近頃、コンビニを利用することが増えています。
すぐ近くに店ができたことも関係あるのでしょう。
今はもっぱら昼食にする蕎麦、ラーメンの類、日用品では乾電池をよく買っています。
ガラス扉にアルバイト募集の紙。
昨日は新入りと思しき女性店員、まだ、日本語もただたどしく、おそらく台湾か中国の女性。
そのコンビニにアルバイトとして18年間勤め続けている36歳の「私」が主人公の小説。
タイトルが「コンビニ人間」・・・最新の芥川賞受賞作です。
本をよく読むワリには、小説を殆ど読まないわたしが、珍しく読んで見る気になりました。
近くにあった書店が閉店してから、本はもっぱらネットショップのご厄介です。
それも近頃は、場所をとるペーパー本はやめて、電子版があるものは電子書籍で。
「コンビニ人間」も、ワンクリック注文、iPadで寝転がって読みました。
これがなかなか面白くて、1時間ほどで一気読みしてしまいました。
36歳、女性、結婚歴なし、大学1年からコンビニアルバイトひとすじ・・・。
なぜ、就職しないの? 結婚しないの? なぜ、子どもをつくらないの?
テーマは、たぶん、ふつうとは、異常とは、正常とは、常識とは?
子供の頃のエピソードが書かれていて、それを読めば、彼女は、たしかに人と「変わっている」。
でも、そう見えるのは、わたし自身がすでに「ふつう」を身にまとってしまったからでしょう。
「ふつう」への抵抗感というのは、誰しも持っているはず。
ただ、それを人の目に晒せば、かなり生きづらいことになることはたしか。
コンビニの便利さに慣れっこになるように、「ふつう」を身につけて生きるほうが便利でラク。
といって抹消したつもりの「異常」は、ほんとうに抹消されたのかどうか。
「ふつう」が当たり前と思い込むのは、「異常」を見過ごすことにもつながる。
時に、反転してものごとを見ると・・・読みながら、そんなことを考えてしまいました。