みかん日記

省農薬ミカン園の様子や農薬ゼミの活動内容を伝えます。

5/19 通常ゼミ農薬月間①

2017-05-22 17:17:26 | 告知

こんにちは。

5/19から6/9の4週間は、農薬月間と銘打って、農薬に関するテーマで1日あたり2人ずつの持ち回りでプレゼンを行なうことにしました。

今回はその第一弾。私ふじいとながせの2人でした。

まずは、ながせさんによる「農薬類による健康被害と予防」についてのプレゼン。

ここでの「農薬類」とは、農薬や、農薬と同じ化学物質を含む材のこと。これらは慢性中毒や化学物質過敏症を引き起こし、さらに症状が正しく診断されず誤った治療を受けているケースが多いようです。

そんな中、長野県佐久穂村の佐久総合病院の若月俊一氏は、適切な治療を心がけることで地域の平均医療費の削減に成功しました。彼は他にも農薬中毒に関する実態調査や、適切な農薬使用を呼びかける講演を行ないました。こうした取り組みが広がり長野は平均寿命が長く平均医療費が安い県となっているようです。

続いて、松枯れ病対策のための殺虫剤の空中散布により出雲市や長野で起こった健康被害について解説がありました。空中散布と健康被害の訴えの間に因果関係があったのか、議論に決着はついていないようですが、客観的なデータをもとにリスクを評価する姿勢が求められます。


次に私ふじいからは「天敵の科学」として生物的防除の概説をしました。『バイオロジカル・コントロール ―害虫管理と天敵の生物学―』(仲井まどか・大野和朗・田中利治 編;朝倉書店;2009)を参考図書としました。

まず世界と日本における生物防除の歴史を振り返りました。化学合成殺虫剤全盛期に落ち込んだ生物防除ですが、環境保護の観点から再び注目され、現在は体系化されてきて有用なものとなっています。

その注目される過程で生物的防除を中心とする総合管理(integrated pest managaement)が提唱されたのですが、現実としては信頼性の低さ、経済的被害許容水準の設定の難しさ、化学防除から生物防除への移行の難しさなどから化学的防除中心のIPMとなってしまっています。

つづいて、適した天敵とはどういうものか、導入天敵の種数はどれほどがよいのかについて解説しました。最後は生態系へのリスク評価に触れ、害虫が発生してから天敵を導入するまでの流れを簡単に追うことで、どのようにリスク管理がなされているのかを見ました。


ながせさんのプレゼンは前回のものより洗練されている印象を個人的に受けました。それに比べ自分はというと、まごついてしまう場面が多々ありました。概説ということもあり概念的な話が多く、話す側も聞く側もとっつきにくいものではありましたが、それでも反省です。次回はよりミクロな面で天敵と害虫の相互作用などを話せたらと思っています。

来週26日は、もりたとないとうが担当です。
ふじい

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