みかん日記

省農薬ミカン園の様子や農薬ゼミの活動内容を伝えます。

年始ミカンを販売します

2017-12-19 14:50:04 | 告知

2017年度も年始ミカンを販売することになりました。限定100箱のみです。

発送は1/9(火)ごろを予定していて、締切は12/26(火)となっております。

詳しくはこちらをご覧ください。


追記

まだ締め切りまで日がありますが、年始注文を締め切らせていただきました。ご理解のほどよろしくお願い致します。

2017年度もたくさんのご注文ありがとうございました。
2017年12月21日

【お詫び】宅配便後半の配達が遅れる見込みです

2017-12-19 14:31:06 | 告知

皆さま、今年度も仲田さん、農薬ゼミの省農薬ミカンをご愛顧いただきありがとうございます。

ホームページでは既にお知らせしていますが、宅配便後半の配達時期が遅れる見込みです。

今秋は雨が多く収穫が大幅に遅れております。当初は18日から一週間以内の発送としていましたが、24日の発送を見込んでいます。

お客様には大変ご迷惑をおかけしますが、もうしばらくお待ちいただくようお願い申しあげます。

2017 秋調査

2017-11-11 11:11:11 | 告知
皆さま

先週11/2-4の日程で秋調査に行ってきました。本来ならその二週前に行くはずでしたが、大型台風の直撃のため延期となってしまったのです。

今回はゼミ員8人に加え、関大のつじいさんが来てくれました。岸和田にて合流して、悟の家へ。カビはほとんどなく、しばし晩酌をしたあと、一年で最も仕事量の多い秋調査に備え布団にもぐりました。

朝は6時起床。眠気まなこをこすりながら朝食の準備です。サバの味噌煮と豚汁。冷え込んだ身体が温まります。



片付けもほどほどに早速調査開始、といきたいところですが、ここで重大なご報告があります。実は、ミカン園と悟の家のあいだの道路の一部が大型台風の影響で崩落してしまい、車が通れなくなってしまったのです。ただ、人は十分に通れますし、近々軽トラは通れるようになるようです。





その崩落現場を通り、ミカン園へ。まずは病害虫調査です。秋の病害虫の発生状況を見ることで、来年度の発生の程度を予測します。調査を終えた印象としては、園総じての発生は低いけれども、特定の害虫(ヤノネカイガラムシ・ツノロウカイガラムシ・ルビロウカイガラムシ・ヒメコナカイガラムシ・イセリアカイガラムシ・カメノコロウムシ)が高密度で見られる木がいくつかありました。また整理して公表できればと思っています。







病害虫調査を終えたところでお昼になり、いったん休憩です。昼食はいずみさん持参のきしめんと、肉豆腐です。なんだか今までにない感じのメニューでうれしかったです。



さあ、午後からは収量調査。木ごとにミカンの個数を雑把ですが数えていきます。今年もミカンの成りが良いです。ただ、色づきがはやいことと、先月の長雨・台風、鳥がつついたような食痕の多さが気になりました。幼木でたくさん実をつけたものでは台風で倒れてしまったものもありました。できるだけ多くのミカンを腐りなく届けられたらと切に願います。





秋のミカン山は日が落ちるのがはやく、視覚頼りの収量調査は薄暗くなったところで中断。残りの作業は翌日に回すことにして夕飯の支度をしました。



夕飯はビーフシチュー!なのですが、皆お腹が空いていて写真を撮るのを忘れてしまいました・・・。ごめんなさい。他にも畑で採れた紫芋や落花生、唐揚げ、銀杏もいただきましたよ。









1ヶ月近く遅れてしまったのですが、もりた と かわはらだ の誕生日パーティもささやかですがおこないました。写真にてたくさんのプレゼントを抱える2人を見ているのは仲田さん。夕飯に来てくれました。いずみさんは素敵なケーキを焼いてきてくださいました。





翌朝。6時起床。朝食は豚バラ野菜炒めとオムレツ。今回のミカン山も毎食とても美味しい食事だったなあと噛み締めながら食べます。笑



さてさて、この日の作業は、残った収量調査と畑、えひめAI 散布です。

畑は昨晩食べた芋と落花生の他にアスパラがあります。来年の収穫を夢見て、草刈りをし支柱をたてました。端でつくっているのは堆肥。本来なら高頻度で何回もかきまぜる必要があるのでしょうが、夏見たよりもいい土になっているように見えました。





えひめAIも散布し、片付けをして帰洛です。仲田さんがミカンの他にキウイも持たせてくれました。コンテナいっぱいのキウイは一見問題なさそうですが、二級品だそうです・・・。



来週、再来週はいよいよ40周年企画を兼ねた収穫です。まだまだやることがたくさんありますが、ゼミ員一同がんばって準備したいと思います。



ふじい

生協にみかん🍊

2017-11-11 00:40:48 | 告知
 農薬ゼミのみかん日記をご覧の皆さまこんばんは!2回の内藤です。
 
 本日は2つご報告があります。
 
1.「宅配便前半」のみかん注文は締め切りました。沢山のご注文有難うございます
  「宅配便後半・大学渡し・配達」のみかん注文はまだまだ受け付けています!
   よろしくお願いします(*ノωノ)

2. 京都大学生協に農薬ゼミのみかんを置いてもらえることになりました!
   生協ショップには、3個入り100円のみかんが商品として並びます。
   生協食堂では、サラダバーの一員にミカンが加わります。
   ただ、今年は11/28~12/5(予定)のみの販売となります。

 農薬ゼミは今年で40周年を迎えました。ゼミ活動を続けられるのも、みかんをご購入いただいて
 いる皆様と、みかん園で省農薬みかんを生産していらっしゃる仲田尚志さんのお陰です。本当に
 有難うございます。
 
 50周年を迎えられるよう、今まで以上に頑張って、そして楽しんでいきたいです

 (内藤)

【秋の収穫】農薬ゼミ40周年企画

2017-10-11 19:03:27 | 告知

皆さま

今週から省農薬ミカンの注文受付が開始しました。早速ご注文があり、うれしい限りです。まだまだお待ちしております。



さて、今回は秋の収穫の際に行なう「農薬ゼミ40周年企画」のご案内です。

農薬ゼミが省農薬ミカン園での調査を始めてから40年が経ちました。それを記念して、今まで輩出した先輩方をお招きする一大イベントを開催することにいたしました。

連絡先が判明しているOB・OGの方にはご案内の企画書を送っており、既にたくさんの方から参加表明を承っています。遠方から来て下さる方、ご家族で来られる方など、にぎやかなイベントとなりそうで期待に胸を膨らませています。

ブログを見てくださっているなかで、案内が届いていない!という方や、参加しようか迷っている方、お待ちしておりますのでぜひぜひ noyaku@yahoo.co.jp までご連絡ください。もちろん、一般の方で興味のある方もぜひご連絡ください。

現在、【病害虫や収量の調査まとめ】【散布農薬や施肥肥料の変遷】【みかん山の写真ふり返り】など特別企画を鋭意準備中です。ご期待ください。

 企画:省農薬ミカン山調査40周年記念—省農薬ミカン園での集い
 日時:前半:2017年11月17日(金)夜から19日(日)昼まで(収穫と交流) 
   後半:2017年11月22日(木)夜から26日(日)昼まで(収穫と交流) 

 参加形態:前半、後半のどちらの日程に参加されてもOK。日帰りでも宿泊でも構いません。
 宿泊所:省農薬園の側の「悟の家」など。寝具あり。
 参加費:カンパを御願いします。
 申込:氏名、人数、日程を noyaku@yahoo.co.jp までご連絡ください。
 交通:山に登る便については個別に相談を。車で来られることも歓迎。
申込〆切:準備の都合上、参加申し込みは11月10日までにお願いします。

2017年度ミカン注文受付開始

2017-10-09 16:28:06 | 告知

皆さま、2017年度の省農薬ミカン注文受付が開始しました。



和歌山県海南市下津町にて仲田尚志さんができるだけ農薬を減らして作られたミカンです。今年は4回の散布となっています。

詳しくはホームページをご覧ください。注文用紙を印刷していただき、FAX か郵送でのご注文となります。申込方法について詳しくは注文書をよくお読みください。

今年もたくさんのご注文お待ちしております。


夏調査2017

2017-09-16 13:10:15 | 告知
皆さん、お久しぶりです。1ヶ月経ってしまいましたが、8/4-6に夏調査をおこないましたので、その報告です。

今回は久しぶりにゼミ員全員が参加。加えて近頃多忙で参加できていなかった池田親子や、OBの西岡先生、冨山さん、冨山さんの吉田寮時代のお友達、東京外語大の方が来てくださいました。

4日の夜に出発し、岸和田で西岡先生と合流。悟の家に着いたら掃除をして、晩酌しながら自己紹介をしました。今回の心配事は悟の家の軒下にできた蜂の巣です。スズメバチと見られ、刺激しないよう参加者に注意を促しました。



5日の朝。暑さからか、6時前後から皆ごそごそと起き出し、朝食の準備。ゴーヤチャンプルと汁物です。お肉にスズメバチが・・・。



早めに朝食が済んだので、暑くならないうちに早速出発。

まず、初参加の人たちにパネルを見せながら病害虫の見分け方と調査方法を解説。手始めに皆で1本の木で練習です。



1回生のおぐちくんは初めてのみかん山でした。



僕ふじいの班は幼木の多い植え替え地区担当で、例年通り病害虫の数は極端に少ない印象でした。ヤノネやカメノコロウムシがちらほら見られましたが、群衆発生している木はほとんどありませんでした。全体の発生状況については、まとまり次第ニュースレター等で公開する予定ですのでお待ちください。





さて、調査の後は摘果作業。摘果とは実の数を減らすことで、実が小さくなったり樹勢が衰えたりするのを抑えることができます。はじめに仲田さんにやり方を教わり、見様見真似で各々摘果を体験しました。



全体的に実が多いものは半分程度落とす。小さいものや陽が当たらないもの、枝から直についているもの、傷ついたもの、密集しているものは落とす。言われたら理解できますが、実際にやってみると果たしてこれで合っているのかと不安ばかり募り−−、全然仲田さんのお手伝いになりませんでした。今年は村全体では不作なのに、仲田さんの園では豊作。夏調査後もずっと摘果作業に追われていたとのことです。もっと手伝えたらよかった、と今更ながら反省しました。

摘果を終え昼食に。キーマカレーとマカロニサラダです。



休憩を挟んだら二手にわかれて畑作業とえひめAIの散布作業です。(僕は休憩時間につむじのあたりをブヨに咬まれてひやっとしました。ハチかと思った・・・。)

えひめAIを撒くのはこれで3回目。経過が楽しみです。



畑は見ての通り雑草だらけ。笑いが止まりません。しかし、仲田さんが定期的に水をやってくださっていたようで、作物は生きていました!仲田さんには頭が上がりません・・・。



サツマイモやカボチャを切らないよう注意しながら、雑草を刈り取っていきます。日差しがものすごくきつく、途中2回ほど休憩をはさむ重労働になってしまいました。休憩のたびに食べた摘果みかん。本当は酸味がきついはずなのに全然酸っぱくなく、身体が疲れているのを実感しました・・・。



やっと顔を見せた作物たち。カボチャはそれなりの大きさに育っていたので収穫しました。実は昼のキーマカレーに入っていたんですよ!



マルチを剥がし、サツマイモのつるを処理し、水をまきました。何人かは仲田さんの計らいで風車に連れて行ってもらいました。

悟の家に戻るとまた何人かは夕焼けスポットに行きました。僕は1回生のとき行ったので残って夕食の準備をしていたのですが、今回は綺麗な夕日が見れたみたい。僕が行った時は見れなかったので悔しい・・・!







夕飯のメインはお好み焼き。疲れた身体が美味しい食事とお酒に満たされ、会話も弾みます。そんな中、仲田さんに今年のミカンづくりや近況について伺いました。このインタビューの様子は秋のニュースレターにてご覧ください。







またこの週はおくむらの誕生日だったので各回生からプレゼントが手渡されました。2回生4人で記念撮影。さくらいも秋から英国留学なので、一緒に夏調査に来れてよかったです。



最後に皆で花火をし、あとは思い思いの夜を過ごしました。





6日の朝。深酒の人以外は早起きで朝食の準備です。悟の家が定員オーバーで車で爆睡のないとうでしたが、某パン屋で培った技術でサンドウィッチを手際よく作ってゆきます。







あとは掃除をして帰洛。僕は初めて岸和田から京都を運転しましたが、ジープに煽られたりと散々でした・・・。



次は10月の秋調査、その次は11月の収穫です。興味のある方、OBOGの方々、気軽に遊びにきてください!特に11月は農薬ゼミ発足約40周年を記念して17-19、23-26に収穫大型滞在を企画中なので、ぜひご参加ください。詳しい情報はまたブログでもお知らせします。

秋からの農薬ゼミはみかん一色。今年も仲田さん、農薬ゼミのみかんをよろしくお願い致します。
ふじい


7/28 『食と農の社会学』輪読会⑥

2017-08-01 13:41:08 | ゼミ活動
『食と農の社会学』輪読会はいよいよ最終の6週目を迎えました。
今週は11章を私いいつかが、1章をかんのさんが担当しました。

11章「農村における女性」では、不可視の存在であった女性が主体となり活動(農村女性起業)を通して、地域農業を活発にしたり、良い影響を与えたりした事について、くらやしきを例にその成功要因、周りの評価を挙げることで農村女性起業から学ぶことを考える。という内容でした。

次に、1章「地域とともに生きる食と農の世界」についてです。私達の生きる世界で、燃料枯渇、地球温暖化、生物大量絶滅、人口増加に伴う必要な食糧の増加などの問題がある中、食と農についても、巨大アグリビジネスが世界のフードシステムを牛耳ったり、グローバル化思考が広まる事で今まで積み上げられてきた食文化や社会、自然の多様性などの「尊厳性」が失われてきている事が問題視されていました。本章では具体例が無かったのでアミタホールディングス株式会社を紹介して下さいました。この会社は廃棄物から代替資源を製造する「100%リサイクル」事業を行うほか、土地に合った農薬選択基準を提供するという事業も行っているそうです。5章の農薬開発では農薬の危険性が注目される度、新しい農薬が開発され、その農薬も危険性が指摘されるといった悪循環が有りました。そこで感じたのは単純に農薬を無くす、又は減らす事では農業はやっていけないという事です。しかし、選ぶ事からスタートすれば、その土地特有の気候、栽培環境を考え、農薬自体、又は容量を選択する事で、結果的に農薬の削減に繋がるのでは無いかと思いました。

全体を通した意見として、1章で取り上げられたように、巨大アグリビジネスの支配やグローバル化思考がある一方 、11章の農村女性起業の様に地域を大切にする思考があり、二極化しているという意見を持たれた方も居ました。しかし、私はもともと農薬の使用は世界に大量に広まってしまうという点や、新しいものをどんどん開発するといった点で1章寄りだなと思っていたのですが、アミタホールディングスの話を聞いて、農薬の使用は土地に合った農薬を選択し、少しづつ見直していくという様な11章の女性達の地道な活動に似た性質も持ち合わせている様に感じました。

私はこの輪読会で、農薬はただ減らせば良いというだけでなく、減らした農業が成り立って持続可能且つ、多様な食文化を支える農業は尊厳性を大切にしなくてはいけなくて、その為には大きな力ではなく、(今回の例でいくと選ぶことなどの)小さな努力の積み重ねによって、その尊厳性を取り戻す事が可能なのでは無いかと考えるきっかけになりました。

いいつか

7/7 『食と農の社会学』輪読会④

2017-07-10 07:51:05 | ゼミ活動
農薬ゼミのみかん日記をご覧の皆様こんにちは(((ノ´ω`)ノ~)))))スタタタタッ

「食と農の社会学」輪読会、第4回はかわはらだと、私ないとうが担当させて頂きました。

最初はかわはらだの第九章「中山間地域~生活の場から~」です。

中山間地域とは、ざっくり言えば、平野と山地に挟まれた、まとまった平坦な耕地が少ない地域のことです。よくテレビで紹介されている段々畑や千枚田がある地域はこれに当たります。ご存知の通り日本には山地が非常に多く、従って中山間地域も多くなっています。日本の農業地域(100%)の内、中間農業地域は31.7%、山間農業地域は40.2%です。つまり中山間地域農業は71.9%で、日本の農業地域の大半を占めるとも言えるでしょう。

さて、ここで重要なのが、ずばり「過疎」です。前述の中間農業地域の人口は農業地域全体の8.5%、山間地域は3%に止まっています。更に、何の対策も講じられなければ、時間の経過に伴い、これらの地域の人口はますます減少の一途をたどると予想されています。

対策として、これらの地域のPRが行われ、人口の増加を目指す活動が行われています。今は、「持続可能な暮らしと社会」(具体的には薪ストーブ・山菜採り・作物自給自足など)が、この大量消費社会において非常に重要な価値を持ち、街中で暮らす我々にとっては魅力的に映る時代だと思っています。中山間地域の人口を増やすことも不可能ではないでしょう。

中山間地域に存在する農村生活には、かつて畜産・林業・農業の中での有機的な繋がり(例えば家畜の糞尿をたい肥にするなど)があり、食とエネルギーの自給があり、農村全体に地域的なコミュニティが存在していました。今現在でも、これに近い姿を残しています。ごみの増加・食料自給率の低下・孤独死の増加が社会問題となった現在、今一度中山間地域の生活を振り返ってみてもいいのではないかと思いました。

次は私ないとうの第二章「多国籍アグリビジネス~農業・食料・種子の支配~」です。

多国籍企業(今回は食料に関連する企業について)の種類は実に様々です。普段我々の目に晒されるコカ・コーラの様な食品加工企業から、我々の目には全く触れないカーギルの様な農産物取引企業まで…。今回はこれらの多国籍企業の紹介と、問題の指摘をさせて頂きました。

本文では、多国籍企業は主に5つに大分されています。生産から消費の順番に、①農業生産財企業、遺伝子組み換え技術で有名なモンサントなど。②農産物取引加工企業、貿易などを取り扱い見えない巨人と称されるカーギルなど。③食品加工企業、ネスカフェやペリエを生産しているネスレなど。④食品サービス企業、おなじみマクドナルドなど。⑤食品小売り企業、後述しますが巨大すぎるウォルマートなど。

この中では、ウォルマートが最も分かりやすい多国籍な企業でしょう。2015年度の売上55兆円、純利益1.9兆円。従業員数230万人、週間顧客数2憶人。出店国28か国、所有店舗数11,695店。目を疑うような超巨大企業です。日本では西友などのスーパーを傘下に収めています。

多国籍企業の問題点は、その規模故に、経済的・政治的影響力が大きすぎることです。経済的には市場の寡占化、政治的には政府と企業間の交換人事などが問題とされています。また、多国籍企業は動かせる資金も膨大です。2012年にカリフォルニアで行われた遺伝子組み換え食品表示法の是非を問う州民投票の折には、50億円以上の資金を投入してTVCMなどを組み、この法案成立の阻止に成功しました。

であれば、我々大衆や中小農業従事者は、多国籍企業の市場寡占化などを黙って見ているしかないのかというと、そうでもないようです。例えば、中小農業者・農業従事者組織の国際団体であるビア・カンペシーナは、世界148の組織で構成されており、構成員総数は2憶5000万人にものぼります。天然資源の保全、食糧主権、持続可能な農業生産、ジェンダーの平等や、農民組織の連帯と協力を発展させることを目的としています。

現代の食に関する問題は、企業の肥大化・食品の国産化によって、最早、我々の生活の中で自然に把握することは不可能です。少しでもご興味があれば、食を取り扱った映画を見ることがいいかと思います。ここでは「未来の食卓」「フード・インク」「キング・コーン」「ありあまるごちそう」を挙げておきます^^

長文失礼しました。次回で輪読会は一先ず終わりです。

6/30 『食と農の社会学』輪読会③

2017-06-30 22:23:40 | ゼミ活動
こんばんは!
『食と農の社会学』輪読会、第3週目です。

今週は第3章をおくむらが、第5章を私ながせが担当しました。

先に第5章「農薬開発 -ネオニコチノイド系農薬を事例として」について。

半世紀にわたる農薬の歴史において、新しい農薬は発売当初にはすばらしい効き目と安全性が強調され世界中に広まるが、数十年後にその危険性が明らかになる、ということが繰り返されてきました。有機塩素系農薬、有機リン系・カーバメート系・ピレストロイド系農薬、ネオニコチノイド系農薬という順に市場で主流となる農薬が変遷していく中で、EUなどに比べて日本の農薬規制が遅れていることを指摘し、予防原則の適用によるネオニコチノイド系農薬の使用規制を考えました。「農薬の毒性試験」「アキアカネの幼虫の減少」「農薬の空中散布」など、これまでのゼミでやった内容が5章に出てきましたが、私の準備不足でうまく絡めて議論できなかったことが心残りです。

農薬ゼミの活動と関連して、「特定栽培農作物」(=減農薬・減化学肥料で育てられた農作物)の基準の問題を取り上げました。現在のガイドラインでは減農薬栽培の基準を一般的な農業の使用回数の半分以下、と定めています。しかし農薬の使用量を使用回数で規制していることで、少ない回数で効果が持続するネオニコチノイド系農薬の使用量の増加を助長する結果を招いてしまいました。農薬の使用の規制の在り方は、その農薬の毒性・使用量・使用回数・散布方法など様々な要因をもって決められるべきだと議論しました。また、農家が農薬を使わざるを得ない原因の一つに、「きれいな食品」を求める市場の意識がある、との指摘がありました。これは先週の畜産に関する議論を思い出しますね。私たち消費者一人一人が、「食品の見た目が少し悪くてもかまわない」という意識を持たなければ、農薬の使用量は減らないのかもしれません。

個人的には、市の保健師でもあるいずみさんに、「国の特定疾患医療受給者証の交付のために窓口に来る(=難病を患っている)人がとても多いことを実感している」というお話を聞けたことが興味深かったです。近年増加している神経難病の原因として有機リン系農薬、ネオニコチノイド系農薬のような昆虫の神経系にダメージを与える農薬の関与が疑われていますが、農薬に関する疫学的調査はまだ発展途上にあります。これからも農薬が人体に及ぼす影響について勉強していきたいと思います。


次に第3章「地域ブランド -ふたつの真正性について」の発表を行いました。

この章では、真正性(authenticity)、テロワール(terroir)という用語を用いて、地域ブランドについて考えました。フランスでは、そこでの産品に特異性を与えている地域の独自性を表現するために、しばしばテロワールという概念が使用されます。その地域における人間の文化や物理的・生物学的環境など、1つには絞れない要素の相互作用と農作物のつながりが高付加価値を生み出すとき、このつながりをテロワールと表現します。グローバル化された経済における真正性には、その産品の生産仕様が規格化されて生まれるものと、生産者と消費者との密接な関係(例えば産地直送や農場での直売)から生まれるものとの2つのありようが示唆されます。しかしテロワール産品は、規格化しようにも、その産品のどの要素が真正性の根幹をなしているのか知るのが困難であることから、前者の真正性に対する逆説となり得るそうです。。。難しかったです。

本章での事例はフランスの各地域での取り組みが中心でしたが、おくむらくんが日本での地域ブランドの例として、「じゅんかん育ち」の農作物(=汚泥を発酵させたものによる肥料などを用いて栽培された農作物)や「特定栽培農作物」(=播種前制限ナシ、栽培期間中化学農薬・化学肥料の使用を半分以下にして栽培された農作物)を挙げてくれました。

日本で生み出されている地域ブランドの1つとして、和歌山減農薬みかんを登録している法人も存在しているようです。私たち京大農薬ゼミの省農薬みかんも上手にアピールしていきたいですね。

次週は第2章「多国籍アグリビジネス」をないとうが、第9章「中山間地域」をかわはらだが担当します。

ながせ