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ブルータワー

2008-06-09 23:59:04 | 書籍。
・ブルータワー 石田衣良 (徳間書店)

 21世紀の新宿。瀬野周司は高層マンションの一室で、悪性脳腫瘍の痛みに苦しんでいた。死の宣告は、冷静に受け止めていたはずだが、ある日、激痛のなかで、意識がタイムスリップ。そこは高さ2千メートルのタワーに住民が暮らす未来社会だった。22世紀中頃に勃発した世界大戦で、人類は破滅の危機に陥っていた。ウイルス兵器の使用で下界は黄魔に汚染され、タワー外では人間が普通に暮らすことが出来なくなっていた。
ここで周司はセノ・シューと呼ばれ、特権階級の人物となる。タワー内では、上層民と下層民との間で泥沼の戦闘が繰り返されていた。双方のテロが相次ぐなかで、セノ・シューは人類生存の方法を模索する。人類の未来を救うために、自分の余命を知っていながら瀬野は行動を起こす―。
当作品はフィクション・ファンタジー。がフィクションと言っていられるのは今だけかも?近い将来、こんな世界は現実のものとなるのではと思ってしまう。
大量の資源を消費しながら建っていた2つのタワー。冷房・空調をきかせ、電気はギラギラと、大量消費、人間に快適な空間を作り上げていたタワー、それは経済大国の象徴であった。しかし、9月11日、もろくも2つのタワーは崩壊した―。この人間の快適空間が崩れ無くなるとは、誰もが予想していなかったであろう。そして人々は怒り、驚き、嘆いた。しかし、タワーを失った理由をテロという名に向け、まるで自分達には全く非が無かったかのように扱った。自分達が相手国を苦しめ、その結果、逆襲にあってタワーは崩壊したとは決して認めない―。中東の人々は苦しみに耐え続けていたのに。
同じように―、自然を苦しめ続けている現在…、いつか自然の逆襲にあって人間が生活できない程に地球が崩壊されたとしても、人間は自分達が行ってきた行為に真正面から非を認めないのだろう。まるで、異常気象という名のテロにあったかのように認識するのでは―。気象を異常にしたのは自分達であることを認めずに―。
意識改革を起こさなければ、地球と言う名のタワーが突然に崩壊する日は早まろう―。