平成24年1月30日
厚生労働省が「パワーハラスメント」の定義を発表
段ボールで突然、叩かれる。客の前で「バカ、ボケ、カス」など暴言を浴びせられる。冷蔵庫の中から食べ物を盗んだと疑われる。これらはいずれも都道府県に寄せられた職場のいじめや嫌がらせ、いわゆるパワーハラスメントの事例です。厚生労働省は、こうしたパワハラが急増しているとして、初めてパワハラの定義づけを行い、予防や解決の取り組みについて報告書をまとめました。
厚生労働省によりますと、各都道府県の労働局に寄せられたパワーハラスメントに関する相談件数は、2010年度3万9400件で、8年前と比べて6倍と深刻な状況となっています。今回とりまとめられた報告書では、「職場のパワーハラスメント」を初めて定義づけし、「職務上の地位や人間関係など職場内の優位性を背景に、職務の適正な範囲を超えて精神的・身体的な苦痛を与える、または職場環境を悪化させる行為」としました。
また、上司から部下だけでなく、部下から上司の場合もあるとして、例えばパート労働者が集団で上司の店長に嫌がらせを行うことや、ITが得意な部下がITの苦手な上司をばかにすることなども含まれるとしました。その上でパワハラを6つに分類し、暴行や脅迫などの身体的・精神的攻撃に加え、能力や経験とかけ離れた簡単な仕事を命じること、私的なことに過度に立ち入ることなども含まれるとしました。
「一緒に働いている人たちが全て人格を持った人間なんだと、そういった意識をちゃんと持ってもらうことが重要」(厚労省の会見)
職場でのパワーハラスメントについては、「業務上の指導との線引きが難しい」といった指摘もありますが、厚労省では「各企業や職場で認識をそろえ、パワハラの範囲を明確にするよう取り組むことが望ましい」としています。(TBSの記事から引用)