キキリ・キキリ・キキリ

-北海道の昆蟲と自然-

北海道の昆虫の写真を中心に、身近な生き物や自然を紹介しています。

本日のお題は・・・

2006年07月30日 | カミキリムシ科
常日頃、単独採集に慣れている為か、採集者が集まる有名ポイントへ行くことは避けてきた。
「じっくり気ままに、採れなきゃ採れないで良い。」それがポリシーである。
その一方で、ネキ(ホソコバネカミキリ属=Necydalis:ネキダリス)採集への思いは、ネットや知人から情報を得るたびに、強くなる一方であった。
そしてついに、ネキへの思いが爆発した。


この週末、時間が取れるのは日曜日の午前中だけ。
「天気が良ければ行こう!」そう決めていた。
2日前までの札幌の週間天気予報はあまり良くなかったが、
今朝、起きてみると空は快晴!最新の天気予報もチェックせずに出発してしまった。



AM7:00 自宅出発

PM8:00 ポイント到着。

こんなにも早くポイントに着くなんて・・・少し拍子抜けである。
ここは北海道のネキ採集のメッカ。しかし、採集者は他に誰も居ない。
居るのは多数の登山者だけで、捕虫網を持っているのは自分一人。
とても肩身が狭い。
「まぁ、知り合いは誰もいないんだし堂々としていよう。」



とりあえず、ジックリと倒木、立ち枯れを舐めるように見回すが、カミキリの姿はない。
視界に入って来るのはオオムラサキの飛翔姿。まだ気温が上がっていないので比較的低く飛んでいる。
オオムラサキを採ろうと思えば簡単に採れる程飛んでいるのだが、今日は不退転の決意でネキを採りに来たのである。オオムラサキに手を出すわけにはいかない。
しかし、採集者が来ないのは逆に不安だ。時間帯が悪いということか?
しばらくして、そんな不安はすぐさま消えた。長竿を持った方がお見えになる。


私はこの場所では新参者。失礼があってはならない。
「おはようございます」と声を掛けた。
相手の方も、快く返事をしてくれ、「何採りに来たの?」と声を掛けてくれた。
「カミキリです。初めてネキを採りに来たんですが・・・」
「あ、そう。ペンナータは終わってオダイが出始めたよ。」


声を掛け合って、15分と経たないうちにベテランの方から、いろんなことを教えて頂いた。最も重要なのは「ネキはじっと待て」という言葉だった。
経験豊富な方から受けるアドバイスは宝物である。
何一つ知らなかった自分が、既に採集経験者の様な気分である。
その後もネキを待ち続けながら、色々とアドバイスを受けた。


AM9:00 
寄り掛かかっていた倒木の下からモゾモゾと蠢く黒い虫。
一瞬、ハッとしたが・・・


ツヤハダクワガタ[Ceruchus lignarius lignarius]★★★
夜間、カツラなどの広葉樹に集まる。幼虫は赤枯材にいる。


何と上翅が一枚無い個体であった。
黒くて後翅が剥き出しになっている点で、ほんの一瞬ビックリしたが、すぐさまツヤハダだと判った。

ベテランのお方に「ツヤハダクワガタでした。」と報告すると、
「この辺は結構いるよ。」と返事が返る。
「そーだったんだ・・・。ツヤハダは材割でしか出した事なかったが・・・」
とりあえず不完品であるが瓶に入れる。



振り返って定位置に戻ろうとしたとき、なんとも怪しげなガガンボ?が飛んでいた。
反射的にネットイン!中に入っていたものは・・・、
紛れも無くネキであった。


「採れちゃいました。」
「どれどれ。オダイの雄だな。初ネキか?」
「はい、そうです。」 

ついに、ついに念願のネキを採った
ここ最近、狙ったものが採れてなかったのでとても嬉しい!
特にここのオダイは消滅寸前と言われているくらい、近年は個体数が減っている。
とにかく、採れて良かった
誰も居なければ雄叫んでいたが、山頂には登山者が十数人居る。
子供も外人さんも。他人をビックリさせたくないので、嬉しさを押し殺した。


この後、いつもの様に虫を指で摘んで撮影をしようとしたが、
「潰れやすいし、気を抜くとすぐ飛んでいってしまうぞ。」と声を掛けられた。
それもそうだ。人生初ネキを逃がしてしまっては、お馬鹿な話になってしまう。
素直に聞き入れ、フィルムケースまで貰い、それに入れ持ち帰ることにした。







ヒゲジロホソコバネカミキリ[Necydalis odai]★★★★
北海道では札幌周辺の数箇所でしか記録が無い。
通称オダイ。写真個体は♂。♀はこれよりも2周りほど大きい。



この後、追加したカミキリといえば・・・




エゾアメイロカミキリ[Obrium brevicorne]★★★(特)
主に道東・道北で記録がある。北海道特産種。
ナカネアメイロとは、前胸背全体に点刻がある点とやや暗めの色彩で区別される。
広葉樹の葉裏から採集。ヤチダモを食樹とするので、吹き上げられた個体かも。





シロオビチビカミキリ[Sybra subfasciata subfasciata]★★
各種広葉樹。



ルリボシカミキリ[Rosalia batesi]★★



1頭採れると、欲がでる。
次は♀か、もしくはギガンテアか・・・
まあ、幸運は続くはずもなく、本日のネキはこの一頭にとどまった。

なにはともあれ、今年の目標一つクリアである!


現地で色々とお世話になったSさんにこの場を借りて感謝申し上げます。
ありがとうございました。



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今日も晴天なり

2006年07月28日 | 採集記・撮影記
札幌は晴天続きですが、なかなか良い虫に出会えていません。




コエゾゼミの羽化

日中、堂々と羽化。セミの羽化といえば早朝だと思っていたが・・・




今日は、マイナー甲虫を少し。


クロダンダラカッコウムシ[Stigmatium nakanei]★★
土場に良く来ている。




ネジロモンハナノミ[Tomoxia scutellata]★★★
ブナの立ち枯れに集まるそうだが、札幌周辺はブナがない。
因みにこの樹皮はホオノキ。つるつるの樹皮が好きなのか?




エンマムシモドキ[Syntelia histeroides]★★
樹液に集まる。この虫を触った指を嗅ぐと・・・



今年は平野部のハナカミキリの発生量が少ない気がします。

昨日、アカハナカミキリを見ました。

そろそろカミキリラストスパートですね。





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仕事前にジャコウ探し

2006年07月26日 | カミキリムシ科
昨年は旭川方面でジャコウをたくさん見ることができたが、札幌周辺ではまだ見たことはなかった。
仕事前に近場のヤナギ林を覗いて見た。



久しぶりに朝から気温が高い。

林内を歩いていると早速、飛翔中のカミキリを確認!
付近のヤナギの梢に止まった。


網を持っていなかったので、採れなかった。



午前中は低い場所にいることが多い。
腰より低い場所を探す。


いた!



別角度から。



ジャコウカミキリ[Aromia moschata ambrosiaca]★★★(特)
河畔林のヤナギ類に集まる。北海道特産種
木の根元や幹に、ボコボコと木屑が出ている穴が生息の目印になる。
7月中旬から8月中旬まで見られ、渡島半島以外の全域に分布。
石狩川水系流域には多産する場所もある。


朝方よりも、気温が上がる午後の方が活発に行動している。
このカミキリがいる場所は、独特の芳香剤のような香りに包まれている。
生体は熟したトマトの様な赤い前胸背が印象的であるが、標本にすると色が悪くなるのが残念

雌は雄よりも一週間遅れくらいで出てくる。来週は雌も見られると思う。



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さくっと、近場で

2006年07月24日 | 採集記・撮影記
簡単に23日(日)の虫を・・・


近場のマイポイント。


藪の中にサルナシの枯れ蔓がある。
「ピシッ、ピシッ」とジャブ程度に叩く。
落ちてくるのは、ハサミムシ、チャタテムシ、クモなど対象外の生物である。
次はフックとアッパーを加え、足を使って前へ前へ。

より多くの対象外生物と一緒に、見慣れないカミキリが1頭・・・



ヒトオビチビカミキリ[Sybra unifasciata]★★★
サルナシに集まる。上川盆地以南に記録がある。

採集時は全く名前が浮かばず、帰宅後に同定。
本日、最初のカミキリが初物だったので、チョッと気分が良い。


周辺はヤナギが多く、また、曇ってるので、イタヤカミキリがヤナギに登っているかも知れない。
そう思いながら、ルッキング&ビーティングしながらのウォーキング。
落ちてくるのは、アワフキ、カメムシ、ケムシ・・・。
「まだ出てないのかなぁ?」と考えつつ、目の前を通り過ぎたエゾマイマイカブリの後をつける。
エゾマイマイカブリの逃げ込んだ藪の先のヤナギに・・・





イタヤカミキリ[Mecynippus pubicornis]
ヤナギ類、イタヤカエデなどに集まる。主に夕方活動する。


珍しく読みが当たった。
この後、カミキリはシラホシ、オニグルミノキモン、アトジロサビを追加。


笹の上で夏セミ確認!


コエゾゼミ[Mecynippus pubicornis]★
夏季に最も多いセミ。

多数、羽化しているが、気温が低いので鳴く様子が無い。



昨日、ルリボシを確認した土場に移動。
相変わらず、ルリボシがうろうろしていた。
それ以外の確認種はナガゴマフ、ホソトラ。
ルリボシはざっと数えて20個体いる。
晴れればもっと出るだろう。
斑紋の変異をご覧あれ!











ルリボシカミキリ[Rosalia batesi]★★



ナガゴマフカミキリ[Mesosa longipennis]★★

この土場では他に新たな確認が無かった。
新たな場所へ移動する。


某林道。
セリ科の花をルッキングして行く。しかし、ハナカミキリの訪花は少ない。
昨年ならフタコブルリハナが居たのだが・・・
居るのはヤツボシハナ、ヨツスジハナ、クロハナのみである。


オオイタドリにカミキリのシルエットを確認。
近づいてみると・・・


ビロウドカミキリ[Acalolepta fraudatorix]★★
各種樹木に集まる。


ミズナラのルッキングで偶然発見!


ミミズク[Ledra auditura]★★★
道内では道央圏で記録されている。
一般的な図鑑類には北海道の分布の記述が無い。


この日はさくっと近場で済ませました。




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たまには家族サービスを・・・

2006年07月22日 | 採集記・撮影記
本州・四国・九州にお住まいの皆さんは、長雨で大変な目に遭っている事と思います。
そんな中、結果が出なくても、毎週のように採集に出かけている自分は、とても幸せ者である。
そんな自分を支えてくれている家族に対して、家族サービスということでサクランボ狩へ行って来ました。
(天気が良いのに・・・



札幌市内 某山



見た目は赤くて美味しそうですが、最近、雨が続いたせいで、身が割れたり、腐ったりして、出来が良くないそうです。
ということで通常より入場料を安くしてもらい、大人400円、子供300円、幼児無料でした。



ノコギリカミキリ[Prionus insularis]★
サクランボの木に沢山ついてました。

今年は出来が良くないと言っても、日当たりの良い高めの枝から色の良いもの摘むと、結構甘いのもあります。なんだかんだサクランボで腹いっぱいになりました。また、2パック分お持ち帰りにしましたが、それも400円で、結果的に超お得な家族サービスになりました。


この果樹園の近くには、オオムラサキのスポットがあります。
帰宅前に、寄ってみたら、3人ほど蝶屋さんがいます。
若手の方に話を聞くと今年は多いとのこと。
それではと自分も、7m竿を出し30分くらい待ってみましたが、20~30mの樹冠を飛んでいるので、全く届きません。
悠々と飛んでいるオオムラサキを尻目に帰宅しました。



帰宅後、サクランボを食べ過ぎたせいで、お腹の調子がいまいちでしたが、次週も天気が良いとは限らないので、片道20分のマイポイントに足を運びました。


既にPM4:00を過ぎていましたが、カミキリはそこそこ見られました。


ナガゴマフカミキリ[Mesosa longipennis]★★
主に北海道の西部に分布。各種広葉樹に集まる。



ホソトラカミキリ[Rhaphuma xenisca]★★
針葉樹やツルウメモドキに集まる。



ヒメヒゲナガカミキリ[Monochamus subfasciatus]★★
各種広葉樹に集まる。



ルリボシカミキリ[Rosalia batesi]★★
各種伐採木に集まる。



フタツメゴミムシ[Lebidia bioculata]★★
樹上性。



ウスイロオナガシジミ[Antigius butleri]★★
カシワ、コナラ、ミズナラで発生する。

なんだこのシジミは?と思い撮影。帰宅後調べてみたら、斑紋異常?
採集しませんでしたが、珍しかったでしょうか・・・?



また、例の「やわらかビーティングネット」では、
下記の2種を採集しました。・・・



ニイジマチビカミキリ[Egesina bifasciana bifasciana]★★
ヤマグワやツルウメモドキに集まる。



不明ナガタマムシ
4.5㎜前後。不明広葉樹枯木のビーティング。
もしかして、ダイミョウナガタマ?


本日は他に、ヘリグロベニカミキリ、オニグルミノキモンカミキリ、チャイロホソヒラタカミキリ、ガロアケシカミキリ、エゾサビカミキリ・・・などでした




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