みかん日記

省農薬ミカン園の様子や農薬ゼミの活動内容を伝えます。

ミカン山花見(5/23・24)

2014-05-26 18:51:15 | みかん山報告
週末、1泊2日で和歌山県のミカン山へ花見に行ってきました^_^
今回はなんと総勢12名での参加となりました!


ミカンの花。

これが受粉して秋にはあまずっぱい実をならせてくれるのですよね。


今年もたくさんの花をつけておりました。

しかし、若いミカンの木にとっては、花がたくさんつきすぎるのも困りものです。
エネルギーを果実の成長にもっていかれ、木自体が大きくならないからです。
そこで今年1年は体を大きくすることに専念してもらおうと、幼木の花はすべて摘むことになったのでした。

昼食後は生産者の仲田さんを囲んで談笑。
草刈りを終えられた仲田さん。
気候もちょうど気持ちよくてビールが進んでいました^3^;

12名の参加者の中には、今回はじめてミカン山を訪ねる方も多く、
1回生や他大生、それに若手生産者の参加もあり、メンバー構成は多様性にあふれていました。
とりわけ約半数が女性ということで、長年来のメンバーに言わせると今回は画期的な男女比だったようです。

どうりでいつになくミカン山が映えているなと感じたわけですね^^;
宿舎「悟の家」に着いた日の夜には朝の4時ごろまで語り合うメンバーたちもいたりして、にぎやかで楽しいひとときとなりました。

参加者のみなさん、ありがとうございました!
また一緒に楽しくおもしろく活動していきましょう!
今後も多くの方々のご参加をお待ちしております!

おおいけ(農・修士3回)記

第5回ゼミ報告(5/16)

2014-05-17 16:03:08 | ゼミ活動
今年度5回目のゼミを行ないました。
テーマは「知っておきたい食品事情」。
みなさんは普段、何に気をつかって食事をされていますか?
今日は医学研究科の先輩に話題提供していただきました!

まずは食べものと放射性物質の話からでした。

福島県での原発事故後、厚労省や農水省は、食品中の放射能を測定し、それが基準値に満たなければその食品を食べても安全だとアピールしています。
被災地の生産者への補償という話は別に必要だとしても、そもそもスポット的な検査の限界から、政府が主張する安全性の根拠は不確かだと言わざるをえません。

また、一口に放射性物質といっても、セシウムやストロンチウム、ヨウ素など、種類が違えばその半減期も、溜まりやすい身体の場所も異なるため、一概に放射能の危険性は語れません。問題はどう危ないかです。食品の種類によっても、放射性物質が溜まりやすいものとそうでないものがあります。

そのうえで、私たちができる心がけとして、基本的には湯通しできるものは湯通しをして食べることにより、体内に取り入れる放射性物質を減らすなどがあります。
(他にもさまざまな対策が、安田節子著『わが子からはじまる 食べものと放射能のはなし』クレヨンハウス・ブックレット、2011年で紹介されています)

次に、食品添加物についての話です。
パンという身近な食べものを例にとっても、着色料やpH調整剤、保存料などたくさんの添加物が含まれています。
日本人が一回の食事で摂取する食品添加物の量は、平均して約20gはあるそうです。市販のスティック砂糖の袋でざっと7本分ではありませんか!

それらも放射能同様に、食べてすぐ何らかの影響があらわれるという代物ではありませんが、身体に蓄積されて将来的に何らかの影響が出る疑いがあります。その影響をつきとめて科学的に実証するのが難しいので厄介です。

その一方で、保存料をよく効かせて腐敗を防いでいることで、食中毒のリスクを避けているという事実もあります。この両面をどう考えればよいでしょうか。


買い物はしばしば投票にたとえられます。消費者(≒有権者)がどんな商品(≒立候補者、政策?)を選んで買うかは、それぞれの商品が世に出回る程度を左右します。

ただしその際、消費者は主体的に一票を投じているといえるでしょうか?
生産サイドに投票行動を操作されて実は自在に選べなくなっているなんてことはないでしょうか?

大手の食品メーカーは多額の宣伝費をつぎ込んで、需要を創りだすのに必死です。これは政治家の選挙の世界とも何ら変わることはありませんね。

また、最近は大学の生協食堂にもミールカードという食品版の定期券のようなものが導入されているそうです。ミールカードにより、欠食しがちな大学生が毎日きちんと食事を取れるという面もありますが、大学生協もこの制度で利用率を上げようと躍起になっているのかもしれません。見方によっては、利用者は他の選択肢を封じられていると言えないこともありません。

そのような身の回りの食品事情と日々いかにつきあっていくかがヒトとしての生き方の分かれ目になるのかもしれませんが、そんなことを考えている余裕がないとしたら、そういった社会状況もまた問題だと言えましょうか。


PS)またまた亀岡市で有機農業にとりくむナイスガイさんが野菜をもってきてくださいました!
(今日のお品書き:スナップエンドウ、大根、チンゲン菜・・・をそれぞれたくさん)

次回のゼミは、5月30日(金)18:30から、映画「奇跡のリンゴ」鑑賞の予定です。
場所は、京大北部キャンパス農学部総合館S174にて。ご自由に参加ください!

おおいけ(農・修士3回)記

和歌山のミカン園に花見に行こう(5/24)

2014-05-15 20:02:22 | 告知
来週のゼミをお休みする代わりに、23日夜から1泊2日で、農薬を可能なかぎり減らしてミカン栽培をされている仲田さんのもとへ、ミカンの花見を兼ねて伺います。

■ 行き先
和歌山県海南市下津町大窪にあるミカン園
(海の近くですが標高は300mほど)

■ 日程(予定)
・5月23日(金)
19:00 京都百万遍近くから出発
20:30 休憩@岸和田SA(ここで軽食をとる予定です)
22:00 山小屋「悟の家」到着
ちょっとした乾杯の後に就寝

・5月24日(土)
08:30 ぼちぼち朝食
09:00 ミカン園へ花見
12:00 生産者の仲田さんを交えて昼食
終わったら片づけをしてぼちぼち山小屋を出発し、
参加者の都合によりますが、18時には京都に帰り着きます

■ 交通手段
自動車に分乗します。
参加人数が多い場合や遠方からの参加がある場合は、
増便の手配や途中での合流など、調整します。

■ 費用
高速道路代やガソリン代などの経費は、「農薬ゼミ」が販売するミカンの収益でまかないます。もしかしたら食費1,000円程度はいただくかもしれません。

■ 参加連絡&問い合わせ
事前告知が遅くなって申し訳ありませんが、
交通手段の調整の都合上、5月20日(火)朝8時までに担当の大池(satoshioike3@gmail.com→@は半角にお直しください)までお知らせくださいますよう、お願いいたします。


(※)農薬ゼミと仲田さんとのかかわり
1967年、時代は高度成長の盛り。和歌山県で当時17歳の高校生が、家の手伝いでミカン畑に農薬を撒いていました。完全防備だったはずの高校生は、その夜に中毒でうなされ、数日間病院で苦しんだ末に死亡します。

当時、農薬メーカーは「10リットル浴びても大丈夫」と宣伝してその農薬を売っており、国もその販売を許可していました。大量生産・大量消費がもてはやされ、農薬も全国でめいっぱい撒かれていました。農家が中毒死する事故は“よくあること”で済まされ、遺族は泣き寝入りせざるをえない時代状況でした。

しかし、17歳の息子を失った両親はどうしても納得することができず、「事故は本人の過失」と主張する農薬会社と国を相手に訴訟をおこすことを決心します。これは日本ではじめて農民が、人命をないがしろにして経済成長を優先する世の中のありかたに対し、それでよいのかと社会に問いかける裁判でした。

そのとき、ある研究者が被害者の家族と知り合い、その村で農薬についての勉強会を開くようになりました。これが農薬ゼミの起こりとなりました。

両親たちはやがて、裁判を闘うかたわら、農薬をなるべく減らしたミカン栽培を始めることにするのですが、農薬ゼミのメンバーたちはミカン園で害虫や病気を調査する手伝いをしながら、見た目のせいで市場で不利になるミカンの販売を引き受けるようになります。こうしてその親族である仲田家と農薬ゼミのかかわりは以来40年ほど続き、現在では亡くなった高校生のいとこにあたる仲田尚志(たかし)さんがミカンを育てておられます。

第4回ゼミ報告(5/9)

2014-05-12 21:22:24 | ゼミ活動
今年度4回目のゼミを行ないました。今回も2本立てです。

前半は、なんと奈良女子大学から発表者が来てくださいました!ありがとうございます!
彼女は現在文学部の3回生。春休みにネパールとバングラデシュを訪れた様子を聞かせてもらいました。

ネパールでは、富士山よりも高い山をトレッキングされたということにまずびっくり。
高山病に苦しみ、崖から落ちそうな恐怖を覚えながらも、目の前に広がる山並みは絶景。
頂上の雪も氷河も迫力満点でした。

ネパールで多数の人が信仰するヒンドゥー教には、ホーリーというお祭りがあります。
これは豊作を祈願し、色の着いた水や粉を掛け合って楽しむお祭りです。
彼女も子どもたちからカラフルに顔をお化粧されていました。

バングラデシュでは道端の市場が紹介され、そこでは芋や香辛料、野菜のほか、魚が売られていました。
魚は比較的多くの収入が得られるため、彼女の訪れた農村では魚を飼うことが奨励されつつあるそうです。

また、現地で食べるお菓子はことごとく甘かったとのこと。
壺に入ったヨーグルトが茶色がかっているのは、砂糖がそういう色だからだそうです。
ホームステイ先の家庭でも、いろんな食べものを味わったのですね。

現地で撮影したスナップ写真からは、人びとの表情が豊かに伝わってきました。
きっと若いうちに、異なる文化に浸ることで得られる感動は、なにものにも代えがたいものでしょう。
多感な現役大学生のみずみずしさがつまった南アジア見聞録でした。この続きが楽しみです^^


後半は、農学研究科の大池にバトンタッチしまして、
日本農村が過疎化してきた経緯という話題に移りました。

明治以降の経済発展に伴い農村から都市に人が移動してきた様子を、
近代日本の農村社会の特徴をふまえながら時代を追って報告するとともに、
人の移動に作用した農政や市町村合併政策についても触れてみました。

制度的な話に偏ったので、もっと生き生きとした当事者の語りがほしいという意見や、
日本は農地を相続するときにあまり細かく分割しすぎないのはよいけれど、厳格な単独相続は見直して、農村で農業をやりたいという意欲を持った人がもっと農地を取得しやすくすべきだといった意見が出されました。
次は農地の所有という視点からフィールド調査に基づいた話をしてみたいと思います。


・・・やはり2本立ては盛りだくさんで少々疲れますね^^;

次回は5月16日。テーマは「知っておきたい食品事情」です。
みなさまのご参加を心よりお待ちしています!

おおいけ(修士3回)記

第3回ゼミ報告(5/2)

2014-05-12 19:33:41 | ゼミ活動
今年度3回目のゼミを行ないました。今回は2本立て。


前半では農学研究科修士3回生の大池が「ミカン農家のふところ事情」と題して、
農薬ゼミのパートナーであるミカン農家の仲田さんからの聞き取りをもとに、
昨年度の省農薬ミカン園での経営実績を紹介させていただきました。

まず、売り上げを販路別に見てみると、省農薬ミカン販売額の半分強を農薬ゼミがまかなっています。
昔はほぼすべてを農薬ゼミが仲田さんから委託販売していましたが、近年では他の団体からの仕入れも増えています。
ミカンの木は豊作の年(表年)と不作の年(裏年)を交互に迎えます。多く実った年には扱う団体が多いと助かりますが、収穫量の少ない年には仕入れ団体どうしで競合が起こらないように調整が必要です^^;

一方、支出の面では、肥料および少なく抑えた農薬だけを見ても、収入の15%ほど費用がかかっていることがわかりました。
これに、作業機械の費用や燃料費、作業車としての軽トラック代、さらには固定資産税や労賃も算入していくと・・・。次回はより綿密な検証が必要のようです^^;


さて、後半は経済学研究科修士1回生の但馬さんが、
「再生可能エネルギーと農業」をテーマに発表してくれました。

再生可能エネルギーとは、おおざっぱに言えば廃棄物をほとんど出さず、使い続けてもなくなることのないエネルギーのことで、例としては太陽光、地熱、太陽熱、風力、小水力、波力、潮力、バイオマスといったものが挙げられます。

昨今、この再生可能エネルギーの開発を通じ、地域振興を試みる例が報告されています。
とくに農林漁業が衰退して産業基盤が脆弱となった農山漁村において、地域に眠る資源が活かせないかというわけです。
3年前の原発災害後、国が「固定価格買取制度」を打ち出したことがこの取り組みの追い風になっています。

但馬さんからは高知県梼原町、栃木県那須塩原市、そしてデンマークでの事例が紹介されました。印象的だったのは、再生可能エネルギーの開発において、大企業が主導するよりも個人や住民グループで実施するほうが比較的うまくいっているということでした。
加えて、導入するにあたりたとえ助成金がもらえたとしても、上からのお達しにしたがって再生可能エネルギーを導入するより、初期投資のリスクをとってでも自らが能動的にそれを運営管理している例が、やはりモチベーションの点からなのか、長続きしているようです。

また、ヨーロッパには発電所ならぬ「節電所」(ある量の電気を使わずに済めばそれだけ分の電気を生み出していることになる)という考え方があるそうです。

身の回りにも、わざわざ大規模に発電した電気を使わずとも他の小規模なエネルギーで代用できる場合は多々あるでしょうし、あるいは使われていないけれどエネルギーとして利用できそうな資源が意外と見つかるかもしれません。
たとえば、都会の雑踏を人びとが歩くときの地面踏み付けエネルギー。朝の通勤ラッシュで満員電車に乗ったときの寿司詰めエネルギー。なんとか有効利用できたら、都会の人混みで苦痛を味わう甲斐もあると言えましょうか・・・^^;


おおいけ(農学研究科修士3回)記