日本語の「は」と「が」について。

象は鼻が長い=∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
とりあえず「三上文法」を「批判」します。

(751)「述語論理」に於ける「括弧(返り点)」の「省略」。

2020-10-30 14:14:39 | 論理

(01)
記号で書けば、Rは、
  ∀x∀y(Rxy→~Ryx)
であるときまたそのときに限って非対称的(asymmetric)である。
親であるという関係は非対称的である。なぜならば、aがbの親であるならば、bはaの親ではないからである。
The relationship of being a parent is asymmetric. Since, if a is a parent of b, then b is not a parent of a.
(論理学初歩、E.J.レモン、竹尾 治一郎・浅野 楢英 訳、1973年、232頁改)
従って、
(01)により、
(02)
① ∀x∀y(Rxy→~Ryx)
② ∀x∀y(親xy→~親yx)
に於いて、
①=② である。
従って、
(01)(02)により、
(03)
①  ∀x∀y(親xy→~親yx)
② ~∀x∀y(親xy→~親yx)
① は、「真(本当)」であるが、その「否定」である、
② は、「偽(ウソ)」である。
然るに、
(04)
{xとy}の{変域(ドメイン)}が、
{a,b,c}の{3人}であるとすると、
① ∀x∀y(親xy→~親yx)
といふ「述語論理式」は、
①{(親aa→~親aa)&(親ab→~親ba)&(親ac→~親ca)}&{(親ba→~親ab)&(親bb→~親bb)&(親bc→~親cb)}&{(親ca→~親ac)&(親cb→~親bc)&(親cc→~親cc)}
といふ風に、「展開(expand)」出来る。
従って、
(04)により、
(05)
①  ∀x∀y(親xy→~親yx)
といふ「述語論理式」に対して、その「否定」である、
② ~∀x∀y(親xy→~親yx)
といふ「述語論理式」は、
② ~〈{(親aa→~親aa)&(親ab→~親ba)&(親ac→~親ca)}&{(親ba→~親ab)&(親bb→~親bb)&(親bc→~親cb)}&{(親ca→~親ac)&(親cb→~親bc)&(親cc→~親cc)}〉
といふ風に、「展開(expand)」出来る。
然るに、
(05)により、
(06)
「ド・モルガンの法則」により、
② ~〈{(親aa→~親aa)&(親ab→~親ba)&(親ac→~親ca)}&{(親ba→~親ab)&(親bb→~親bb)&(親bc→~親cb)}&{(親ca→~親ac)&(親cb→~親bc)&(親cc→~親cc)}〉
③ ~{(親aa→~親aa)&(親ab→~親ba)&(親ac→~親ca)}∨~{(親ba→~親ab)&(親bb→~親bb)&(親bc→~親cb)}&{(親ca→~親ac)∨(親cb→~親bc)&(親cc→~親cc)}
に於いて、
②=③ である。
然るに、
(06)により、
(07)
「含意の定義」により、
③ ~{(親aa→~親aa)&(親ab→~親ba)&(親ac→~親ca)}∨~{(親ba→~親ab)&(親bb→~親bb)&(親bc→~親cb)}&{(親ca→~親ac)∨~(親cb→~親bc)&(親cc→~親cc)}
④ ~{(~親aa∨~親aa)&(~親ab∨~親ba)&(~親ac∨~親ca)}∨~{(~親ba∨~親ab)&(~親bb∨~親bb)&(~親bc∨~親cb)}&{(~親ca∨~親ac)∨(~親cb∨~親bc)&(~親cc∨~親cc)}
に於いて、
③=④ である。
然るに、
(07)により、
(08)
「ド・モルガンの法則」により、
④ ~{(~親aa∨~親aa)&(~親ab∨~親ba)&(~親ac∨~親ca)}∨~{(~親ba∨~親ab)&(~親bb∨~親bb)&(~親bc∨~親cb)}&{(~親ca∨~親ac)∨~(~親cb∨~親bc)&(~親cc∨~親cc)}
⑤  {~(~親aa∨~親aa)∨~(~親ab∨~親ba)∨~(~親ac∨~親ca)}∨{~(~親ba∨~親ab)∨~(~親bb∨~親bb)∨~(~親bc∨~親cb)}∨{~(~親ca∨~親ac)∨~(~親cb∨~親bc)∨~(~親cc∨~親cc)}
に於いて、
④=⑤ である。
然るに、
(08)により、
(09)
「ド・モルガンの法則」により、
⑤ {~(~親aa∨~親aa)∨~(~親ab∨~親ba)∨~(~親ac∨~親ca)}∨{~(~親ba∨~親ab)∨~(~親bb∨~親bb)∨~(~親bc∨~親cb)}∨{~(~親ca∨~親ac)∨~(~親cb∨~親bc)∨~(~親cc∨~親cc)}
⑥ {(親aa&親aa)∨(親ab&親ba)∨(親ac&親ca)}∨{(親ba&親ab)∨(親bb&親bb)∨(親bc&親cb)}∨{(親ca&親ac)∨(親cb&親bc)∨(親cc&親cc)}
に於いて、
⑤=⑥ である。
従って、
(06)~(09)により、
(10)
② ~〈{(親aa→~親aa)&(親ab→~親ba)&(親ac→~親ca)}&{(親ba→~親ab)&(親bb→~親bb)&(親bc→~親cb)}&{(親ca→~親ac)&(親cb→~親bc)&(親cc→~親cc)}〉
⑥   {(親aa&親aa)∨(親ab&親ba)∨(親ac&親ca)}∨{(親ba&親ab)∨(親bb&親bb)∨(親bc&親cb)}∨{(親ca&親ac)∨(親cb&親bc)∨(親cc&親cc)}
に於いて、
②=⑥ である。
然るに、
(11)
{xとy}の{変域(ドメイン)}が、
{a,b,c}の{3人}であるとすると、
② ~〈{(親aa→~親aa)&(親ab→~親ba)&(親ac→~親ca)}&{(親ba→~親ab)&(親bb→~親bb)&(親bc→~親cb)}&{(親ca→~親ac)&(親cb→~親bc)&(親cc→~親cc)}〉
⑥   {(親aa&親aa)∨(親ab&親ba)∨(親ac&親ca)}∨{(親ba&親ab)∨(親bb&親bb)∨(親bc&親cb)}∨{(親ca&親ac)∨(親cb&親bc)∨(親cc&親cc)}
といふ「式」は、
② ~〈∀x{∀y(親xy→~親yx)}〉
⑥   ∃x{∃y(親xy& 親yx)}
といふ「述語論理式」に、「相当」する。
然るに、
(12)
② ~〈∀x{∀y(親xy→~親yx)}〉
⑥    ∃x{∃y(親xy& 親yx)}
といふ「述語論理式」は、普通は、
②〈{ }〉
⑥ { }
を「省略」して、
② ~∀x∀y(親xy→~親yx)
⑥  ∃x∃y(親xy& 親yx)
といふ風に、書く。
然るに、
(13)
(ⅱ)
1  (1)~∀x∀y( 親xy→~親yx) A
1  (2)∃x~∀y( 親xy→~親yx) 1量化子の関係
1  (3)∃x∃y~( 親xy→~親yx) 1量化子の関係
 4 (4)  ∃y~( 親ay→~親ya) A
  5(5)    ~( 親ab→~親ba) A
  5(6)    ~(~親ab∨~親ba) 5含意の定義
  5(7)     ( 親ab& 親ba) 6ド・モルガンの法則
  5(8)   ∃y( 親ay& 親ya) 7EI
 4 (9)   ∃y( 親ay& 親ya) 458EE
 4 (ア) ∃x∃y( 親xy& 親yx) 9EI
1  (イ) ∃x∃y( 親xy& 親yx) 14アEE
(ⅵ)
1  (1) ∃x∃y( 親xy& 親yx) A
 2 (2)   ∃y( 親ay& 親ya) A
  3(3)     ( 親ab& 親ba) A
  3(4)    ~(~親ab∨~親ba) 3ド・モルガンの法則
  3(5)    ~( 親ab→~親ba) 4含意の定義
  3(6)  ∃y~( 親ay→~親ya) 5EI
 2 (7)  ∃y~( 親ay→~親ya) 236EE
 2 (8)∃x∃y~( 親xy→~親yx) 7EI
1  (9)∃x∃y~( 親xy→~親yx) 128EE
1  (ア)∃x~∀y( 親xy→~親yx) 9量化子の関係
1  (イ)~∀x∀y( 親xy→~親yx) ア量化子の関係
従って、
(13)により、
(14)
② ~∀x∀y(親xy→~親yx)
⑥  ∃x∃y(親xy& 親yx)
に於いて、
②=⑥ である。
従って、
(12)(13)(14)により、
(15)
② ~∀x∀y(親xy→~親yx)
といふ「述語論理式」は、「括弧」を「省略しないのであれば、
② ~〈∀x{∀y(親xy→~親yx)}〉
といふ風に、書かなければ、ならない。
然るに、
(16)
Fa または( )を省略して Fa
というように書く。こうすれば「a」の位置にくる語(名詞、代名詞等)は主語を、「F」の位置に語(名詞、形容詞、動詞等)は述語を表わすことになる。
(沢田允茂、現代論理学入門、1962年、116頁)
然るに、
(17)
②  親xy は、(x)ではなく、()に関する「命題関数」であって、
② ~親yx は、(y)ではなく、()に関する「命題関数」である。
従って、
(16)(17)により、
(18)
②  親xy といふ「命題関数」は、 親(xy) と書くのが「正しく」、
② ~親yx といふ「命題関数」は、~親(xy) と書くのが「正しい」。
然るに、
(19)
② ~親(xy) は、
②  親 の「否定」ではなく、
②  親(xy) の、「否定」である。
従って、
(18)(19)により、
(20)
②   親xy
② ~親yx
といふ「命題関数」は、実際には、
②    親(xy)
② ~〔親(yx)〕
といふ風に、書くのが「正しい」。
従って、
(15)(20)により、
(21)
② ~∀x∀y(親xy→~親yx)
といふ「述語論理式」は、「括弧」を「省略しないのであれば、
② ~〈∀x{∀y[親(xy)→~〔親(yx)〕]}〉
といふ風に、書かなければ、ならない。
然るに、
(22)
② ~〈∀x{∀y[親(xy)→~〔親(yx)〕]}〉
に於いて、
②  ~〈 〉⇒〈 〉~
② ∀x{ }⇒{ }∀x
② ∀y[ ]⇒[ ]∀y
②  親( )⇒( )親
②  ~〔 〕⇒〔 〕~
②  親( )⇒( )親
といふ「移動」を行ふと、
② ~〈∀x{∀y[親(xy)→~〔親(yx)〕]}〉⇒
② 〈{[(xy)親→〔(yx)親〕~]∀y}∀x〉~=
② 〈{[(xがyの)親であるならば〔(yがxの)親で〕ないといふことは]すべてのyと}xに於いて、正しい〉といふわけではない。
といふ、「語順」になる。
然るに、
(23)
②〈{[(xがyの)親であるならば〔(yがxの)親で〕ないといふことは]すべてのyと}xに於いて、正しい〉といふわけではない。
といふことは、
② xがyの親であって、yもxの親である。
といふことを、「否定」していゐないため、「明らかに、」である。
然るに、
(24)
②〈{[(xがyの)親であるならば〔(yがxの)親で〕ないといふことは]すべてのyと}xに於いて、正しい〉といふわけではない。
に対して、
③〈{[(xがyを)愛してゐるならば〔(yはxを)愛して〕ないといふことは]すべてのyと}xに於いて、正しい〉といふわけではない。
の場合は、「明らかに、」である。
従って、
(21)~(24)により、
(25)
② ~∀x∀y(親xy→~親yx)
③ ~∀x∀y(愛xy→~愛yx)
といふ「述語論理式」には、
② ~〈∀x{∀y[親(xy)→~〔親(yx)〕]}〉
③ ~〈∀x{∀y[愛(xy)→~〔愛(yx)〕]}〉
といふ「括弧が付いてゐるが故に、
② は「(ウソ)」であって、
③ は「(本当)」である。
といふ、ことになる。
然るに、
(26)
③ ~∀x∀y愛xy→~愛yx。
に対して、
③ ~∀‐x∀‐yxy→~上レyx
といふ「返り点」を付けるならば、この場合も、
③〈{[(xがyを)愛してゐるならば〔(yはxを)愛して〕ないといふことは]すべてのyと}xに於いて、正しい〉といふわけではない。
といふ「語順」で、読むことなる。
従って、
(21)~(26)により、
(27)
③ ~∀‐x∀‐yxy→~上レyx
といふ「返り点」は、
③ ~〈∀x{∀y[愛(xy)→~〔愛(yx)〕]}〉
といふ「括弧」に、「相当」する。
然るに、
(28)
「正しく」は、
③ ~〈∀x{∀y[愛(xy)→~〔愛(yx)〕]}〉
であったとしても、
③ ~〈∀x{∀y[愛(xy)→~〔愛(yx)〕]}〉
と書くのは、「煩わしい」し、
③ ~∀‐x∀‐yxy→~上レyx
といふ風に、書かう思ふ人間ゐない
従って、
(29)
③ ~〈∀x{∀y[愛(xy)→~〔愛(yx)〕]}〉
③ ~∀‐x∀‐yxy→~上レyx
といふ風には、書かれずに、
③ ~∀x∀y(愛xy→~愛yx)
といふ風に書くことが、「習慣」になってゐる。