キキリ・キキリ・キキリ

-北海道の昆蟲と自然-

北海道の昆虫の写真を中心に、身近な生き物や自然を紹介しています。

摩周湖

2007年01月27日 | その他


先日の出張の帰り、機内から撮ったもの。

月面のクレーターを思わせる様相。

これは、約7000年前の巨大噴火によってできたカルデラ地形。

湖岸の絶壁はなんと300~400mもあるとのこと。

摩周湖は注ぎ込む川も流れ出る川もないのに、水位はいつも一定。

ついでに、かつては世界一と言われた透明度。戦前の記録では41.6mであったそうだ。

現在の透明度は20m程度になってしまったものの、晴天時の濃いブルーの湖水は、

全てを呑み込んでしまうくらいの迫力がある。

この写真と「Google Earth」を並べて見ると、

何となくそこに行った気になれるかも知れないです。



摩周湖と聞いて、思い出すのは「巨大ザリガニ」の話。

学生時代、釧路出身の友達から地元紙に連載された記事を読ませられ、

大変驚いた事を記憶している。

その話をWeb上で探したら、簡単に見つかった。

大変興味深い記事で、一般人が立ち入れない摩周湖の神秘性が直に伝わってくる。

巨大ザリガニの謎



※久しぶりの更新となりました。立て続けに出張入ってます。
 そろそろ、虫ネタに戻したいところですが、暫くご勘弁を。

野付半島の野生

2007年01月21日 | 動物
厳しい寒さの中でも、逞しく生きる野生動物は美しい。

野付半島ではそんな野生動物を間近で見ることが出来る。



野付半島の付け根の辺りはとても狭い。
道路一本の両サイドは30mくらいずつ海岸草原広がり、その外側は海である。
延長16km程度の道路沿いの電柱には、時々止まっているオオワシを見ることができる。



オオワシ[Haliaeetus pelagicus](天然記念物)

ワシは非常に敏感な鳥なので車から降りるものなら100m離れていたってすぐに逃げてしまうが、
車の中から観察するならば意外と逃げないのである。
ただし、ジッと凝視すると視線を感じて飛び去ってしまうので、エンジンを切り、そーっと窓を開け、
時々チラ見する程度であればワシの方は気にしない様だ。
(ただし、繁殖期の鳥類に対して、たとえ車の中であっても過度に接近することは禁物です。)



オオワシの成鳥は美しい白黒のコントラストに一きわ大きい黄色い嘴が特徴だ。
毎年、欧州から北海道に向けこの鳥の観察を目的としたツアーが組まれるなど、
世界中のバーダーの憧れの鳥らしい。
羽を広げると230cm前後。止まっていても90cm以上もある巨大なワシである。
アイヌの人々も「カパッチリ・カムイ」(ワシの神)と崇めていたようだ。


海岸に目を向けると、褐色で少し地味なオジロワシが目に入ってきた。


オジロワシ[Haliaeetus albicilla](天然記念物)
インパクトこそオオワシに劣るが、羽を広げると210cm前後、体長は80cm以上の大型のワシだ。

この個体は尾羽が完全に白くなく、目も褐色なので4~5才の若鳥であろう。
これをチラ見程度で撮影していたところ、どうも様子がおかしかった。
常に上方を気にしている様だった。
そこに・・・



ドロップキック!
と言わんばかりに他の個体が若鳥に攻撃してきた。



若鳥を追い払い、陣地を奪った成鳥は「カッ、カッ、カッ、カッ・・・。」とけたたましく鳴く。



「どうだ!」

ワシは種の違い、老いも若きも関係なく仲よく並んで止まっていることが多いのだが、
餌も持っていない個体に対してこういう攻撃を加えたのは始めて見た。



オジロワシも精悍な顔してます。



草原に目を向けると、一頭の黒い影が見えた。
エゾシカの雌だ。



エゾシカ[Cervus nippon yesoensis]

昔は野付半島には居なかったらしい。
近年、シカの個体数が過剰となり、あふれた個体が、凍結した野付湾の対岸から渡って来た様である。
野付半島でシカの個体が増えると、貴重な植物も食害されてしまうので心配である。


札幌付近でもこれらの動物に会えない訳では無いのだが、道東では出会う頻度がとても高く、
より身近で見られる。
道東の昆虫も素晴らしい種が多く、今後、機会を見て撮影をしたいと思っています。

野付の日の出

2007年01月20日 | 採集記・撮影記
野付周辺やオホーツク海側で四角い太陽が出ることは有名らしい。
実はそんなこと全く知らなかったのだが、前日、撮影中に旅行者らしき方から声を掛けられたのである。

男性「あのー、東はどっちですか?」
O 「(方位計付きの腕時計を見てから)こっちですが?」
男性「埼玉から四角い太陽撮りに来たんですよ。明日の天気ご存知ですか?」
O 「(いきなり、聞かれても困るんだが・・・)明日は天気良いみたいですよ。」
男性「四角い太陽は-20℃で出るって聞いたんですが。」
O 「どうでしょうか?確か週間予報だと今週の最低気温は-10℃くらいだったはずです。」
男性「そうですか・・・。ありがとうございます。」
O 「サンダルとウインドブレーカーじゃ寒くないですか?着込まないと凍傷になりますよ。」
男性「ハハハ。本当、こっちは寒いですねぇ。」

う~ん、この男性、寒さを甘く見てはいないか?そう思いながら、「四角い太陽」の存在が気になりだした。
夕日の撮影をする前、ネイチャーセンターに寄って情報収集したのだが、「晴れ」、「-20℃」、
「遠くの地平線に雲が無いこと」などの条件があるという。しかも、条件が揃っても出ない時もある、
年に数度の現象らしい。


でも、せっかくここまで来たのだから、狙わない訳に行かない。


17日AM6:20


日の出の20分前。まだ暗いが水平線が色づいてきた。



AM6:38 日の出直前。空が白くなる。



AM6:40 水平線の一部が赤らむ。キタキタ!



太陽の頭が出てくる。



だんだんとテンションあがって来た!
シャッター押しやすい様に手袋を脱ぐ。



オーッ!太陽の側面が平行だー!
でも、上の雲が邪魔・・・。



あららら・・・、ダ、ダメかな?



これじゃラーメンどんぶりだよ・・・。



あー残念。



でも、水平線から出る日の出は格別だなぁ。



この時、外気温は-15℃。
寒いと言うより痛いに近い。
奇跡の太陽を見るには、もっと厳しい寒さが必要みたい。

撮影後、三脚をしまう際に一瞬、手がくっ付いて離れなくなった。
手袋付けないで金属触るのはキケンですよ。これ位の気温だと・・・。


野付半島

2007年01月17日 | 採集記・撮影記
久しぶりの道東出張。空き時間で野付(のつけ)半島を訪ねてみた。

道外の方はピンとこないかもしれない。
天気予報の様な略図化されたものには表現されないくらい小さな半島。しかし、日本一な面もある。
野付半島位置図

それは、日本最大の「砂嘴(さし)」であること。
「砂嘴」とは「波の働きにより漂砂が押し集められてできる釣鈎状の砂州」のこと。
衛星写真で見ると、なんとも奇妙な形である。(ウィキペディアフリー百科事典


野付の語源はアイヌ語で「ノッケウ」=「あご骨」という意味で、
人間のあごに似ているところから付けられた地名だそうだ。
昔、高い山から見るとその様に見えたのであろう。
しかし、長い年月を掛け変化し続けるその地形は、ミジンコの触角の様に見えるのだった。


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16日 AM8:40

札幌丘珠空港から中標津空港行きのプロペラ機に乗り込む。


(機種 DHC8-Q300 56席)
昔乗ったYS-11よりは暖房が効いていた。音も揺れも静かだった。
高度4800mを飛行。ジェットより低空を飛ぶので、地上の景色が良く見える筈だったのだが・・・。



一面、雲、雲、雲・・・


景色もつまらないので、最近購入した評判の「昆虫にとってコンビニとは何か?」という本を読み出した。
とたん、数ページ読み終えたところで、着陸態勢。


AM9:30着。
何だかんだで50分程度で中標津空港に到着した。
車で来ると6~7時間は覚悟しないといけないのに、やっぱり飛行機って便利。


手配していたレンタカーを借りた。若干、牛の匂いの染込んだシート。
周囲が酪農地帯であるため。北海道らしいと匂いである。
途中、コンビニで弁当を買い、30分程度で野付半島の中間付近の「ナラワラ」に到着。
早いが11時頃に昼飯である。



そこから見える風景・・・「ナラワラ」ミズナラなどの広葉樹の枯木群。
海水が浸水して枯れたり、また生えたりを繰り返しこのような風景になったとのこと。
チョッと遠いので雰囲気が伝わらないと思う・・・。


でもって、東側(外海側)を見ると遠くに国後(くなしり)島がくっきり見える。


現在、この島にはロシア人が4000人ほど住んでいるとのこと。
戦前は日本人が7000人程度住んでいたとのこと。もっと前はアイヌの人々が住んでいた。

国後島と野付半島の距離は約16km。
北海道と本州最短距離(戸井~大間間は約17km)より近いのだ。
最近は竹島や尖閣諸島がニュースに取り上げられるが、北方領土に家やお墓を残してきた
元島民の願いは、いつになったら叶うのか・・・。
北方四島をわかり易く解説したHP 



中間ラインを航行する海上保安庁?の船。


北の方に目を移すと世界遺産の知床連峰。


斜里岳~海別岳(1419m)~遠音別岳(1331m)



海別岳(1419m)~遠音別岳(1331m)~羅臼岳(1660m)



キョクトウトラカミキリの棲む羅臼岳

それにしても、今年は雪が少ない。



この後はお仕事。
夕方、仕事を終え、再び野付半島へ。



野付半島はラムサール条約登録湿地で動植物が豊富な環境だ。
冬は雪と氷のに閉ざされ、夏とは別世界になるが、それでも豊かな海の恵みを求め、オジロワシ、オオワシ、
クロガモ、コオリガモ、シノリガモ、ヒメウ、シロカモメなどがたくさん鳥類が見られた。



そこら辺の古い電柱に止まるオオワシ

同じ北海道でも道東の自然はスケールが違う!
この後、野付半島ネイチャーセンターで時間を潰し、夕日を堪能。



空気が澄んでいるので、すごく綺麗。



夕日をバックにオオワシがねぐらに戻っていく。




さて、明日は四角い太陽の撮影に挑戦しようかなぁ・・・(続く)


その他のセンチコガネ

2007年01月15日 | コガネムシ科など

ムネアカセンチコガネ[Bolbocerosoma nigroplagiatum]★★★
北海道では南西部にのみ分布。
牧場、公園、ゴルフ場などの草地や芝地に生息する。
夕方以降活動し、灯火にも集まる。
最新の分類では「ムネアカセンチコガネ科」となっている。

北海道では道南のオオクワガタ採集の副産物として得られるが、
オオクワガタと同様に運が無いと出会えない・・・かな?。
日中、巣を探して掘り出す採集方法があるが、巣穴はまだ見つけていないです。
写真の個体は日没1時間後くらいに、アブの様にブーンと羽音をたて灯下に飛来し、着地したところを撮影。
♂の前胸には「コの字型」の凹みがある。





センチコガネ[Phelotrupes laevistriatus]★
林があれば生息し、獣糞が無くても腐った果実などにも集まる超普通種。
野山を歩きまくっている姿を良く見る。

北海道のセンチコガネは筋力が弱く飛べないらしい。
確かに観察していると、前翅を開き後翅も一瞬のばすが、羽ばたくことなく直ぐにあきらめる。
体色は写真の様な緑銅色が多い。道北や道東方面では紫銅色も比較的多く得られる。
極稀に北海道でも青紫色が採れる。



明日から、北方領土が見える辺りに出張してきます。
最近、千島方面で大きい地震が多いので津波が心配・・・。
天気が良さそうなので知床連峰が望めそう。楽しみです。