どこの警察署も助けてくれなかった・・・

　昨年１２月１６日に長崎県西海市で起きた２女性殺害事件は、ストーカー事件が殺人事件にまで発展した悲惨な事件だった。殺害された２女性はストーカー被害を受けた三女の祖母と母親で、逆恨みによる犯罪だという。　　

先月２４日、遺族の山下誠さんが事件の経緯や心境などを記した文書を弁護士を通じて公表したという記事があった。

山下さんは三女が筒井容疑者から暴行やストーカー行為を受けていることを長崎、千葉県警などに相談し、１２月１２日に習志野署に傷害の被害届を出していたが、千葉県警が逮捕状を取ったのは事件翌日の１７日だったそうである。

　文書によると、山下さんは昨年１２月９日午前１時半頃、千葉県習志野市の三女のマンションにいたところ、筒井容疑者と見られる人物が部屋のチャイムを何度も鳴らしたり、ベランダ付近をがんがんたたいたりしたため、県警習志野署に通報。駆け付けた署員４人に対して「捕まえてくれ」と訴えたが、「顔を確認したのか」「逮捕できない」と言われた。さらに、同１３日には、マンション付近にいる筒井容疑者を何度も目撃。同署の刑事に「早く捕まえてくれ」と訴えたが、「書類がそろっていないので逮捕はできない」と断られたという。

　また、１１月には筒井容疑者から三女の同級生や同僚らに対し脅迫メールが送られたため、山下さんは長崎県警西海署と習志野署、筒井容疑者の実家がある三重県警桑名署に相談。しかし、「メールを受けた人の住所地の署に相談して」などと具体的な対応をしてもらえず、「どこの警察署も助けてくれない」と絶望的な気持ちになったとしている。

三女に対するストーカー行為について、警察に繰り返し被害を訴えながら、取り合ってもらえなかった様子が詳細に記されているそうだが、遺族の警察に対する悔しさ、怒り、無念さが、私にはよく分かる。というのは、私もストーカーではないが、精神の不安定な女性の言動に悩まされ、警察に相談したが何もしてくれず腹立たしい思いをしたことがある。

２００８年の夏のことだが、２ヶ月近くもの間、不気味さにおびえ、イライラしながら過ごす日々が続いた。その間、何度も警察へ電話したが、来てもただ相手を説得するだけ、人権問題を盾にまったく何もしてくれなかった。「警察は市民の安全を守ってくれる」と思ったのがそもそも間違いで、いかに警察が当てにならないかを身をもって知ったのである。

見も知らぬ他人からこれほど迷惑を掛けられているのに、なぜ警察は何もしてくれないのか。被害にあっている私がなぜ我慢しなければならないのか。そういう理不尽さ、もどかしさ、どこへも持って行き場のない腹立たしさは当事者でなければ分かるまい。最初は私も警察を信頼して我慢していたが、そのうち警察への不信感、腹立たしさにとうとう怒りを爆発させた。そのときのことをブログに『気味の悪いでき事、でも警察は…』と題して４回に分けて書いて載せたが、思い出しても腹が立ってくる。　　　　　　　　

「事件にしろと言ってはいません。ただ来ないように何らかの措置をとってくれと言っているだけです。明らかに頭が変で、見も知らぬ他人に迷惑をかけている人の人権が優先されるとは、だったら安全をおびやかされている私の人権はどうなりますか？　警察は市民の安全を守る義務、事件を未然に防ぐ義務があるはずです。精神状態がおかしいとなれば何をするか分かりません。もしこれで私が危害を加えられでもしたらどう責任を取ってくれるのですか？　おそらく危害を加えられてもあの女性は心神耗弱が心神喪失で罪にはならないでしょうから、私はやられ損で泣き寝入りですか？　強い組織に守られているあなた方には不安とか恐怖とかの気持ちは分からないでしょうが、この状態がいつまで続くのかと思うと我慢も限界です。私が刺されでもしたらいいのですね。そうすれば警察も動いてくれるでしょうから…」というと、警官は「お気持ちはよく分かりますが、そんなことを言ってはいけません」というだけ…。最終的にはその女性が精神病院へ収容されて一件落着となったが、あのまま続いていたら私の方がおかしくなっていたかもしれない。
 

昨今は、ストーカー事件が殺人事件に発展する例が少なくない。それでも警察の対応は以前と何も変わっていない。事件性があると判断しなければ動けないというが、犯罪を未然に防ぐことも大事な仕事ではないかと言いたい。それと何かにつけて人権問題を云々するが、それはあとで面倒なことになるのを避けたい警察の言い訳だと思う。私は、今でも警察に対しては書きつくせぬほどの不信感を抱いている。