みかん日記

省農薬ミカン園の様子や農薬ゼミの活動内容を伝えます。

6/23『食と農の社会学』輪読会②

2017-06-25 23:46:25 | ゼミ活動
さて、『食と農の社会学』輪読会の2週目です。

今週は第4章をもりたが、第6章をないとうが担当しました。

第4章「近代科学技術」副題は、科学的生命理解の観点から。
生命思想というなじみのない話題に、読んでみて苦労したメンバーも多かったのではないでしょうか。

本章では具体例として遺伝子組み換え技術と有機農業を取り上げ、機械論と生気論の生命観の違い、因果論と目的論・還元主義と全体論の論理の違いから近代科学技術の歴史を振り返りました。

ゼミ活動を行い、時に意見をぶつけ合うこともある農薬ゼミで意見の背景にある思想を意識することは大変有意義です。
今回は、農薬ゼミの主張である「省農薬は可能である」、農薬ゼミが行っている調査、寄生バチの導入について改めてどういった思想・論理に基づいているか考えてみました。

議論の結果、「省農薬は可能である」は化学農薬への批判から生まれた主張ですが、果たしてそれが有機農業と同じような生気論的発想なのかどうかは疑わしい。調査は全体論よりの発想だろう。寄生バチの導入は定義的には機械論だが生気論よりでもある。と、何とも歯切れの悪い結論となってしまいました。

しかし、哲学初心者の我々としてはこうして議論して意識に残すことが大切なのではないかと思います。

第6章「畜産」
農薬ゼミと関わりが薄いかとも思われるこの話題ですが、実は和歌山もミカン農家で畜産を兼業することがはやったことがあり、省農薬ミカン園でも50頭ほどの牛が飼われていたそうです。このときのJAの対応やその後の衰退の話を交えつつ畜産問題を考えました。

畜産の社会学的な問題として、ミカンと同様市場を通すうち消費者とは必ずしも一致しない価値観(糖度偏重のミカン、霜降り肉)で価値が付与されることがあります。理想的・合理的な方向以外に進みうるのが政治経済の世界の怖ろしさかなと学生に身ながら考えてしまいました。

先週の食品残渣のリサイクルと関連して近年開発されたリキッドタイプの豚飼料の話が出ました。乾燥しない分エネルギー面で環境にやさしいけれども栄養面で劣るそう。今後の研究・開発に期待です。

来週は第3章「地域ブランド」・第5章「農薬開発」を、おくむら・ながせが担当します。
もりた






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