どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

地蔵の恩返し・・石川

2023年08月29日 | 昔話(北信越)

        石川のむかし話/石川県児童文化協会編/日本標準/1977年

 

 類似の昔話がありますが、オチが楽しい。

 おじじが山へたきぎをとりにいったが、腰に下げた団子がじゃまになり、地蔵さまの前において、かれえだを集めた。

 日も頭の上にきとって、団子を食べようとすると、団子が一つもない。だまっている地蔵さまへ、下の谷にころがすというと、地蔵さまは、頭を下げていうたと。「じつは、おれが食べたくて食べてしもうた。がまんしてくれ。そのかわり、おじじに恩返しをするからの。」

 地蔵様に言われたとおり、おじじが重茂の宮の縁の下にまっていると、オニどもがやってきて、ジャラン、ジャランと、銭の音させて、かけごとをはじめた。ここでおじじは、ニワトリのまねをし、オニどもが残していった銭を袋いっぱい手にいれます。

 この話を聞いた、わるいおじじも重茂の宮にでかけ、じっとまっていると、オニどもが、かけごとをはじめたとい。おじじは、待ち遠しくて明け方には、まだ間があると思うたけど、コケコッコーと鳴こうとしたら、どんなわけかしらんけどノドがつかえて声が出ない。これはいかんと、うんとふんばったら、ブブッブーと、でっかい音をたてて、へが出た。オニどもは、すぐに気がついて、鼻をきかせ、おじじを見つけると、耳をチョンと、きられてしもうたとい。

 

 ニワトリの鳴き声をまねすると、オニがおかしいと気づく話が多いのですが、”へ”がでるとか、耳を切り取るのも珍しい。

 

 小学生が描く鬼の挿絵が楽しい。


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