キキリ・キキリ・キキリ

-北海道の昆蟲と自然-

北海道の昆虫の写真を中心に、身近な生き物や自然を紹介しています。

キキリノート Vol.3(カサイテントウ)

2006年10月29日 | テントウムシ科
日本シリーズで熱く盛り上がった北海道ですが、そろそろ平地でも初雪が降りそうです。
このごろ、小春日和のような晴れ間が差すと、マンションの南側の壁にはスコットカメムシやナミテントウが集まってくる。洗濯物に付いているのを知らずに取り込むと、夜間、照明を点けた時に、その周りをブンブン飛ぶのである。これらはナミテントウやナナホシテントウが多い。

テントウムシの仲間にも珍品と言われる種類がいる。
それは、国内では北海道だけに生息する縞模様のテントウムシである。




カサイテントウ[Sospita gebleri]★★★★(特)

国内では北海道だけに見られ国外ではシベリア、サハリンに分布する北方系のテントウムシ。
体長は7㎜前後。斑紋が特異的で他に見間違うような種はいない。

高山帯ではハイマツから得られているようだ。
自分の経験上、採集箇所ではハイマツと同属(Pinus属)のストローブマツが植林されている。恐らく、このマツが発生元と思われるが、知らないうちにスウィーピングで得ているので確かではない。個人的には十勝平野と上川盆地で採集している。



いずれ、生態写真を撮ってみたいと思っている、風変わりなテントウムシなのだ。


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手稲山初冠雪

2006年10月23日 | その他
冬が来ました。

自宅窓から見える、標高1023mの手稲山が初冠雪。




急に寒くなった札幌ですが、明日から3日間は熱くなりますよ!

頑張れ、ファイターズ!

それでは、出張に行ってきます。


晩秋のマイフィールド

2006年10月21日 | 採集記・撮影記
ホント寒くなりました。晴れていても風は冷たいです。
今日は目的もなく何気に出かけて見ました。
久しぶりのマイフィールドへ・・・。





札幌の山手の方では紅葉も落葉もかなり進んでいました。





折角来たので、ここの池のゲンゴロウモドキを採ろうと思ったのですが、なかなか網に入りません。ゲンモは諦め、撮影に専念しようと思いました。

しかし、どこを探せど甲虫はおろか、雪虫すら飛んでいません。
この辺ではトンボやバッタさえ姿は見えず・・・


ようやく見つけた最初の虫は、



クロスジホソアワフキ[Aphilaenus nigripectus]★★

寒くて動く様子がありません。
次に見つけたのは、



シマハナアブ[Eristalis cerealis]★

ナデナデしても動きません。
他には・・・



クチナガガガンボ属の一種[Elephantomyia sp.]★



ブチミャクヨコバイ[Drabescus nigrifemoratus]★★


あまりに何も居ないのでビックリです。

車に戻って外気温を調べてみると・・・



7℃ですかぁ・・・。もう少しで冷蔵庫です。
今年は早めにタイヤ交換しようかな?



日高地方のアイヌキン採集

2006年10月20日 | オサムシ科
9月の第4週某日
日高方面の仕事の帰りにオサムシトラップを仕掛けました。
対象はアイヌキンオサの亜種、コルベキンとヒダカキン。

アイヌキンオサムシの個体数ピークは、山地に生息するものでは盛夏の頃、低地に生息するものは春と晩夏の消長パターンである。
まだ、ほんの少しでも活動している事を信じ、コルベキン用に約200個、ヒダカキン用に約30個を設置したのであった。



3週間後・・・



10月の第2週目の某日
まずはコルベキンのトラップ回収。
コルベキンは他の地域にはない独特の色彩で有名だ。鞘翅が濃紺になる個体が出現し、大型である。個人的には未採集もの。
現場に着くまでの道のりは、期待と緊張で非常にドキドキした。




コルベキンの主な生息地の環境はカシワ林。林床の笹は薄く、トラップは比較的仕掛けやすい場所である。
9月下旬からこれまでの気温は、概ね高めの推移しており、10月でも20度を越す日もあったくらいだ。まだまだ越冬はしていないだろう(多分・・・)


「いざ回収!」っと気合を入れてみたものの、トラップの上には分厚く落ち葉のフタがしてあった。10月は落葉の時期。虫が活動しているか否か以前の問題で、自分にとっては計算外の事であった。
それでも、少しの希望を持って、トラップの上の落ち葉をめくっていく。
センチコガネとシデムシ類が少数、良くて、クロナガオサとセダカオサが落ちている程度・・・。



半数くらい回収した頃であろうか?
なかば諦め掛けていた時、一筋のヒカリがトラップの底から見えたのであった!。



ピカーッ

うひょ~!遂に自己初コルベをゲットした。 ウルウル、感動。



再び、ピカーッ

「よっしゃ~!」誰もいない林内に響く声!
このトラップの中に落ちているキラキラを眺めるがとても好き
まさしくオサムシは歩く宝石。

この後、更に4回の「ピカーッ!」を体験。
お寒い季節だというのに、感動で気持ちは暖かくなってきた。



それでは採集結果をご覧下さい




コルベキンオサムシ[Procrustes kolbei kolbei]★★★



上記個体の斜め写真(コルベ1号)



(コルベ2号)



(コルベ3号)



(コルベ4号)



(コルベ5号)


コルベ6号はボロボロなので、割愛させていただきます








気を良くして、ヒダカキンのトラップ設置場所へ向かった。
こちらは沿岸から少し内陸に入り、標高は100m位の低山地。


環境的にはミズナラ、ハルニレ、シラカンバなどの普通の広葉樹林である。
林床は笹が繁っていてトラップの設置はしづらかった。

トラップ数も少ないので全く期待していなかったのだが・・・



ヒダカキンオサムシ[Procrustes kolbei hidakamontanus]★★★


ピカーッ!と1個体ゲットです。
コルベと違って青味は無く、トラップに落ちている時は黄緑っぽく見えるのである。
こんな感じで今回は、時期外れでしたが、まずまずの結果が得られたのである



既に10月も半ば。峠では雪の便りも聞こえてきた。
採集対象となる虫は数少ないが、山に入ればヒグマに遭遇する機会は多い。
現地でもクマの鳴き声を聞いたり、牧場内を走る子グマを見たりと、今年は多いなぁという印象だ。

全国的にクマの事故も増えているようなので、皆さんも十分お気をつけ下さい。


(ヒグマの古い爪痕です)


ホッチャレ

2006年10月15日 | 動物
この言葉が北海道以外で通用するのか否かは知らない。

聞いたことがない方のために「ホッチャレ」の意味を説明します。

それは、数年間、北の海を旅した後に故郷の川の遡上し、「産卵」という大事な役目を終えボロボロになったサケ、もしくはその死骸のこと。



ホッチャレが見られる川というのは、サケが自然産卵している川だけである。
河口付近にウライ(遡上してくるサケの捕獲罠)が設置されている川では、まず見られない光景だ。

この写真を見て、「気持ち悪い」とか「怖い」などと思う方も居るかも知れない。
しかし、この様な姿になったサケ(ホッチャレ)にも、まだ大事な役目がある。

ホッチャレは哺乳類や鳥類(特にオジロワシやオオワシ)の重要な餌となり、そして、河畔林はホッチャレの栄養素を取り入れ豊かに育つのだ。
河畔林が豊かであれば川魚も豊富で、また、その川の水が注ぐ海域の生物も豊富になる。
大昔は北海道中で当たり前の光景であったはずだが、河川改修、ダムの設置等による産卵場所の減少、水産資源の管理という名目でサケが河口でほとんど捕獲されている現状がある。



近年は魚道の整備や、ウライの撤去などでサケの自然産卵が可能になった河川も多くなった。
元々の自然のサイクルを取り戻した河川は、そのうち昆虫相も豊かになるに違いない。