どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

毛呂山町の民話

2018年02月19日 | 昔話(関東)

        奥武蔵の民話/文・市川栄一 絵・池原昭治/さきたま出版会/2001年


 近くの毛呂山町の民話とあって、借りてきました。

 市川さんは、小学校に勤められ「秩父むかしむかしの会会長」、秩父児童文学の会会長と著者紹介にありました。

・竜神の娘の約束

 毛呂山の岩井の勝田屋敷と呼ばれた長者は、こどもにめぐまれませんでしたが、上州の榛名山の神さまにおまいりし、願いはかなえられます。
 女の子が七歳になったとき、榛名山の神社にお礼参りにでかけると、女の子は両親の手を振り払って、榛名山のふもとにある榛名湖へ身を投げてしまいます。

 湖の水面が波立つと竜神があらわれ、娘は七年たつと湖に帰る運命だったといいます。

 このとき、たくさんの雹で農作物への害で苦しんできた毛呂郷に、これからは雹をふらせないと約束して、竜神の娘は湖の底へ姿をけします。

 これから毛呂郷七か村には、雹が降らないというおまじないがあるという。


・サルにだまされた兄弟ダヌキ

 毛呂山の阿諏訪の森にすんでいた兄弟ダヌキ。
 あるひうまそうなサツマイモをひろい、どっちのものかで兄弟言い争い。

 そこへずるがしいこいサルがやってきて、同じ重さで半分にしてやろうともちかけます。

 半分にして秤にかけると、右が少しだけ重い。サルは一口かじってから、秤にかけ、今度は左が重いと、左を一口。
 同じことを繰り返し、サツマイモはサルのおなかへ。

 兄弟ダヌキ、それからは仲良くするようになったそうな。


 兄弟ダヌキは、どこにでもありそうな話。いましめの話です。
 「竜神の娘の約束」は、伝説でしょうか。
 岩井も阿諏訪も住所表示になっています。身近な地名がでてくるとそれだけで親しみがわきます。