キキリ・キキリ・キキリ

-北海道の昆蟲と自然-

北海道の昆虫の写真を中心に、身近な生き物や自然を紹介しています。

ヒメオオ時々カミキリ、のちエオアの旅

2006年08月28日 | 採集記・撮影記
昨日は、前回エオアを探した地域より、南の方に行ってきました。
目的は「お題」のとおりです。


自宅を出発して2時間後、地図上で良さそうだと判断した川に着いた。
河川敷は1週間前の大雨で派手に荒らされていた。
まずはこの川沿いの林道でヒメオオを探索してみた。



林道と河川の間のヤナギ。

国道より数Km奥へ入ったところで、ヤナギの枝に黒い影が。
双眼鏡でじっくり観察するとアカアシっぽいが、周りの個体よりも一回り大きい。交尾中の雌もそこそこ大きい。
「もしや・・・」
早速、長竿を出しネット内に落としてみる。




アカアシクワガタ[Dorcus rubrofemoratus]★★

なんだ、やっぱりアカアシか・・・。
平均的なサイズよりも一回り以上大きく、計測すると50mmあった。(採集後に撮影)
「もしかしてヒメオオ?」と思っても、細い枝先に止まっていたならば、やっぱりアカアシなのだ。
サイズ的には満足であるが、新産地ヒメじゃなくて残念
この後も、アカアシしか追加できなかった。

更に数km奥に行くと、林道の途中にゲートが。
施錠していたため、それより先には進めなかった。
帰り道はカミキリ探しをしてみることにした。


いろいろな樹木を叩いたりスイープしたりしても、落ちてくるのはハサミムシ、チャタテムシ、アリ、ザトウムシ・・・。
花を探しても、ノリウツギやエゾニュウなどの花は既に終わっている。
唯一、咲いている花といえば、道端のオオアワダチソウだ。
マルハナバチやボロボロになったチョウが沢山集まっていた。



モンキチョウ[Eurema hecabe]★



ギンボシヒョウモン[Speyeria aglaja]★★



ウラギンスジヒョウモン[Argyronome laodice japonica]★★



エゾオオマルハナバチ[Bombus hypocrita sapporoensis]★



これらを撮影していた時、赤黒い甲虫が目の前を飛翔する。
そして近くのオオアワダチソウに止まった。



アオカミキリ[Schwarzerium quadricolle]★★★
2週間前に初採集したばかりであるが、ここでも採れるとは・・・。
2頭目を期待して、暫くこの辺で待っていたが、コイツがこの日見られた唯一のカミキリであった。



その後、国道まで戻り、お次はエオア探し。と、いうか環境探しをしてみた。
ここの川は川岸にドロノキがたくさん分布している。
そして、河原や中洲が所々で発達してる。
上流域では流木があまり見られなかったが、恐らく、先日の大水で流木は総ざらいなのであろう。
それならば、下流のどこかに溜まっているだろうと推測し、土手沿いを下流へ移動してみた。



読み通り流木が集まっている場所があった。
車を降り、近寄ってみると・・・


ドロノキは混じってなさそうだが、周辺にはドロノキがたくさん生育している。
暫く、河川敷を歩いてみた。




ようやく、ドロノキの流木を見つけた。



結構、良い太さかも?根元は60cm、長さは20m弱。



こちらは河畔のドロノキ衰弱木。



この穴は何だ?
扁平で縦長の穴だ。大きさは10×6㎜くらいである。
恐らく違うと思うが・・・。


エオアの最新記録は1980年代の支笏湖周辺らしいのだが、良さそうな環境は北海道の各地に点在していそうだ。




燦燦と照りつける太陽の下、ドロノキを見上げるが、30分でクビが痛くなって来た


今日はヒメオオも広く探してみたかったので、いつかエオアが採れる事を夢見てこの場所を去った。


残り時間、他の地域でヒメオオ探しをするが、結局、個体も食痕も見当たらず。
唯一、見られたクワガタは・・・



ノコギリクワガタ[Prosopocoilus inclinatus]★★
ノコの大歯型はいつ見ても格好良いものだ。


北海道のカミキリシーズンはほぼ終了。本当にさびしい限りである。
北海道にもコブヤハズが居たならなぁと、つくづく思う。
ヒメオオの石狩低地帯より、以東以北の新産地確認も行き詰っているし、エオア探しもゴールが見えない・・・。


まだまだ努力しないと、新たな発見は難しい。しかし、結果を出せなかった採集も次回に繋がるのなら、それもまた楽しいのである。





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久しぶりですマイフィールド

2006年08月26日 | 採集記・撮影記
2,3日前から朝晩はチョッと寒い程度の風が吹いてます。
早いもので、自然は秋の準備に入ったようです。
しかし、日中はまだ、北海道なりに残暑が厳しい訳ですが・・・。


そんなこんなで、今日は久しぶりにマイフィールドに行ってきました。
えーとー、7月23日以来になります




清らかな流れに・・・



青い空。

湿度も下がり、すごし易い季節になりましたが、ムシ的には・・・



キバネセセリ[Bibasis aquilina chrysaeglia]★★



ミドリヒョウモン[Argynnis paphia]★★



キマワリ[Plesiophthalmus nigrocyaneus]★



ハネナガフキバッタ[Eirenephilus longipennis]★


などが目に付く程度。全般的に甲虫は少なくなりました。
ビーティングをしても、ハムシ類、ヒゲボソゾウムシ類、ましてはカミキリ類は全然落ちてきません。


チョッとした土場には、辛うじて・・・



ナガゴマフカミキリ[Mesosa longipennis]★★

そして、



アオダイショウが、居たくらい。



林道脇の花も殆ど萎れ、わずかに咲き残った箇所に、



キオビツチバチ[Scolia oculata]★★★



ヨツスジハナカミキリ[Leptura ochraceofasciata]★



アカハナカミキリ[Corymbia succedanea]★

が 見られました。


ここん所、仕事が忙しくなっておりブログの平日更新が難しくなってきておりますが、
それでも毎日アクセスして頂いている多くの皆様に感謝します
残りの僅かのシーズンも出来るだけフィールドに出て、ご報告したいと思っています。



手稲山方面に沈む夕日。


さあ、明日も天気は良さそうだ。
どこに行こうなぁ?




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噂のお宿に行ってきました。

2006年08月22日 | 採集記・撮影記
先日、18~19日にかけて北海道も久しぶり雨というより大雨が降りました。
日高地方や網走地方などで広く洪水警報が出たそうです。
そんな中、19日に網走管内のサロマ湖へ家族と親戚とで旅行してきました。
目的は観光ではなく、カニを腹一杯食べること。
職場の人にも、「凄い量で食いきれない。持ち帰れるからクーラー持ってけ!」と言われたので、1万円弱で車載温冷庫を購入。
今回はムシではなく、メシに期待してください!


19日(土曜日)
8:30
義母の家に全員集合してから、サロマに向け出発。三笠から高速道に乗る。 子供が多いので途中何度もトイレタイム。各パーキングは道外ナンバーの車やレンタカー、バスで混雑していた。

13:00
高速道を下り、丸瀬布の温泉で一時休憩にする。入湯も軽くで済ませ、ロビーのソファーで甲子園の準決勝を見る。駒苫は何とか決勝進出。安心して温泉を出る。

玄関を出ると、前方を流れる川が大変なことに・・・


 
上流から大木がドンブラコドンブラコ・・・



もうギリギリです・・・


ラジオの情報だと、サロマ湖の隣の常呂川では避難勧告が出ているとのこと。
無事、宿までたどり着くのであろうか・・・。


丸瀬布からサロマ湖までの間、通り過ぎた河川は全て上の写真のような感じ。
だが、通行止め区間には当たらず、16:30にはなんとか宿にたどり着く。


食事まで時間があるので、湖畔を散策してみる。


サロマ湖、国内で3番目に大きい湖(海跡湖)


「ワッカ原生花園」
良い時期には花が咲き見出れるというが・・・


今はこんな感じ。


アッケシソウ(別名サンゴソウ)の見頃にはまだ早いようだ。


これはハマフウロかな?

1時間くらい歩いたが、オモロイ虫は居なかった・・・


18:50
待望の食事の時間。土曜日はいつも満室のようだ。大勢が食堂へと流れ込む。



部屋番号が書いてあるテーブルに着くと、噂どおりのカニづくしの豪勢な料理。


毛蟹は一人一匹です。

いきなり毛蟹にいくと、他の料理を残してしまいそうなので、小皿系を先に食べる。
小皿系を食べた尽くした頃、2人に一匹という事でタラバ様がやって来る。


そして、生きながらに蒸されていくのです・・・

タラバを蒸している時点で腹八分目をオーバー気味。
とてもじゃないが、タラバは無理だ・・・と思っていたら、ホッキのバター焼き、北海シマエビ、シロ貝の蒸し焼き、お吸い物などが出てきた。
「嘘だろう~、もう喰えん!」と思っていたら、更にズワイガニのしゃぶしゃぶが・・・。

結局、最後までケガニとタラバに手は出せずお土産になってしまった。
車載温冷庫を買って良かった

このボリュームで、1泊2食¥7,690也。
今度は採集と絡めて泊りたい → 民宿 船長の家



20日(日曜日)
8:30
チェックアウト。天気は回復、気温も上がるようだ。寄り道して少し採集でもしたかったのだが、うちの子の体調が優れない。どうやら、お盆休みの行事の疲れが出たようだ。急いで札幌に帰る。

14:00
札幌に着いた頃には、子供の体力も回復。食事も摂ってくれた。そして、高校野球の決勝戦にもなんとか間に合った。

16:00
延長15回終了まで見届けたあと、近場の気になる木を見に行った。


ミヤマクワガタ[Lucanus maculifemoratus]★
う~ん、夏も終わりか?いるのはの多数の♀と少数の♂。
♂の金色の毛は殆ど抜け落ちていた。



アカアシクワガタ[Dorcus rubrofemoratus]★★
ほぉ~、アカアシ君もハルニレに来るんだね。

それから、少し珍しいスズメバチ・・・


チャイロスズメバチ[Vespa dybowskii]★★★
社会性ハチ類だが、他のスズメバチに寄生するという生態。
宿主の女王を殺して巣を乗っ取り、宿主の働きバチに自分の子供を育て、後には全ての個体がチャイロスズメとなる。攻撃性も強い。




何匹かカメラにまとわりついて来たがどうにか撮影。
この週末はこの程度しか、虫と触れ合えませんでした。


そろそろ、ヒメオオ新産地探索でもしようかなぁ?





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甲子園は熱戦中、私は休戦中・・・

2006年08月18日 | コガネムシ科など
今年の高校野球は凄いですね。
地元チームの試合じゃなくても、見入ってしまいました。
特に昨日の帝京VS智弁和歌山の試合は凄かった。あんな展開ってアリ?
昨日の準々決勝ニ試合見て、すっかり疲れてしまいました。
明日の駒大苫小牧は大丈夫かな?頼むよ!
てな訳で、最後まで諦めない球児達の姿勢を見て、今後は途中で諦めない採集を心がけようと肝に銘じるのであります。

明日はオホーツク海側へ親族十数名で旅行。日中採集出来るかどうかは未定ですが、夜は子供ら連れてカブトムシでも探して来たいと思います。
(ホントはね赤鬼様に会いたいんですけどね、時期も遅いか・・・。)




こちらは先日の50mmヒメオオ。


50mmオバーは迫力が違います。
やっぱり良い虫だ!今年も新産地発掘したいです。


素晴らしい曲線美でございます




こちらも、先日のアオカミキリ。


どこが青いかって?


なんせ初採集なものですから、北海道産でこの赤が普通なのか珍しいのか、
個体差なのか地域性なのかも判りませんです。
誰か教えて



お盆休み、いかがお過ごしでしょうか?

2006年08月16日 | 採集記・撮影記
お久しぶりです。

一週間振りの更新になってしまいました。スミマセン。
先週末は野外に出られず、そのままお盆休みに突入。函館へ帰省し、昨日戻ってきました。


函館山


函館の新名所「新五稜郭タワー」


タワーから五稜郭を望む


行きも帰りも渋滞で疲れました。
北海道は暑さのピークを向かえました。蒸暑い日は例年以上。
気が付けば、7月上旬までの天候不順は嘘のように20日間以上まとまった雨が降ってません。
これは虫的に宜しくなく、樹液も草木の葉も一部枯れはじめています。
そして、まだ朝晩暖かいのにナナカマドは紅葉しはじめ・・・。
やっぱり変です。


帰省中の結果は、初めに言っちゃいますが、ダメダメでした。
道南の旬な虫といえば、オオクワガタ、ヒメオオクワガタ、オオトラカミキリなど。
個人的に未採集のトラフカミキリやフタオビミドリトラカミキリ(渡島半島の日本海側に分布)くらいは採ってこようと意気込んでいたのですが・・・



8月14日 檜山支庁管内


うちのカミさんが江差の友達の所へ数年振りに会いに行くというので、子供らも一緒に連れていきました。函館から江差に行く途中、どうしても寄りたい場所があった。

それはビッグタイガーが採集されているある場所だ。
自分には全く縁が無く、個体の目撃も食痕すら見たことは無い。
食痕は札幌周辺で結構探しているのですが・・・。


-某町某場所-


複数の家族がキャンプをしている。キャンプ場周辺はスギが多く、食樹となるトドマツは少ない。
奥地も探索してみたかったが、「クマ出没立ち入り禁止」の看板があり、
家族も同伴していることから止めた。

木の上の方ばかり見ていた私に、少し離れた場所から「虫いるよ~!」と子供が教えてくれた。もしやと思い駆け寄ると・・・


アブラゼミの羽化シーンであった。

この辺はアブラゼミ、ミンミンゼミ、ニイニイゼミが鳴いている。
コエゾゼミが鳴く札幌周辺の山とは雰囲気が違う。

羽化中のセミに初めて遭遇する子供らにセミの生態を教えてあげると「まだ見たい!」と言ってその場所を離れようとしない。
「ゆっくり見てな。」と、自分はビッグタイガーの食痕を探す。


まもなく・・・


「んっ?」



「あ、あっー!」

やっと見つけた渦巻き印。
成虫を見つけた訳じゃないのにこの感激は何なんだ?
ってか、こんな身近な場所にあって良いの?
セミを見ている子供たちに「ちょっと来い、見てみろ。珍しいものあるぞ!」
と呼び寄せたが、「ただの穴でしょ!」と一蹴される・・・
カミキリ屋にはお宝の印なんだってばよぉ~



友達と会う約束の時間に近づいてきたので急いで江差に向かう。
江差に着いて、家族を降ろしフリータイムの始まりだ。
といっても制限時間は4時間。
トラフとフタオビミドリトラを狙うには、海岸からそう離れていないヤマグワの多い山地が良いのでは?
そう考え、とりあえず更に南方へ車を走らせ、適当に林道に突入する。

林道沿いはヤマグワだらけだ。ヤマグワを一本一本見て進む。
しかし、古いヤマグワは見当たらない。
林道が新しいのかもしれない。
所々で咲いているノリウツギも気になる存在である。



ぱっと見、カミキリは見えないがハチ、ハナアブ、チョウはたくさん集まっている。
この地域のチョウと言えば、キタテハも見逃せない。
暫く北海道で記録がないと聞いている。
ここまで来たのだから、お世話になっている蝶屋さんにお土産でも、とノリウツギの梢のタテハ類を掬う。
が、採れるはシータテハばかりなので即リリース。



ノリウツギの梢に止まるコイツはイチモンジチョウ?とりあえず掬う。
「あっ、逃がした!・・・別にいいけど。」と呟きながらネットの中を覗くと、
「うへっ?」
赤いカミキリが入っていた。
そのカミキリその名は・・・



アオカミキリ[Schwarzerium quadricolle]★★★
夏季にノリウツギなどの花に集まる。食樹はイタヤカエデ。

いやぁ、初物でございます。北海道産のアオカミキリ族の中では(アオ、オオアオ、ジャコウ、ミドリ)の順で希少性が高いものと思われる。
トラフが採れなくてもコイツが採れるなんて、嬉しい誤算である。

しかし、トラフ採集の夢は叶わなかった・・・。


また、海岸近くの草原でフタオビミドリトラを狙うも・・・




ヒメスジコガネ[Mimela flavilabris]★★



アカスジカメムシ[Graphosoma rubrolineatum]★★

などばかりで、結局、本日のカミキリは先程のアオ一頭・・・。
こんな結果じゃ寂しいので、山奥まで入ってヒメオオ3頭採って来ちゃいました。



ヒメオオクワガタ[Dorcus montivagus montivagus](道南★★)
今年初の50㎜。(18時過ぎていたので写真は思いっきり補正しました)



19時過ぎ、家族を迎えに行き、函館へ帰る途中、オオクワガタ狙いで灯下採集。
雨が暫く降ってないせいかクワガタの集まりが悪い。
見られたクワはノコとミヤマのメスだけ。
けど、この日はクワよりもカミキリが多かったです。



ウスバカミキリ[Megopis sinica]★★
7月下旬以降、よく灯火に飛来する。



ゴマダラカミキリ[Anoplophora malasiana]★★★
北海道では主に南西部に分布。札幌以北では珍しい種となる。



最近、良い結果が得られず挫折感を味わう日々が続いている。
昨晩、久しぶりにメールをあけて見ると、お世話になってる甲虫屋さんからマジョール、オオアオ、トラフ、オオクワなどメジャー種の採集報告・情報が入ってきた。

はぁ・・・。自分は一体、何を狙ってんだか・・・。
狙い所も悪いし、執念も足りないのか。
ここらで、昨日の甲子園の駒大苫小牧のような大逆転劇を期待するのである。



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