(01)
① Q├ P→Q
② ~P├ P→Q
③ P├ Q→Q
④ P├ Q∨~Q
⑤ P&~P├ Q
こういうのを「関連性の誤謬」と言うんですが、こういう推論が「古典論理」にはたくさん含まれているということで、こういう「おかしな推論」をブロックするような論理を作ろう、それが「関連性論理」です。
(cf.大西琢朗 2020年度後期哲学演習I 関連性論理(1) 関連性の誤謬と3項関係)
従って、
(01)により、
(02)
①├ Q→(P→Q)
②├ ~P→(P→Q)
③├ P→(Q→Q)
④├ P→(Q∨~Q)
⑤├ (P&~P)→Q
といふ「恒真式(トートロジー)」を、「関連性の誤謬(fallacy of relevance)」といふ。
然るに、
(03)
(ⅰ)
―「含意の定義」の証明 ―
1 (1) P→Q A
2 (2) ~(~P∨Q) A
3(3) ~P A
3(4) ~P∨Q 3∨I
23(5) ~(~P∨Q)&
(~P∨Q) 24&I
2 (6) ~~P 35RAA
2 (7) P 6DN
12 (8) Q 17MPP
12 (9) ~P∨Q 8∨I
12 (ア) ~(~P∨Q)&
(~P∨Q) 29&I
1 (イ)~~(~P∨Q) 2アRAA
1 (ウ) ~P∨Q イDN
(ⅱ)
1 (1) ~P∨Q A
2 (2) P&~Q A
3 (3) ~P A
2 (4) P 2&E
23 (5) ~P&P 34&I
3 (6)~(P&~Q) 25RAA
7 (7) Q A
2 (8) ~Q 2&E
2 7 (9) Q&~Q 78&I
7 (ア)~(P&~Q) 29RAA
1 (イ)~(P&~Q) 1367ア∨E
ウ (ウ) P A
エ(エ) ~Q A
ウエ(オ) P&~Q ウエ&I
1 ウエ(カ)~(P&~Q)&
(P&~Q) イオ&I
1 ウ (キ) ~~Q エカRAA
1 ウ (ク) Q キDN
1 (ケ) P→ Q ウクCP
従って、
(03)により、
(04)
① P→Q(Pならば、Qである。)
② ~P∨Q(PでないかQである。)
に於いて
①=② である(含意の定義)。
(05) (ⅰ)
1(1) Q A
1(2)~P∨Q 1∨I
1(3) P→Q 2含意の定義
(4) Q→(P→Q) 13CP
(ⅱ)
1(1)~P A
1(2)~P∨Q 1∨I
1(3) P→Q 2含意の定義
(4)~P→(P→Q) 13CP
(ⅲ)
1(1)Q A
(2)Q→Q 11CP
(〃)
(1) Q→Q TI(定理導入の規則)
(2)~P∨(Q→Q) 1∨I
(3) P→(Q→Q) 2含意の定義
(ⅳ)
(1) Q→Q TI(定理導入の規則)
(2) ~Q∨Q 1含意の定義
(3) Q∨~Q 2交換法則
(4)~P∨(Q∨~Q) 3∨I
(5) P→(Q∨~Q) 4含意の定義
(ⅴ)
1(1) P&~P A
1(2) ~P 1&E
1(3) ~P∨Q 2∨I
1(4) P→Q 3含意の定義
1(5) P 1&E
1(6) Q 45MPP
(7)(P&~P)→Q 16CP
従って、
(02)(05)により
(06)
① Q→(P→Q)
② ~P→(P→Q)
③ P→(Q→Q)
④ P→(Q∨~Q)
⑤ (P&~P)→Q
といふ「論理式(関連性の誤謬)」は、5つとも、「古典論理(自然演繹)」によって、「恒真式(トートロジー)」として、「証明」出来る。
然るに、
(07)
(ⅱ)
1 (1) ~P→(P→Q) A
2(2) P&~P A
2(3) ~P 2&E
12(4) P→Q 13MPP
2(5) P 2&E
12(6) Q 45MPP
1 (7)(P&~P)→Q 26CP
(ⅴ)
1 (1)(P&~P)→Q A
2 (2) ~P A
3(3) P 3
23(4) P&~P 23&I
123(5) Q 14MPP
12 (6) P→Q 35CP
1 (7) ~P→(P→Q) 26CP
従って、
(06)(07)により、
(08)
② ~P→(P→Q)
⑤(P&~P)→Q
に於いて、
②=⑤ である。
然るに、
(09)
(ⅲ)
1 (1) P→(Q→Q) A
2(2) P A
12(3) Q→Q 12MPP
12(4) ~Q∨Q 3含意の定義
12(5) Q∨~Q 4交換法則
1 (6)P→(Q∨~Q) 25CP
(ⅳ)
1 (1)P→(Q∨~Q) A
2(2)P A
12(3) Q∨~Q 12MPP
12(4) ~Q∨Q 3交換法則
12(5) Q→Q 4含意の定義
1 (6) P→(Q→Q) 25CP
従って、
(09)により、
(10)
③ P→(Q→Q)
④ P→(Q∨~Q)
に於いて、
③=④ である。
従って、
(06)(08)(10)により、
(11)
① Q→(P→Q)
② ~P→(P→Q)
③ P→(Q→Q)
④ P→(Q∨~Q)
⑤ (P&~P)→Q
に於いて、
②=⑤ であって、
③=④ である。
従って、
(02)(11)により、
(12)
「番号」を付け直すと、
① Q→(P→Q)
② P→(Q→Q)
③(P&~P)→Q
といふ「恒真式(トートロジー)」等を、「関連性の誤謬」といふ。
然るに、
(13)
「→」は、普通は、「ならば」と読む。
従って、
(12)(13)により、
(14)
① Q→(P→Q)
といふ「恒真式(トートロジー)」は、普通は、
① Qならば(PならばQである)。
と読む。
然るに、
(15)
① Q→(P→Q)
は、「恒に真(トートロジー)」であるため、
① Q→(真→Q)
① Q→(偽→Q)
は、両方とも「真」である。
然るに、
(16)
① Q→(P→Q)
に於いて、
① Q→(真→Q)
① Q→(偽→Q)
の、両方が「真」である。
といふことは、
① Qが真であるならば(Pの真偽に拘らず、Qは真である。)
といふことに、他ならない。
従って、
(13)~(16)により、
(17)
① Q→(P→Q)
といふ「式」は、それが「恒真式(トートロジー)」である。
といふことを、考慮する限り、
① Qならば(PならばQである)。
といふ「意味」ではなく、
① Qが真であるならば(Pの真偽に拘らず、Qは真である。)
といふ「意味」になる。
然るに、
(18)
① Qが真であるならば(Pの真偽に拘らず、いづれにせよ、Qは真である。)
といふことは、「常識」であって、「誤謬(fallacy)」ではない。
(19)
(ⅰ)真→真
(ⅱ)真→偽
(ⅲ)偽→真
(ⅳ)偽→偽
に於いて、
(ⅱ)以外は、「真」である。
従って、
(19)により、
(20)
「番号」を付け直すと、
(ⅰ)真→真
(ⅱ)偽→真
(ⅲ)偽→偽
の3つが、「真」である。
従って、
(20)により、
(21)
(ⅰ)真→真
(ⅱ)偽→真
は、2つとも「真」である。
といふことからすると、
「仮言命題(P→Q)」は、
「後件(Q)」が「真」 であるならば、「前件(P)の真偽」に拘らず、「全体として、真」である。
従って、
(21)により、
(22)
② P→(Q→Q)
に於いて、
② (Q→Q)
が「真」であるならば、
② Pの「真偽」に拘らず、
② P→(Q→Q)
は「真」である。
然るに、
(23)
②(Q→Q)
② QならばQである(同一律)
は、「真」である。
従って、
(21)(22)(23)により、
(24)
② P→(Q→Q)
に於いて、
② (Q→Q)
が「真」であるが故に、
② Pの「真偽」に拘らず、
② P→(Q→Q)
は「真」である。
然るに、
(25)
② Pの「真偽」に拘らず、
② P→(Q→Q)
は「真」である。
といふのであれば、
② P→(Q→Q)
に於いて、
② Pと(Q→Q)は、「無関係」であると、言はざるを得ない。
従って、
(26)
② P→(Q→Q)
② Pならば(Q→Q)である。
に於いて、
② Pと(Q→Q)は、「無関係」であってはならない。
とするならば、
② P→(Q→Q)
② Pならば(Q→Q)である。
は、「関連性の誤謬」である。
然るに、
(20)により、
(27)
(ⅱ)偽→真
(ⅲ)偽→偽
は、2つとも「真」である。
といふことからすると、
「仮言命題(P→Q)」は、
「前件(P)」が「偽」 であるならば、「後件(Q)の真偽」に拘らず、「全体として、真」である。
従って、
(27)により、
(28)
③(P&~P)→Q
に於いて、
③(P&~P)
が「偽」であるならば、
③ Qの「真偽」に拘らず、
③(P&~P)→Q
は「真」である。
然るに、
(29)
③(P&~P)
③ Pであって、Pでない(矛盾)
は、「偽」である。
従って、
(27)(28)(29)により、
(30)
③(P&~P)→Q
に於いて、
③(P&~P) が「偽」であるが故に、
③ Qの「真偽」に拘らず、
③(P&~P)→Q
は「真」である。
然るに、
(31)
③ Qの「真偽」に拘らず、
③(P&~P)→Q
は「真」である。
といふのであれば、
③(P&~P)→Q
に於いて、
③(P&~P)とQは、「無関係」であると、言はざるを得ない。
従って、
(32)
③(P&~P)→Q
③(Pであって、Pでない)ならばQである。
に於いて、
③(P&~P)とQは、「無関係」であってはならない。
とするならば、
③(P&~P)→Q
③(Pであって、Pでない)ならばQである。
は、「関連性の誤謬」である。
然るに、
(33)
「関連性の誤謬」をブロックしようとするとですね、「トートロジー(Pならば、Pである。)」を「偽」にしないといけない。という、「まあなかなか大変なところ」に到達するわけですが、それをどう実現するのか、そのアイディアをお話したいと思います。
(cf.大西琢朗 2020年度後期哲学演習I 関連性論理(1) 関連性の誤謬と3項関係)
然るに、
(34)
「トートロジー(Pならば、Pである。)」を「偽」にしないといけない。というのであれば、そこまでして、「関連性の誤謬」をブロックする必要は、ないのでは。
といふ風に、私には、思へて、ならない。