キキリ・キキリ・キキリ

-北海道の昆蟲と自然-

北海道の昆虫の写真を中心に、身近な生き物や自然を紹介しています。

キキリノート Vol.2(ハマベオオハネカクシ)

2006年09月09日 | その他のコウチュウ

ハマベオオハネカクシ[Hodropinus fossor]★★★

北海道、本州(東北地方北部)、利尻島、サハリンで記録されている。
体長は16~23㎜。海浜性の甲虫で、ゴミや海藻類の下から見つかる。
ハンミョウの様な顎を持ち、出会った生き物は何でも素早く襲う激しい性格の肉食ハネカクシ。

先日のカラフトオニヒラタシデムシと一緒に採集できた。
ハネカクシ科は甲虫目の中でも種数の多いグループであるが、微細な種も多く同定が非常に難しいので、一般的には敬遠されがちでメジャーな甲虫ではない。
しかし、このハマベオオハネカクシはメチャ格好良くとても強い。
その姿は海辺のギャングである。



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初秋の灯下

2006年09月08日 | 採集記・撮影記
毎年、秋になると是非あって見たくなる虫がいる。
日本最大のカトカラ、ムラサキシタバだ。幼虫はドロノキやヤマナラシにつくという。
(参照:みんなで作る日本産蛾類図鑑さん

過去に記録があるポイントなどはいろいろ聞いては居るのだが、未だに見たことがない。
満月前夜で条件は厳しいが、昨日は仕事帰りに灯下採集ポイントを周って来た。


21:00を過ぎ、気温は16度をきっている。
澄み切った秋空が、満月の光をより強く輝かせる。



甲虫が飛んでくる雰囲気は全く無いが、満月にかかわらず大型のガは飛来していた。





クスサン[Saturnia japonica japonica]★★



ヒメヤママユ北海道亜種[Saturnia jonasii fallax]★★


しかし、お目当てのムラサキシタバは見られない。
クスサン以外はとても少ない街灯だが、やっと甲虫の影が見えた。



カブトムシ[Allomyrina dichotoma dichotoma ]★★
北海道では移入種。ここ最近、札幌でも結構採れる様になってきた。
クワガタどころかガムシも飛来しない気温なのに、とても元気なのだ。


この辺は他に面白い虫がいなかったので、違う街灯に移動した。




ここもクスサン以外は少なかったが、先程よりも面白そうなメンツが集っている。



イシカリクロナガオサムシ[Leptocarabus arboreus ishikarinus]★
自然林でも人工林でも数は多い。



コバネササキリモドキ[Cosmetura fenestrata]★★★
写真の個体は雌。樹上性。
鳴き声の周波数が高いので人間の耳には聞き取りづらい。
一見、キリギリス類の幼虫に見える。



キリバエダシャク[Ennomos nephotropa]★★
多種の広葉樹につく。
触角を背面に持ってくるスタイルが粋である。



あれれ、カブトの♂も飛んで来ました。
北海道のカブトムシは発生時期が本州に遅れて盛夏~初秋に出現する傾向にある。
厳冬期に幼虫の成長が一時的にストップするのあろうか?北海道では貧弱な個体が多い。


結局、ムラサキシタバは見られなかったが、秋の夜も面白いものである。




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キキリノート Vol.1(カラフトオニヒラタシデムシ)

2006年09月07日 | その他のコウチュウ

カラフトオニヒラタシデムシ[Thanatophilus lapponicus]★★★(特)

北アメリカ、シベリア、サハリン、グリーンランド、ヨーロッパと北半球に広く分布するも、国内では北海道だけに見られる体長10~14㎜の小さなシデムシ。
特徴は後頭部と前胸背に黄灰色の毛がある点と、上翅間室に隆起列が見られる点である。
国内のThanatophilus属は3種類。
ヒメヒラタシデムシ[T. sinuatus]、オニヒラタシデムシ[T. rugosus]、そして本種である。
北海道では3種類とも確認されている。




本個体は砂浜のゴミの下と海鳥の死骸から得られた。(H18.8.30 道南某所)
国外では内陸部でも確認されていることから、開放的な環境(海浜、河川敷など)を好むようである。個体数は国外でも稀のようだ。因みに、同時に得られた昆虫はハマベハサミムシ、ハマベオオハネカクシ、ホネゴミムシダマシ、カラカネハマベエンマムシなどであった。




本種においては大きく図示された図鑑類が見当たらなかった。
ネット上で「カラフトオニヒラタシデムシ」を検索しても国内のサイトで紹介されているものはなかった。
辛うじて「Thanatophilus lapponicus」で検索すると、複数の国外のサイトに行き着き、標本写真を見ることができる。
今後、生態を撮らなければいけないキキリである。


※今後、フィールドに出る機会も減ることから、このような企画を考えました。北海道特産昆虫を世に知らしめるべく、また自分の勉強の為、余力がある時に随時更新していきたいと思います。


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秋の主役

2006年09月06日 | バッタ目
秋の主役といえば、何といっても鳴く虫である。
北海道の草原でこれらが鳴き始めるということは、夏の終わりを意味する。



ハネナガキリギリス[Gampsocleis ussuriensis]★(特)
枯れ草と緑の草がほど良く混じった草原で「ギー・チョン、ギー・チョン」と鳴いている。
声は良く聞こえるが、捕まえるのは非常に困難。近づくとすぐに草むらにすぐに潜ってしまう。
当然、写真に収めるのは非常に難しい。今回は片脚のない個体が居たので容易に近づけた。
北海道特産種。



エゾエンマコオロギ[Teleogryllus yezoemma]★
北海道にはもう一種エンマコオロギ[T.emma]も生息する。
違いは眉の様に見える白い模様の長さ。小さい方がエゾエンマだ。
鳴き声は「リィー、コロコロ・・・」
枯れ草の中や、ゴミの下、地面の割れ目などに生息している。
面白いことに和名と学名の種小名が同じである。



カンタン[Oecanthus longicauda]★
草原の普通種であるが、鳴き声はとても美しい。「ルルルルルルルル・・・」
真似してもキタキツネは来ませんよ



秋の森を歩くと、セミの抜け殻が良く目立つようになっていた。



エゾハルゼミ[Terpnosia nigricosta]★
「ミョーキン、ミョーキン、ミョーケケケケケ・・・」と6月から7月まで賑やかに鳴いていたのが思い出される。
あの頃はうるさかったなぁ。
しかし、エゾハルゼミの初鳴きは本格的な採集シーズン到来の号令のようなもの。
今となっては懐かしい・・・。




エゾゼミ[Tibicen japonicus]★★
珍しく土つきの脱け殻である。
「ギーーー」とつい最近までよく鳴いていた。
場所によってはまだ生き残っているだろう。


セミの脱け殻というのは、何か訴えかける力がある。
と、思うのは自分だけ?




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水辺で採集

2006年09月03日 | トンボ目
今日はナミゲンゴロウ狙いで近場に行ってきました。


実績のある池で、掬っても掬っても何一つゲンゴロウ類は出てきませんでした。
周辺で目に付いた池は、概ね手を出したのですが、やっと採れたゲンゴロウは・・・



マルガタゲンゴロウ[Graphoderus adamsii]★★
だけでした。


採集から、撮影に切り替えトンボの飛翔写真にも挑戦してみました。



オオルリボシヤンマ[Aeshna nigroflava]★
深めで水生植物の繁茂した池をウロウロしている。
写真の個体はメス。北海道で最も普通なヤンマ。



枝に産卵中



それに産卵はヤバいでしょ?



ノシメトンボ[Sympetrum infuscatum]★
何時でも、何処でも多いトンボ。


記録メディアの容量が一杯になったところで撮影も終了。
早々と帰宅してきました。
もう真夏日はないんだろうなぁ。
やっぱり、夏が短いのは寂しいです




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