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ソニーを切り刻む

2006-06-02 00:06:52 | 時事問題
ニューヨークタイムズに「タコのような会社ソニーを切り刻み,合理的なサイズに戻す」という記事を見つけた。ソニーに関しては,いろいろと個人的に思い入れがあるので気になった。記事のポイントは,ソニーは,日本や外国であまりにも多くのビジネス分野に進出したために、技術革新者という元来のイメージをぼやけさせたということである。

イメージがぼやけたことが,どうして問題であるかと言うと,もっとも利益のあがる資産を脅かしているからである。「ソニープレミアム」というものらしい。すなわち、ソニーの家電製品が,他社の製品よりも割高であることだ。プレミアムは,ソニーのブランドイメージと関係する。このプレミア回復が,ハワード卿の火急の課題の一つである。会社としての収益は上がっているが,プレミアムが下がっている。大問題であるが,うまくいかないということである。

もちろんハワード卿は、ブランドイメージの回復に努めている。すなわち、エレクトロニクスに集中してすばらしい商品を作り出すことである。今年2月には,日本でコアではない部門を売却することを発表した(化粧品,ファミリークラブ,フレンチレストラン)。家電部門でもAIBOなどを含む600のモデルを整理した。

ところで昨年ソニーで一番収益が上がったのが,金融部門である。17億ドルである。家電が足を引っ張り全体の収益は11億ドルである。しかしソニーの金融部門は,安さで成功をしている。それと家電のトップブランドで、プレミアム価格の回復を目指すこととは矛盾がある。さらにその家電でも,液晶テレビ・ヴラヴィアが売れているが,ライバル社の商品と値段は同じである。プレミアムは下がりつつあるのだ。

ハワード卿は前任者のできないことをしている。金融部門はまだ売却することはまだ表明されていない。しかし来年までにはと考えているのではないか?一説によれば,これで数十億ドルが得られるかもしれないということである。

私たちの世代は,ソニーのトリニトロンテレビ、ウォークマンが欲しいと思った世代である。この記事の中でも、私たちの世代を代表する42歳の普通の銀行員の言葉が引用されている。「ソニー製品を買うことは,メルセデスベンツを買うようなものであった」。ちょっと大げさすぎるけれども,ソニー製品に高い金を払ったことのある私たちの世代にはピンとくる発言である。もっとも、この銀行員が、シャープの液晶テレビを結局買ったと書かれていたのには笑った。

最後に一言。ソニーが化粧品を売っていたとは知らなかった。さらに雅子様がご結婚される前まで,ソニーのスキンケア製品を愛用されていたことも知らなかった。確かに多様化しすぎだ。

Cutting Sony, a Corporate Octopus, Back to a Rational Size

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