転落の人生・・・

　人気漫才師だった横山やすしさんの長男で、俳優の木村一八が8日、銃刀法違反の現行犯で逮捕されたというニュースを見た。
　渋谷区内の路上に駐車中の車のトランクに、日本刀を許可なく所持していた疑いである。木村容疑者は「以前に友人からもらった刀を入れっ放しにしていた」と供述しており、同署が入手先を調べている。住所については「友人の家を転々としている」と話しているとか。
　同容疑者の逮捕は今回で3度目である。1988年11月19歳の時、都内の路上で酒に酔い、タクシー運転手に暴行を働き傷害の現行犯で逮捕され、未成年のため少年院送致となった。また、1995年2月26歳の時には、都内で米国人少年と口論になり、暴行を加えたとして傷害容疑で逮捕、略式起訴された。
　木村容疑者は2000年夏、最初の事件で永久追放の処分を受けた古巣の吉本興業に13年ぶりに復帰し、舞台を中心に活躍していたが、2003年10月には吉本との契約が満了した。その後は所属事務所もなく、個人の携帯電話で仕事を受け、ビデオ映画などに細々と出演していたという。昨年だったか、舞台で共演した歌手の藤あや子と浮名を流し、結婚かとも噂されていたが、それも破局となったらしい。
　ありふれた事件の、どうしようもないアホな男の話などするのもバカらしいが、考えてみればこの木村青年も哀れな男だと同情しないでもない。親の七光りというか、14歳で西川きよしの長男と漫才コンビを組んでデビューし、芸能界へ足を入れた。破天荒な所業に関わらず、相変わらずの人気を博している父親を見て成長した彼は、世の中を甘く見過ぎていたのだろう。その後俳優になるため上京し、そこまでは親の七光りも届いたのか、俳優としての人気が出始めた矢先、暴行事件を起こし少年院送致となった。これで彼も世の中の厳しさを知り、初めて挫折を感じたのではないだろうか。
　家庭環境も複雑で、義母と妹とも疎遠になり、父親が死亡した後は孤立無援で、段々と転落の一途を辿っていったらしい。久しく消息を聞かなかったがこのような形で又名前が出るとは、あの世の父親も苦笑しているのではないか。
　「お騒がせ親子」と言われ、親の七光りに驕って自分を見失ったことは自業自得で、また、ちやほやした世間の裏側が見えなかったのは若気の至りであろう。血筋なのかＤＮＡなのか、父親と同じように世間を騒がせる彼も今年37歳、ここらで地道に生きることを考えねば、世間から惜しまれて世を去った父親とは違い、金も地位もない根無し草の行く末はしれている。