○ 法隆寺を拝 観して春日山原始林に向かいました。奈良市の東部にある春日山原始林には、今までに2・3回行ったことがありますが、その意義を知らない年代の経験です。
○ 大仏殿と正倉院の間の細い道を通って奥山ドライブウエーに入りました。アセビが両側に植えられている道路を上ってゆくと、若草山の頂上に着きました。鹿が大きな群れで若草を食べていました。「奥山に 紅葉踏み分け鳴く鹿の・・・」という歌を思いましたが、今は若葉の季節です。頂上から奈良の町を見下ろすと、眼下に小雨にかすむ美しい風景が広がりました。私のご先祖の韓国からの渡来人もこのように奈良盆地を見下ろし「ウリ ナラ」(我が国)と言ったのでしょう。
○ 奥山ドライブウエーは、特別天然記念物で、奈良の社寺とともに世界遺産に登録されている原始林のエリアに入りました。この間約5㎞は、走路の舗装もない自然の道です。
500メートル、約300ヘクタールの森林ですが、大和川を経由して泉州地域を潤す源流の一つでもあります。春日大社の神山として、1000年以上も伐採が禁止されていますので、関西地方に残る数少ない原始林です。植生は主としてカシやシイ類等の照葉樹が見られますが、温帯林ですので杉などの針葉樹もある混合林で、成熟した森林は低木やシダ類も繁茂し、いわば森の博物館の様相を呈しています。
○ ドライブウエーは通過できますが、周辺の森林への入山は禁止との掲示があります。しかし、春日大社が催す原始林を歩く会に応募すれば、この原始林に入ることが出来、樹齢1000年以上の杉の古木も見られると聞きました。800種類以上の植物や多くの動物によって育まれた豊かな森を見ることが出来ました。改めて照葉樹林の価値を確認しました。