みかん日記

省農薬ミカン園の様子や農薬ゼミの活動内容を伝えます。

5/26 通常ゼミ農薬月間②

2017-05-31 20:48:55 | ゼミ活動

農薬ゼミのみかん日記をご覧の皆さまこんばんは(((ノ´ω`)ノ~)))))スタタタタッ

農薬ゼミの農薬月間、2回目の発表は私ないとうともりたです。

先ずは、私ないとうの発表。除草剤についての話をさせて頂きました。

最近は家庭菜園をなさる方も多く、またそうでなくとも庭の雑草を除草剤を使って枯らすという方も多いのではないでしょうか。そもそも除草剤とは何なのでしょう。

除草剤は「不要な植物を枯らすために用いられる農薬」を言います。その作用機構は非常に様々で(酵素の阻害に関わるものが大部分ではありますが)、例えば植物体のアミノ酸合成阻害・光合成阻害などがあります。他にも面白い作用機構が沢山あります。詳しく知りたい方は、今回私が参考にしました『農業と雑草の生態学 : 侵入植物から遺伝子組換え作物まで』(種生物学会編 ; 浅井元朗, 芝池博幸責任編集、2007、文一総合出版)に、非常に簡単ではありますが、分かりやすく記載してありますのでお読み下さい。

また、除草剤について以前から関心の高まっている「除草剤抵抗性雑草」や「除草剤散布による生物多様性の変化」にも触れさせて頂きました。除草剤抵抗性雑草は、現在アメリカ大規模農場を始めとした、除草剤散布地域で確認され、早急な対応が求められています。また、除草剤の徹底散布が、特定種(例えば農地を活動拠点の1つとする鳥類)の現象に繋がっている可能性も指摘されています。

近年は農業の集約化も進み、除草剤無しでは今の農業は成り立たないことも事実でしょう。しかし、複数の除草剤を利用したり、休耕地を作ったり、除草剤の‟撒きすぎ″を改めることで、少しでも持続可能な農業への取り組みができればと思います。

2人目の発表者はもりたさんです。劇物指定農薬「メソミル」を例に挙げて農薬の危険性について発表してくださいました。

個人的な意見ですが、最近は「現在の農薬は大体安全」とか「ご飯に振りかけて食べられる」とか、総ての農薬の安全性を無制限に(かつ無責任に)保障するかの様な意見もありますから、今回の発表は興味深かったです。

メソミルはデュポン社が開発した殺虫剤で、神経系の酵素に作用して、アセチルコリンの作用が常時発動する状態を作り出します。また、解毒剤としてアトロピンが存在します。類似農薬には有機リン剤があり、こちらの解毒剤はアトロピンとPAMとなっています。

また、薬品の危険性の基準に関するお話もありました。例えばGHS分類「化学品の分類及び表示に関する世界調和システム」においては、化学品の危険性を5段階に分けた国際区分が設定されています。

最後に、個々の農薬についての詳しい情報は、農林水産省消費安全技術センター農業登録情報供給システムで調べることができます。気になった農薬なんかが御座いましたら、一度検索してみて下さい!

長々と失礼しました(*- -)(*_ _)ペコリ


5/19 通常ゼミ農薬月間①

2017-05-22 17:17:26 | 告知

こんにちは。

5/19から6/9の4週間は、農薬月間と銘打って、農薬に関するテーマで1日あたり2人ずつの持ち回りでプレゼンを行なうことにしました。

今回はその第一弾。私ふじいとながせの2人でした。

まずは、ながせさんによる「農薬類による健康被害と予防」についてのプレゼン。

ここでの「農薬類」とは、農薬や、農薬と同じ化学物質を含む材のこと。これらは慢性中毒や化学物質過敏症を引き起こし、さらに症状が正しく診断されず誤った治療を受けているケースが多いようです。

そんな中、長野県佐久穂村の佐久総合病院の若月俊一氏は、適切な治療を心がけることで地域の平均医療費の削減に成功しました。彼は他にも農薬中毒に関する実態調査や、適切な農薬使用を呼びかける講演を行ないました。こうした取り組みが広がり長野は平均寿命が長く平均医療費が安い県となっているようです。

続いて、松枯れ病対策のための殺虫剤の空中散布により出雲市や長野で起こった健康被害について解説がありました。空中散布と健康被害の訴えの間に因果関係があったのか、議論に決着はついていないようですが、客観的なデータをもとにリスクを評価する姿勢が求められます。


次に私ふじいからは「天敵の科学」として生物的防除の概説をしました。『バイオロジカル・コントロール ―害虫管理と天敵の生物学―』(仲井まどか・大野和朗・田中利治 編;朝倉書店;2009)を参考図書としました。

まず世界と日本における生物防除の歴史を振り返りました。化学合成殺虫剤全盛期に落ち込んだ生物防除ですが、環境保護の観点から再び注目され、現在は体系化されてきて有用なものとなっています。

その注目される過程で生物的防除を中心とする総合管理(integrated pest managaement)が提唱されたのですが、現実としては信頼性の低さ、経済的被害許容水準の設定の難しさ、化学防除から生物防除への移行の難しさなどから化学的防除中心のIPMとなってしまっています。

つづいて、適した天敵とはどういうものか、導入天敵の種数はどれほどがよいのかについて解説しました。最後は生態系へのリスク評価に触れ、害虫が発生してから天敵を導入するまでの流れを簡単に追うことで、どのようにリスク管理がなされているのかを見ました。


ながせさんのプレゼンは前回のものより洗練されている印象を個人的に受けました。それに比べ自分はというと、まごついてしまう場面が多々ありました。概説ということもあり概念的な話が多く、話す側も聞く側もとっつきにくいものではありましたが、それでも反省です。次回はよりミクロな面で天敵と害虫の相互作用などを話せたらと思っています。

来週26日は、もりたとないとうが担当です。
ふじい

5/13-14 みかん山花見

2017-05-21 19:01:10 | 告知

こんにちは。先週の5/13-14とみかん山訪問に行ってきたのでその報告をしたいと思います。

今回のメインはみかんの花見。ぜひとも新入生と一緒に行きたかったのですが、残念ながら参加者はゼロ。しかも金曜の夜から土曜の午前にかけて雨の予報となってしまい、急遽土曜の昼出発にしての訪問となりました。

買い出しをして午前10時に市民研を出発。岸和田に着く頃には雨も上がり、心もなんとなく晴れやかに。私ふじいも初めて運転できました。

ゴールデンウィークの次の週だからか車も少なく、スイスイと進み13時に悟の家に到着。普段はあまりできないところも念入りに掃除をし、いざみかん山へ。



待望のみかんの花は・・・まだ蕾ばかりでした...。ただ、ちらほらと咲いているものもありました。やはりほんのりと柑橘のいい香りがします。
下津の集落全体では花の数が例年になく少ないようですが、うちの省農薬園は変わらず、といった感じでした。



今回みかん山で予定していた作業は、えひめAIの散布実験の続きと、農薬散布体験、そして畑です。前者二つは翌日に回すことにして、できる範囲で畑をいじることにしました。



いざ畑に行くと、予想どおり荒れ放題。2月にビニールと草のマルチをしたみたいですが、跡形もありません...苦笑



とりあえずマルチを剥がし雑草を抜きました。さらに、2月に仕込んだ堆肥を混ぜ直しました。



ぬかるんでいる中、できることも済ましたので、早いですが夕飯の準備をしました。



湿気ていて火を起こすのに苦労しましたが、時間はたっぷりあります。今夜はバーベキューです。



肉だけでも贅沢なのに、イカの醤油漬けも出てきておいしいおいしいお酒たちが進んでしまいます...



さらにデザートに焼きリンゴまで登場。私たちは何をしに来たのでしょう。笑 大丈夫です、明日は仕事します。



20時頃には香川で農業をされているOBの冨山さんも合流。車とフェリーで7時間かけてきてくださったようで、ありがとうございました。逆に夏休みにでも香川にお邪魔したいねと盛り上がりました。宴のあとは、えひめAI散布実験の下準備としてpH試験をして就寝です。

朝は6時起き。火おこしに時間がかかり、予定よりも遅くなってしまいましたが朝ごはんの卵あんかけを食べて園に出発です。





仲田さんに来てもらい、農薬散布の体験をさせてもらいます。農薬散布といっても今回撒くのは水です。軽トラに積んだエンジンでタンクに貯めた農薬(水)を送り出し、園の隅に届くぐらい長いホースから噴射される仕組みです。前回の農薬(マシン油)を除いてから行ないました。





仲田さんに見本を見せてもらいました。近いところは霧状で、遠いところはストレートにして一本の木ごとを回ってまんべんなく撒いていきます。



さて、一人ずつ交代で散布体験をすることにしましょう。感想ですが、まずホースを引っ張るのが予想以上に重労働であり、さらに散布を始めてすぐさま防護服の中が蒸れました。5月中旬の短時間でこの有り様、7月、8月の炎天下のなかでの日をまたぐ散布作業は厳しいものだと改めて感じました。下津の慣行みかん園でも設備投資できる農家さんはスプリンクラーを用いて散布を行なっているようです。ただ、農薬によっては手でしっかりと撒くようですし、スプリンクラーだとどうしても無駄な農薬散布量が増えるようです。





散布体験をしていない人は何をしているかというと、えひめAIの散布実験と畑です。
2月に引き続き、省農薬園のみかん2本ずつにえひめAI、食酢、水を散布をし、病害虫の発生を調べます。果たして効果はあるのでしょうか。実験に協力してくださっている仲田さんにも感謝です。





畑の方はというと、マルチを張り直し、さつまいも、かぼちゃ、アスパラ、落花生を植えました。基本ほったらかしなので、どうなることやらわかりません。雨もふっていないので心配です・・・。





さて、無事に午前中で仕事が片付いたので昼飯です。回鍋肉です。



さて、あとは片付けをして帰洛です。次は夏調査。害虫の発生がどうなるか、かんのさんが指摘する害虫の隔年現象は続くのか、確かめたいと思います。

ふじい