みかん日記

省農薬ミカン園の様子や農薬ゼミの活動内容を伝えます。

第2回ゼミ報告(4/18)

2014-04-19 11:37:29 | ゼミ活動
2014年度2回目のゼミを4月18日(金)におこないました!
(於:京大北部キャンパス農学部総合館S174)

テーマは「日本の農業所得減少について」。
話題提供者は経済学研究科の但馬さん(修士1回)です。

1) 農業所得をめぐる現状

まず、「農業所得」と「農家所得」の区別から。

「農家所得=農業所得+農外所得+年金など」

なるほど、農産物を売ることで得られるのが農業所得ですが、
多くの兼業農家にとってはむしろそれ以外で稼ぐ農外所得、
ないし年金のほうが位置づけが大きいということです。

日本全体の農業所得は1990年から半減しています。
農家の数もその間に400万戸から250万戸ほどに減ったため、
一人あたりの農業所得はやや減少でとどまってはいますが。

所得減少の原因は、肥料や飼料にかかる費用が増える一方で、
販売する農産物の価格が下がっていることにあります。

とくにお米の価格は1990年時の約4割ダウンと著しく下がりました。
この価格低下には、95年のGATTウルグアイ・ラウンド合意後に、
食管制度が廃止されて政府による買い取りがなくなったことが関わっています。
ほかにも牛肉は、91年に輸入が自由化されたことで、
円高も相まって安い国外産が入り、それにつられて国内産の価格が下がりました。

2) 日本農業をどうするか

以上のような経緯を踏まえ、発表者の但馬さんから、
この問題についていくつかの対策が提唱されました。

・関税の保持
・経営の大規模化と複合化
・6次産業化(農家が加工や販売、観光などの事業もおこなう)
・農産物の輸出

経営の多角化や6次産業化といった農家側の取組みに加え、
それを制度の面からも後方支援する策が紹介されました。
「政策にはまだまだ工夫の余地がある」と話す但馬さん。

生産者だけでなく、国民の大部分である純消費者を含んだ生活者総体で、
身のまわりの農と食を守ろうと考え、実行を重ねていくことが大切な気がします。
CSAなどにみられる、地域ぐるみの新しい流通体系もその試みの一つでしょう。


今回もまた、発表の途中でさかんに質疑応答が飛び交いました。
日本農業をめぐる問題系がいまいちど整理されるゼミになったと思います。

次回のゼミで検討する際は、今回なされた一般的な議論を、
農薬ゼミが関わるミカン農家さんの経営に落とし込んでみる必要がありそうです。


ゼミ後には毎度のことながら、亀岡市の男前な農業青年の自家製料理が。
参加してくれた1回生には、カブのネパール風カレー炒めなどのプレゼント。
成長期のみなさん、美味しい野菜料理を食べてすくすくと大きくなってくださいね^_^


次回は、5月2日(金)18:30~20:30、
「ミカン農家の経営事情」
「再生可能エネルギーと農業」
を話題にゼミをおこないます!

またのご参加をおまちしています!


おおいけ(修士3回)記