(01)
われわれはつぎの結果をたやすく証明できる。
158 ∃x∃y(Rxy)├ ~{∀x∀y(Rxy→Ryx)&∀x∀y(Rxy→~Ryx)}
(論理学初歩、E.J.レモン、竹尾 治一郎・浅野 楢英 訳、1973年、233頁)
然るに、
(02)
1 (1) ∃x∃y(Rxy) A
2 (2) ∃y(Ray) A
3 (3) Rab A
4(4) ∀x∀y(Rxy→Ryx)&∀x∀y(Rxy→~Ryx) A
4(5) ∀x∀y(Rxy→Ryx) 4&E
4(6) ∀y(Rxb→Rbx) 5UE
4(7) Rab→Rba 6UE
4(8) ∀x∀y(Rxy→~Ryx) 4&E
4(9) ∀y(Ray→~Rya) 8UE
4(ア) Rab→~Rba 9UE
34(イ) Rba 37MPP
34(ウ) ~Rba 3アMPP
34(エ) Rba&~Rba イウ&I
3 (オ)~{∀x∀y(Rxy→Ryx)&∀x∀y(Rxy→~Ryx)} 4エRAA
2 (カ)~{∀x∀y(Rxy→Ryx)&∀x∀y(Rxy→~Ryx)} 23オEE
1 (キ)~{∀x∀y(Rxy→Ryx)&∀x∀y(Rxy→~Ryx)} 12カEE
従って、
(01)(02)により、
(03)
私にも、
158 ∃x∃y(Rxy)├ ~{∀x∀y(Rxy→Ryx)&∀x∀y(Rxy→~Ryx)}
といふ結果をたやすく証明できる。
然るに、
(04)
つぎの結果は容易に証明される。
159 ∀x∀y(Rxy→~Ryx)├ ∀x∀y(x≠y&Rxy→~Ryx)
(論理学初歩、E.J.レモン、竹尾 治一郎・浅野 楢英 訳、1973年、234頁)
然るに、
(05)
15□ ∀x∀y(Rxy→~Ryx)├ ∀x∀y(Rxy→x≠y&~Ryx)
1 (1) ∀x∀y(Rxy→~Ryx) A
1 (2) ∀y(Ray→~Rya) 1UE
1 (3) Rab→~Rba 2UE
4 (4) a=b& Rab A
4 (5) a=b 4&E
4 (6) Rab 4&E
14 (7) ~Rba 36MPP
14 (8) Raa 56=E
14 (9) ~Raa 57=E
14 (ア) Raa&~Raa 89&I
1 (イ) ~(a=b& Rab) 4アRAA
1 (ウ) a≠b∨~Rab イ、ド・モルガンの法則
1 (エ) ~Rab∨a≠b ウ交換法則
1 (オ) Rab→a≠b エ含意の定義
カ(カ) Rab A
1 カ(キ) ~Rba 3カMPP
1 カ(ク) a≠b オカMPP
1 カ(ケ) a≠b&~Rba キク&I
1 (コ) Rab→a≠b&~Rba カケCP
1 (サ) ∀y(Ray→a≠y&~Rya) コUI
1 (シ)∀x∀y(Rxy→x≠y&~Ryx) サUI
従って、
(04)(05)により、
(06)
① ∀x∀y(Rxy→~Ryx)├ ∀x∀y(x≠y&Rxy→~Ryx)
② ∀x∀y(Rxy→~Ryx)├ ∀x∀y(Rxy→x≠y&~Ryx)
に於いて、
① は、E.J.レモン によって、「証明」されて、
② は、 私 によって、「証明」される。
然るに、
(07)
①(x≠y&Rxy→~Ryx)
②(Rxy→x≠y&~Ryx)
に於いて、
③ x≠y が「偽」であって、
③ Rxy が「真」であるならば、
① は、「(式全体として、)真」であるが、
② は、「(式全体として、)偽」である。
従って、
(06)(07)により、
(08)
① ∀x∀y(Rxy→~Ryx)├ ∀x∀y(x≠y&Rxy→~Ryx)
② ∀x∀y(Rxy→~Ryx)├ ∀x∀y(Rxy→x≠y&~Ryx)
に於いて、
①=② ではない。
然るに、
(09)
(3)∀x∀y(Rxy→~Ryx)
であるときまたそのときに限って非対称的である。
親であるという関係は非対称的である。なぜならば、aがbの親であるならば、bはaの親ではないからである。
(論理学初歩、E.J.レモン、竹尾 治一郎・浅野 楢英 訳、1973年、232頁)
従って、
(08)(09)により、
(10)
① ∀x∀y(親xy→~親yx)├ ∀x∀y(x≠y&親xy→~親yx)
② ∀x∀y(親xy→~親yx)├ ∀x∀y(親xy→x≠y&~親yx)
に於いて、
①=② ではない。
然るに、
(11)
① ∀x∀y(x≠y&親xy→~親yx)
② ∀x∀y(親xy→x≠y&~親yx)
に於いて、それぞれ、
①「xとyが同一人物でなくて、xがyの親であること」は、「yがxの親でないこと」の「十分条件」である。
②「xがyの親であること」は、「xとyが同一人物でなくて、yがxの親でないこと」の「十分条件」である。
といふ、「意味」である。
然るに、
(12)
例へば、
②「サザエさんがタラちゃんの親である」ことは、「サザエさんとタラちゃんが、同一人物ではなく、タラちゃんがサザエさんの親でないこと」の「十分条件」である。
従って、
(10)(11)(12)により、
(13)
②「xがyの親であること」は、「xとyが同一人物でなくて、yがxの親でないこと」の「十分条件」である。⇔
②「サザエさんがタラちゃんの親であること」は、「サザエさんとタラちゃんが、同一人物ではなく、タラちゃんがサザエさんの親でないこと」の「十分条件」である。
といふ「常識」からすると、
① ∀x∀y(親xy→~親yx)├ ∀x∀y(x≠y&親xy→~親yx)
② ∀x∀y(親xy→~親yx)├ ∀x∀y(親xy→x≠y&~親yx)
といふ「連式(Sequents)」に於いて、
① は、「妥当」ではなく、
② が、「妥当」であると、すべきである。
従って、
(04)(13)により、
(14)
つぎの結果は容易に証明される。
159 ∀x∀y(Rxy→~Ryx)├ ∀x∀y(x≠y&Rxy→~Ryx)
(論理学初歩、E.J.レモン、竹尾 治一郎・浅野 楢英 訳、1973年、234頁)
といふ「2行」は、「正しく」はないと、思はれる(?)。