昔話に学ぶ「生きる知恵」➂馬鹿の鏡/藤田浩子:編著 小林恭子・絵/一声社/2006年
「親父を焼く」とあるとびっくりしますが、笑い話です。
父親から「父親は用足しにいっておりやす。なんぞごようがありましたら また出直してください」というようにいわれた馬鹿息子が、たったその一言二言がおぼえらません。
父親は「用足しにいっておりやす。なんぞごようがありましたら また出直してください」と紙に書いてでかけていきます。
紙を見せるだけならまちがいないだろうとでかけた父親でしたが、紙をうけとった息子は、紙をおとっつまだと思って大事にして、どこにおいておこうかと散々なやみます。
ところがお客がやってきて、いざ紙をみせようとすると、どこにも見あたりません。
息子が「おとっつま なくなった」というと、お客はおとっつまが亡くなったと勘違いし、おかみさんに、なにか葬式の手伝いがあるかもしれないと、何か聞いてこい、とせかします。
息子が紙を探し出して、いつでもだせるように手に持ったのはいいのですが、火鉢にあたってうつらうつらしているうち、ぽろっと紙を落としてしまって、焼けてしまいます。
そこに、おかみさんがやってくると、馬鹿息子がいうには「おとっつま はあ 焼いてしまった」。
昔話に馬鹿息子の話がありますが、おはなし会ではほとんど聞く機会がありません。なんともとぼけていて笑えるのですが、”馬鹿”というのがひっかかるのかもしれません。
大抵は自分自身で考えないのが共通していて、反面教師としてもよさそうですが、それにしても何かひっかかります。