常日頃、単独採集に慣れている為か、採集者が集まる有名ポイントへ行くことは避けてきた。
「じっくり気ままに、採れなきゃ採れないで良い。」それがポリシーである。
その一方で、ネキ(ホソコバネカミキリ属=Necydalis:ネキダリス)採集への思いは、ネットや知人から情報を得るたびに、強くなる一方であった。
そしてついに、ネキへの思いが爆発した。
この週末、時間が取れるのは日曜日の午前中だけ。
「天気が良ければ行こう!」そう決めていた。
2日前までの札幌の週間天気予報はあまり良くなかったが、
今朝、起きてみると空は快晴!最新の天気予報もチェックせずに出発してしまった。
AM7:00 自宅出発
PM8:00 ポイント到着。
こんなにも早くポイントに着くなんて・・・少し拍子抜けである。
ここは北海道のネキ採集のメッカ。しかし、採集者は他に誰も居ない。
居るのは多数の登山者だけで、捕虫網を持っているのは自分一人。
とても肩身が狭い。
「まぁ、知り合いは誰もいないんだし堂々としていよう。」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/76/e4/c1eb3f5de96b64ffa7f613618679a648.jpg)
とりあえず、ジックリと倒木、立ち枯れを舐めるように見回すが、カミキリの姿はない。
視界に入って来るのはオオムラサキの飛翔姿。まだ気温が上がっていないので比較的低く飛んでいる。
オオムラサキを採ろうと思えば簡単に採れる程飛んでいるのだが、今日は不退転の決意でネキを採りに来たのである。オオムラサキに手を出すわけにはいかない。
しかし、採集者が来ないのは逆に不安だ。時間帯が悪いということか?
しばらくして、そんな不安はすぐさま消えた。長竿を持った方がお見えになる。
私はこの場所では新参者。失礼があってはならない。
「おはようございます」と声を掛けた。
相手の方も、快く返事をしてくれ、「何採りに来たの?」と声を掛けてくれた。
「カミキリです。初めてネキを採りに来たんですが・・・」
「あ、そう。ペンナータは終わってオダイが出始めたよ。」
声を掛け合って、15分と経たないうちにベテランの方から、いろんなことを教えて頂いた。最も重要なのは「ネキはじっと待て」という言葉だった。
経験豊富な方から受けるアドバイスは宝物である。
何一つ知らなかった自分が、既に採集経験者の様な気分である。
その後もネキを待ち続けながら、色々とアドバイスを受けた。
AM9:00
寄り掛かかっていた倒木の下からモゾモゾと蠢く黒い虫。
一瞬、ハッとしたが・・・
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3d/6a/06bfe85d269e40f702591af4e5c51be1.jpg)
ツヤハダクワガタ[Ceruchus lignarius lignarius]★★★
夜間、カツラなどの広葉樹に集まる。幼虫は赤枯材にいる。
何と上翅が一枚無い個体であった。
黒くて後翅が剥き出しになっている点で、ほんの一瞬ビックリしたが、すぐさまツヤハダだと判った。
ベテランのお方に「ツヤハダクワガタでした。」と報告すると、
「この辺は結構いるよ。」と返事が返る。
「そーだったんだ・・・。ツヤハダは材割でしか出した事なかったが・・・」
とりあえず不完品であるが瓶に入れる。
振り返って定位置に戻ろうとしたとき、なんとも怪しげなガガンボ?が飛んでいた。
反射的にネットイン!中に入っていたものは・・・、
紛れも無くネキであった。
「採れちゃいました。」
「どれどれ。オダイの雄だな。初ネキか?」
「はい、そうです。」
ついに、ついに念願のネキを採った
!
ここ最近、狙ったものが採れてなかったのでとても嬉しい!
特にここのオダイは消滅寸前と言われているくらい、近年は個体数が減っている。
とにかく、採れて良かった
。
誰も居なければ雄叫んでいたが、山頂には登山者が十数人居る。
子供も外人さんも。他人をビックリさせたくないので、嬉しさを押し殺した。
この後、いつもの様に虫を指で摘んで撮影をしようとしたが、
「潰れやすいし、気を抜くとすぐ飛んでいってしまうぞ。」と声を掛けられた。
それもそうだ。人生初ネキを逃がしてしまっては、お馬鹿な話になってしまう。
素直に聞き入れ、フィルムケースまで貰い、それに入れ持ち帰ることにした。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/53/db/1365b3e96d7ce8c36f7fe70afdbd7877.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/16/b3/e5ac0333e8c78d35688d85008c1b8b8d.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/55/9c/ad50a72449a50d5553716b78bed67e35.jpg)
ヒゲジロホソコバネカミキリ[Necydalis odai]★★★★
北海道では札幌周辺の数箇所でしか記録が無い。
通称オダイ。写真個体は♂。♀はこれよりも2周りほど大きい。
この後、追加したカミキリといえば・・・
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/67/c4/75ff0ab4a965e526ddd499c918df7680.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1c/19/bbd83447d462744d7de273b3f7772d88.jpg)
エゾアメイロカミキリ[Obrium brevicorne]★★★(特)
主に道東・道北で記録がある。北海道特産種。
ナカネアメイロとは、前胸背全体に点刻がある点とやや暗めの色彩で区別される。
広葉樹の葉裏から採集。ヤチダモを食樹とするので、吹き上げられた個体かも。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/29/18/143f23f57cd135861cacd150f7d9530c.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/39/35/74edbb09edc37ce487687846614e240e.jpg)
シロオビチビカミキリ[Sybra subfasciata subfasciata]★★
各種広葉樹。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0c/7b/c1ed3e5b10f81301ea1992ed665ced66.jpg)
ルリボシカミキリ[Rosalia batesi]★★
1頭採れると、欲がでる。
次は♀か、もしくはギガンテアか・・・
まあ、幸運は続くはずもなく、本日のネキはこの一頭にとどまった。
なにはともあれ、今年の目標一つクリアである!
現地で色々とお世話になったSさんにこの場を借りて感謝申し上げます。
ありがとうございました。
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「じっくり気ままに、採れなきゃ採れないで良い。」それがポリシーである。
その一方で、ネキ(ホソコバネカミキリ属=Necydalis:ネキダリス)採集への思いは、ネットや知人から情報を得るたびに、強くなる一方であった。
そしてついに、ネキへの思いが爆発した。
この週末、時間が取れるのは日曜日の午前中だけ。
「天気が良ければ行こう!」そう決めていた。
2日前までの札幌の週間天気予報はあまり良くなかったが、
今朝、起きてみると空は快晴!最新の天気予報もチェックせずに出発してしまった。
AM7:00 自宅出発
PM8:00 ポイント到着。
こんなにも早くポイントに着くなんて・・・少し拍子抜けである。
ここは北海道のネキ採集のメッカ。しかし、採集者は他に誰も居ない。
居るのは多数の登山者だけで、捕虫網を持っているのは自分一人。
とても肩身が狭い。
「まぁ、知り合いは誰もいないんだし堂々としていよう。」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/76/e4/c1eb3f5de96b64ffa7f613618679a648.jpg)
とりあえず、ジックリと倒木、立ち枯れを舐めるように見回すが、カミキリの姿はない。
視界に入って来るのはオオムラサキの飛翔姿。まだ気温が上がっていないので比較的低く飛んでいる。
オオムラサキを採ろうと思えば簡単に採れる程飛んでいるのだが、今日は不退転の決意でネキを採りに来たのである。オオムラサキに手を出すわけにはいかない。
しかし、採集者が来ないのは逆に不安だ。時間帯が悪いということか?
しばらくして、そんな不安はすぐさま消えた。長竿を持った方がお見えになる。
私はこの場所では新参者。失礼があってはならない。
「おはようございます」と声を掛けた。
相手の方も、快く返事をしてくれ、「何採りに来たの?」と声を掛けてくれた。
「カミキリです。初めてネキを採りに来たんですが・・・」
「あ、そう。ペンナータは終わってオダイが出始めたよ。」
声を掛け合って、15分と経たないうちにベテランの方から、いろんなことを教えて頂いた。最も重要なのは「ネキはじっと待て」という言葉だった。
経験豊富な方から受けるアドバイスは宝物である。
何一つ知らなかった自分が、既に採集経験者の様な気分である。
その後もネキを待ち続けながら、色々とアドバイスを受けた。
AM9:00
寄り掛かかっていた倒木の下からモゾモゾと蠢く黒い虫。
一瞬、ハッとしたが・・・
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3d/6a/06bfe85d269e40f702591af4e5c51be1.jpg)
ツヤハダクワガタ[Ceruchus lignarius lignarius]★★★
夜間、カツラなどの広葉樹に集まる。幼虫は赤枯材にいる。
何と上翅が一枚無い個体であった。
黒くて後翅が剥き出しになっている点で、ほんの一瞬ビックリしたが、すぐさまツヤハダだと判った。
ベテランのお方に「ツヤハダクワガタでした。」と報告すると、
「この辺は結構いるよ。」と返事が返る。
「そーだったんだ・・・。ツヤハダは材割でしか出した事なかったが・・・」
とりあえず不完品であるが瓶に入れる。
振り返って定位置に戻ろうとしたとき、なんとも怪しげなガガンボ?が飛んでいた。
反射的にネットイン!中に入っていたものは・・・、
紛れも無くネキであった。
「採れちゃいました。」
「どれどれ。オダイの雄だな。初ネキか?」
「はい、そうです。」
ついに、ついに念願のネキを採った
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/abanzai.gif)
ここ最近、狙ったものが採れてなかったのでとても嬉しい!
特にここのオダイは消滅寸前と言われているくらい、近年は個体数が減っている。
とにかく、採れて良かった
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/face_naki.gif)
誰も居なければ雄叫んでいたが、山頂には登山者が十数人居る。
子供も外人さんも。他人をビックリさせたくないので、嬉しさを押し殺した。
この後、いつもの様に虫を指で摘んで撮影をしようとしたが、
「潰れやすいし、気を抜くとすぐ飛んでいってしまうぞ。」と声を掛けられた。
それもそうだ。人生初ネキを逃がしてしまっては、お馬鹿な話になってしまう。
素直に聞き入れ、フィルムケースまで貰い、それに入れ持ち帰ることにした。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/53/db/1365b3e96d7ce8c36f7fe70afdbd7877.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/16/b3/e5ac0333e8c78d35688d85008c1b8b8d.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/55/9c/ad50a72449a50d5553716b78bed67e35.jpg)
ヒゲジロホソコバネカミキリ[Necydalis odai]★★★★
北海道では札幌周辺の数箇所でしか記録が無い。
通称オダイ。写真個体は♂。♀はこれよりも2周りほど大きい。
この後、追加したカミキリといえば・・・
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/67/c4/75ff0ab4a965e526ddd499c918df7680.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1c/19/bbd83447d462744d7de273b3f7772d88.jpg)
エゾアメイロカミキリ[Obrium brevicorne]★★★(特)
主に道東・道北で記録がある。北海道特産種。
ナカネアメイロとは、前胸背全体に点刻がある点とやや暗めの色彩で区別される。
広葉樹の葉裏から採集。ヤチダモを食樹とするので、吹き上げられた個体かも。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/29/18/143f23f57cd135861cacd150f7d9530c.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/39/35/74edbb09edc37ce487687846614e240e.jpg)
シロオビチビカミキリ[Sybra subfasciata subfasciata]★★
各種広葉樹。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0c/7b/c1ed3e5b10f81301ea1992ed665ced66.jpg)
ルリボシカミキリ[Rosalia batesi]★★
1頭採れると、欲がでる。
次は♀か、もしくはギガンテアか・・・
まあ、幸運は続くはずもなく、本日のネキはこの一頭にとどまった。
なにはともあれ、今年の目標一つクリアである!
現地で色々とお世話になったSさんにこの場を借りて感謝申し上げます。
ありがとうございました。
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