思う。

各1900円と高いので図書館を利用しましょう。
私は「永遠の0」と一緒にアマゾンに発注しました!

今年いただいたお酒も残りあと2本。
そろそろ年末になるとあちこちの時計屋さんから差し入れが届きます。
酔っ払うための道具がいつの間にか?「薬」に変わっている。

車のガソリンを補給するようなものでした。
「しらふでやってられるか~!」
時々怒りが噴出していました。

「この店の一番うまいのは自慢のアサヒビールや。ビールを冷やす冷蔵庫が二番じゃ!
今日で初七日迎える魚の供養をしに来た!おばちゃん!おれらが生きて帰れるのをたのむわ!」
「ほい!去年の秋亡くなった冷凍秋刀魚じゃ~!はよ~おたべ。」
さぞや憎ったらしい大学生だったでしょう。

太秦・衣笠周辺の飲み屋のおばちゃん達に足を向けて眠れないことを思い出した!
飲み屋のおばちゃん達は京都の宝物なのだ!

明日はお休み!
今日はゆっくりと月桂冠と冷凍秋刀魚を味わいましょう!














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時計師の京都時間

2011-11-28 13:30:51 | 日記

ボンボン時計も調整に入っています。
一日5分ほど進む状態から徐々に1分以内まで精度を上げます。

昨日、同じような機械式掛時計の修理依頼をお断りしました。
しばらく掛時計の修理は予約品のみになります。

11月7日。「亥の日の火入れ」11月の初めの亥の日。
京都ではこの日にストーブを用意する。
いっせいに冬支度が始まる。

茶道教室では「風炉」から「炉」にかわります。
「ちょっと手伝ってもらえへん?」
ストーブを出して灯油を用意していつでも暖房が出来るようにする。

西陣は「生火」は危険。京町屋が密集している西陣地区。
炭のにおいが漂うだけでドキッとする。火事が怖いのです。

「腰痛」持ちの私は準備してこの日を迎えた。これも怖いドキドキだ。
「ぎっくり腰になりませんように!」毎年祈るような気分だ。
今年は無事に12月を迎えられそうでよかった!

私がさらに怖いのは12月22日。「冬至」
京都では「冬至」にかぼちゃを食べる。

私は「かぼちゃ」と「ブルックナー」が嫌いだ!
どちらもサービス精神が感じられない。退屈なだけだ。

我が家では日常「かぼちゃ」を食卓に出さない。気を使ってくれます。

「かぼちゃプリン」を間違って食べた時にはその晩高熱が出た。
夢の中でブルックナーの同じフレーズが繰り返し鳴り響いていた。

逆にブルックナーを聞いたときにはかぼちゃを食べる夢を見る。
2つセットの恐怖感です。

ところが12月の「冬至」だけは別。
「ナンキン」「ぎんなん」「にんじん」「れんこん」など
「ん」が二つ付くものを食べる。運が付くそうだ。

当然、この日はなんきん(かぼちゃ)が主役。堂々と食卓に上る。

どこの食堂に逃げてもかぼちゃが出てくるので最近はあきらめた。
出される料理には一切箸をつけないのが京都ルール。

大好きなレンコン、銀杏をにらみながら我慢の夕食だ。

食事が終わって「ごちそうさま!」と言う。
「よろしゅうおあがり」と答えが返ってきます。
他府県で育った子供たちは驚きます。

食べたあとに「よろしゅうおあがり」はおかしい!と言う。
「食べていただいてありがとうございました」の意なのです。

その後、私の手をつけられずに残った料理は子供たちに小分けされる。
苦手なものが一品でも残すのならその皿の一切に手をつけない。
捨てるのがもったいないのだ。

お腹がすくのでラーメン屋さんに行く。
「お早うお帰り」といつもの声が聞こえる。
京都では出かける時に「お早ようお帰り」と送り出す。
待っている人がいると思うと気持ちがいいのです。

夫婦喧嘩して家を飛び出す時にも、
「お早うお帰り」と送り出される。
遊ばれているようで勢いがなくなるのだ。

11月も明日で終わり。
「寄り道せんと、お早うお帰りやす!」
お銚子2本で心も身体も温まる。
お店の人に送り出されてとぼとぼ自宅に帰る幸福感がある。
京都の五辻通りは暖かい。
冬は好きな季節です。








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時計師の京都時間

2011-11-27 13:55:21 | 日記

今日は穏やかな日曜日。
大阪ではダブル選挙の投票日。

選挙の日は「小売業は不況」
客の流れが止まるので投票日の売上は予算の80%程度で我慢です。
大阪の時計屋さんは『残念』の一日でしょうか?

『朔風払葉』紅葉の葉が域に落ちる27日。
歳末商戦の本格的な始まりです。

購読している朝日新聞はこの1週間「大阪の選挙」一色の記事内容でした。
「大阪新聞に名前を変えたらええのや~!大阪ばっかりが読者か!」
選挙に関係のない京都の購読者にはうらやましい半分、腹立たしい。

この時期に困るのが「おとり置き」
『もうすぐボーナスが出るから』と、おとり置き。
その時の気分で衝動予約をする人が多い季節だ。

「お客様がなかなか引き取りに来てくれないのです。」
12月23日になっても来ない。
60万ほどのカルチェ。
人気のブランドでも数十万円の高額なのでなかなか売れません。

時計は現金買取なので在庫がコンピューターから在庫が消えないとはらはらするのだ。
「電話でのご連絡をつけてキャンセル扱いにしてくれ!」

陳列されていないとこの時期を逃すと数ヶ月間在庫を持つ事になりそうだ。
「やっぱり来ませんでしたね~!」店長さんの気楽な一言に腹が立つ。

クリスマスのディスプレイを取り外す25日の夜にきれいなカルチェが悲しい。
毎年、どこかのお店で繰り返される「残念時計」だ。

予約キャンセルは「カルチェ」、修理キャンセルは「オメガ」が多い。
「オメガ」は時計の本体価格が安い。
修理料金が普通にかかるのでギャップに驚くのだ。
ほしかったのだけど買えなかった憧れの時計たちのお話です。

京都ルールのお話パート2.
『バス停』
京都の人はバス停では並ばない。
きちんと並んでいるのは京都駅のバス乗り場くらいのものだ。
ここは「よそさん」が多い。

朝のバス停。
この時間帯は地元民たちの利用時間。
バス停付近にばらばらでバスを待つ。

9系統の京都駅行きのバスがやってきた。
障害者・妊婦・高齢者・女性・男性・おばけはんの順でバスに乗り込む。

男性より女性を優先するのは欧米の習慣ではない。
「おやかましさん」対策なのだ。

「あそこのだんなさん!私より早よ乗らはったでぇ~。」「へ~!」
一瞬で全人格と品位を否定される事になるのだ。
私はバス停では乗車まで目配りを怠らないようにしている。

乗車順位を決定するのはこの「京女」の皆様なのです。
働く女性が多い町。通勤に使うのだ。

20歳くらいの女性でも「おやかましさん」予備軍です。
事情で彼女の先に乗車する場合「お先です!」と宣言しましょう。

行きつけの喫茶店などから出る場合、
「おやかましさんどした!」お店の人に一言挨拶にも使います。
男性は使いません。「やかましい」のは女性だけの特権なのだ。

最後の「お化けさん」とは視線を合わせない。
「こいつ私がみえているよ~!」と近寄ってきます。
バスには乗らないで付近をウロウロしているだけだ。
軽く無視しましょう。

バスに乗り込んでドア越しに観察するのがコツ。
時折眼が合うのですがその時点でこちらは安全な距離なのだ。

京都駅の場合。長い列が出来ています。

障害者の人が列の先頭に割り込む時があります。
私が体験した京都ルール。
「よそさん」の後ろのほうからブーイングが聞こえた。

すかさず「おやかましさん集団」が登場。
「京都は足が悪い人が先にのるのやな~。」
「ころんで迷惑にならんようにしてるんです!すんませんなー!」
適度な大声で並んでいる人は聞こえる。これが出来るのが「京女」です。
和やかなひと時でした。

京都はバスの乗車時間が長くても30分程度。小さな箱庭のような都市。
少し立っていることで気分のいい時間を選択するのです。

工房がある大宮玄以。京都駅から9系統。30分で「下岸町」下車。徒歩5分。
「ヌーベル・パスティーシュ」時計修理工房。
「北山しぐれ」の本場です。
「時計忘れても傘を忘れず」にご来店ください。













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時計師の京都時間

2011-11-26 13:46:21 | 日記

久しぶりの掛時計の修理です。

ブログでもご案内の通り掛時計修理はお断りしていました。
お客様はこのブロ愚に立ち寄っていただけない人らしい。

「時計を修理して4ヶ月で止まった!」
原因は簡単なのだ!
お客様が時計の知識がない。または、修理した時計屋さんの技術が悪い。

故障の原因
①「振りさお」(振り子をつるす針金)の曲がり。
写真のように曲がっていると簡単な振動で止まる。
途中「U」の字になっているところは針の軸を避けるためのカーブ。

②アンクルさおのヘタリ。簡単な修理です。
竿を押すアンクルの消耗。

大変だったのが時報のタイミングが10分ほど早い。
これはお客様が針を逆に回して起きる故障です。

これも時計師の説明不足が要因でしょう。機械式掛時計の針の逆回しはご法度だ。
中真車が逆回りして起きる故障です。

昼間はウオッチの修理で忙しいので木曜日の夜の作業になりました。

今日まで元気に動いています。
修理料金5000円。
機械式掛時計は長時間の作業なのだ。
一気に組み立てないとそれぞれ部品の精度が落ちる。

しばらく掛時計の修理は避けたい。
非常に寒くい京都。
耳がしもやけになります。指が芋虫、腰の激痛。

九州の焼酎「二枚目」に助けてもらった。
これは一杯ですぐにカーッと暖かくなって便利!
時計の修理料金よりお酒代金が高い?しおしおのぱ~!

京都・スリー・イヤーズ・ルール。「KTSR」
京都・西陣のお約束事です。

先代から仕事を引き継いだ3年間は新規の事業に手を出さない。
ひたすら先代の仕事の模倣に徹して基礎を磨く。

もちろん遊びも控えます。
この間、新規の事業を始めようものなら、皆、眼と口を閉じて覚悟します。
誰も忠告しません。逆恨みが怖いのだ。

有名な工房では親が元気な時に引き継ぐ時。3年ほどぶらぶらと親の仕事を見せるだけ。
子供もそばで親の仕事を見つめているだけ。

仕事に沿った身体と忍耐力を作る。
このような過程で特殊な技術を伝承していきます。

ところが跡継ぎが東京から戻るパターンもある。
商社などは「TWR」3週間で結果を出すスキルが要求される仕事です。
このパターンは悲劇に終わる例が多い。時差が大きいのだ。

例として
時計屋は「TMR」3ヶ月間辛抱しましょう。
ところが、新店長として赴任早々「売り場改装」の許可依頼を出して来る。

「この馬鹿!たれ!1月の成人の日まで何で我慢できんのじゃ~!」
バイヤーは心の中で呪います。

商社出身の天下り社長は簡単に許可のはんこを押していた。
商社上がりは身にしみ付いた時間の感覚「スピード」が命なのだ。
「君が面倒見てくれ!」
社長のいつもの責任逃れだ。よくて当たり前。悪い結果なら私の責任だ。
そして思いつきの計画はいつも失敗する。

今まで時間をかけて売り場を造り上げたところだ。後は実を取る直前の11月だ。
量販期直前の異動は新任の店長に花を持たせようとする采配なのだ。

改装してしまった結果、年末の売上は最悪。
ボーナスをもらってすぐに退職してしまうベテラン社員まで出る始末だ。
化粧箱ひとつ場所が違うだけで仕事の流れは止まる。

新任店長の授業料はいつも高くつく。
実は私も新任店長と同じことをやってきたのだ。ははは!反省。

それぞれの職種に応じて時間のトレーニングがあります。
京都は千年かけてじっくりと成長している。

京都にきたら「京都時間」を体験しましょう!
「京都いけず時間」にも意味があるのですぞ~!







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