ノコギリザメのなみだ/長新太/フレーベル館/1999年
ノコギリザメのオジイサンが 「ノコギリがぼろぼろ なのよ」といって、なみだを ながした。そこへ、海のオバケがやってきて、「わしが なおしてやるよ」といいながら、どこかへ いってしまいました。しばらくすると、オバケがもどってきて、ノコギリをポイっととってしまうと、かわりにつけたのがタコ。オジイサンは、「こんなの、だめだめ」と ないた。
オバケは、イソギンチャク、ウニ、サンゴ、ズボン、ながくつ、クラゲと、ノコギリザメの気持ちなど おかまいなしに、つけていきます。そのたびに、なみだが しずかに ながれていきます。
やがて、ながされた涙が、みずのかたまりになって、はこんできたのはノコギリザメのノコギリ。
「これで、いいんだ。ハハハ」とわらうオジイサン。オバケも、「やっぱり このままの ノコギリで、いいんだね。とったりして ごめんね」
ノコギリがボロボロになったのは、老いのせい?
おせっかいなオバケは、親切心からいろいろなものを くっつけますが、オジイサンの 気持ちがはれることはありませんでした。しかし、ながした涙も無駄ではありませんでした。