香川県善通寺市、行政視察
視察項目: 病児・病後児保育について
説明対応: 健康福祉部こども課 岸田課長
1、導入経緯について
全国的に少子化が進む中、善通寺市も出生率は減少傾向にあり、子どもを産み育てることに対する市民の意識も変化、国も病児・病後児等の特別保育を重要視してきている。社会全体で子育てをどのように支援していくかが大きな課題である。
通常保育のほかに、国が挙げていた特別保育を実施する目的で、公立で「子育てプラザ21」を開設した。
2、経営形態について
平成13年当時は公立で運用し、平成14年に一般公募し民営化に切り替えた。当初エンゼルプランの中に保育所の運営についても広く民営化を検討すると云うプランがあったため、それを反映して市で初めて公立から民営化の保育所を設立した。
病児・病後児保育については善通寺市特別保育事業実施要綱に基づき実施している。
運営形態については市からの委託の形で運営、社会福祉法人カナン福祉センター(高松)、「プラザ21病児保育室らっこ」と云う名称で実施している。
委託料については、国の基準が変わってきている。(21年度から厳しくなってきた)
補助基準額の3分の2を国・県が負担していたものが、定員から利用実績へと変わり、補助基準の200人に達せず補助金減額となる可能性があったため、減額分は市で負担する。22年度は848万円の委託料を支出している。
3、定員と職員配置について
カナンでは常時2名程度と云う事で職員配置をしている。年間を通して一定の利用児童数が確保できない状況である。感染症が多いときには利用率が非常に高くなり、施設的に対応できず、断る場合もある。カナンでは病児保育を利用した方は1年間登録させていただく。(登録制度)4年ぶりに利用者が増加、登録者数も過去最高で91名になっている。臨時職員等で対応したり、保育所からの職員で対応(保育士の配置)しているが、人件費は大きな割合であるので、安定した利用者数の確保が問題になっている。
4、保育室について
感染病の児童と同時に保育する場合の対応はどうか。
昨年・おととし、非常にインフルエンザが学校・幼稚園・保育所の中で充満した。学級閉鎖になった場合、親が仕事を休めない、またインフルエンザが長期にわたる状況になった場合、受入れ体制も限定され対応しきれない。
緊急時にスタッフがどのように対応するか、また緊急的な対応が必要になった場合に面積的な問題もあるため、自宅で保育が難しい優先順位を付けさせていただく等、検討していく。
5、関係機関との連携について
病児・病後児の病状の区別は非常につきにくい。現状、専用施設において、病児・病後児の区別はしていない。全体として医師と連携する事にしているため、すべて病後児ということで取り扱いし、総数を計上している。
にしかわクリニックは医師がおり、カルテ等の保存もあり病気の対応が出来、利用者の管理が十分できているが、逆に主治医が不在の場合は臨時的に休業もある。また隣接の丸亀市との境にあるため、丸亀市の市民の利用が多い。カナン子育てプラザには医師が常駐していないために開設当時、医療機関から緊急時にどう対応するのか、問題点を提示されたこともある。
主治医からも「病児保育連絡表の記載がめんどうくさい」と言われることもある。
保護者も一度主治医にかかってから保育所に連れてくると云う時間のロスもあり、改善の施策がないか、提案もある。今現在は、施設を見学していただいたり、主治医の協力をいただき、非常にスムーズにいっている。
6、申請システムについて
利用者は小児科医院で必ず受診する、事前登録制度を執っている。
「予約が必要」と云う事は、保護者が急きょ預け先を確保したい時に間に合わない。
利用者の確保に苦慮しているのが現状、問題点・課題が多くある。
7、利用実績について
利用者数の推移については、カナンに民営化後の14年度からの資料を提示、当初200人を超える人数で実施。善通寺市の地域性(自衛隊の転勤族、国家公務員の若い世帯)もあり、エンゼルプランのアンケート調査でも特別保育の施設がほしいという要望があったため、実施した。18年までは伸びていたがその後、伸び悩み、平成19年から国の補助基準が利用者の基準になってしまい、各施設に市民に利用しやすいようなシステムに改善していただき、利用者が増えてきた。
利用対象者は当初小学校低学年までという規定であったが、兄弟が同時にインフルエンザにかかり、一緒に預けたいと云う要望でカナンでは小学6年生まで延長。
当初打ち立ててから10年近くたっているので、意識が低下しているのではないかと再度広報周知等、情報を提供し若い世代の子育てを支援している。
8、課題・問題点について
ニーズが高いのに、サービス提供施設が増えない理由
施設側:*経営の難しさ
儲かる必要はないが、赤字になるばかりではやっていけない、続かない。
*実施主体が市町村であっても取り組みに温度差がある。
*急なキャンセル等の対応、職員の配置・パートの手配等が大変である。
利用者側:*予約が必要なので、利用しづらい
*子どもが慣れない
*経済的に負担である
以上の事から、もっと利用し易く改善していく必要と低年齢児の病状の急変に大変苦慮されている事から施設の安全面の確保やスタッフ間の連携が重要課題である。
今後、こう云ったニーズに応えるためには「利用実績が補助対象と云うのは非常に厳しい、補助率を下げないまま支援していく」事が大事ではないか。
今回の津島市議会厚生病院委員会、行政視察にあたり、対応いただきました善通寺市福祉部こども課 岸田課長はじめ社会福祉法人「カナン福祉センター」 橋本仁美園長・スタッフ一同様に御礼申し上げます。
視察項目: 病児・病後児保育について
説明対応: 健康福祉部こども課 岸田課長
1、導入経緯について
全国的に少子化が進む中、善通寺市も出生率は減少傾向にあり、子どもを産み育てることに対する市民の意識も変化、国も病児・病後児等の特別保育を重要視してきている。社会全体で子育てをどのように支援していくかが大きな課題である。
通常保育のほかに、国が挙げていた特別保育を実施する目的で、公立で「子育てプラザ21」を開設した。
2、経営形態について
平成13年当時は公立で運用し、平成14年に一般公募し民営化に切り替えた。当初エンゼルプランの中に保育所の運営についても広く民営化を検討すると云うプランがあったため、それを反映して市で初めて公立から民営化の保育所を設立した。
病児・病後児保育については善通寺市特別保育事業実施要綱に基づき実施している。
運営形態については市からの委託の形で運営、社会福祉法人カナン福祉センター(高松)、「プラザ21病児保育室らっこ」と云う名称で実施している。
委託料については、国の基準が変わってきている。(21年度から厳しくなってきた)
補助基準額の3分の2を国・県が負担していたものが、定員から利用実績へと変わり、補助基準の200人に達せず補助金減額となる可能性があったため、減額分は市で負担する。22年度は848万円の委託料を支出している。
3、定員と職員配置について
カナンでは常時2名程度と云う事で職員配置をしている。年間を通して一定の利用児童数が確保できない状況である。感染症が多いときには利用率が非常に高くなり、施設的に対応できず、断る場合もある。カナンでは病児保育を利用した方は1年間登録させていただく。(登録制度)4年ぶりに利用者が増加、登録者数も過去最高で91名になっている。臨時職員等で対応したり、保育所からの職員で対応(保育士の配置)しているが、人件費は大きな割合であるので、安定した利用者数の確保が問題になっている。
4、保育室について
感染病の児童と同時に保育する場合の対応はどうか。
昨年・おととし、非常にインフルエンザが学校・幼稚園・保育所の中で充満した。学級閉鎖になった場合、親が仕事を休めない、またインフルエンザが長期にわたる状況になった場合、受入れ体制も限定され対応しきれない。
緊急時にスタッフがどのように対応するか、また緊急的な対応が必要になった場合に面積的な問題もあるため、自宅で保育が難しい優先順位を付けさせていただく等、検討していく。
5、関係機関との連携について
病児・病後児の病状の区別は非常につきにくい。現状、専用施設において、病児・病後児の区別はしていない。全体として医師と連携する事にしているため、すべて病後児ということで取り扱いし、総数を計上している。
にしかわクリニックは医師がおり、カルテ等の保存もあり病気の対応が出来、利用者の管理が十分できているが、逆に主治医が不在の場合は臨時的に休業もある。また隣接の丸亀市との境にあるため、丸亀市の市民の利用が多い。カナン子育てプラザには医師が常駐していないために開設当時、医療機関から緊急時にどう対応するのか、問題点を提示されたこともある。
主治医からも「病児保育連絡表の記載がめんどうくさい」と言われることもある。
保護者も一度主治医にかかってから保育所に連れてくると云う時間のロスもあり、改善の施策がないか、提案もある。今現在は、施設を見学していただいたり、主治医の協力をいただき、非常にスムーズにいっている。
6、申請システムについて
利用者は小児科医院で必ず受診する、事前登録制度を執っている。
「予約が必要」と云う事は、保護者が急きょ預け先を確保したい時に間に合わない。
利用者の確保に苦慮しているのが現状、問題点・課題が多くある。
7、利用実績について
利用者数の推移については、カナンに民営化後の14年度からの資料を提示、当初200人を超える人数で実施。善通寺市の地域性(自衛隊の転勤族、国家公務員の若い世帯)もあり、エンゼルプランのアンケート調査でも特別保育の施設がほしいという要望があったため、実施した。18年までは伸びていたがその後、伸び悩み、平成19年から国の補助基準が利用者の基準になってしまい、各施設に市民に利用しやすいようなシステムに改善していただき、利用者が増えてきた。
利用対象者は当初小学校低学年までという規定であったが、兄弟が同時にインフルエンザにかかり、一緒に預けたいと云う要望でカナンでは小学6年生まで延長。
当初打ち立ててから10年近くたっているので、意識が低下しているのではないかと再度広報周知等、情報を提供し若い世代の子育てを支援している。
8、課題・問題点について
ニーズが高いのに、サービス提供施設が増えない理由
施設側:*経営の難しさ
儲かる必要はないが、赤字になるばかりではやっていけない、続かない。
*実施主体が市町村であっても取り組みに温度差がある。
*急なキャンセル等の対応、職員の配置・パートの手配等が大変である。
利用者側:*予約が必要なので、利用しづらい
*子どもが慣れない
*経済的に負担である
以上の事から、もっと利用し易く改善していく必要と低年齢児の病状の急変に大変苦慮されている事から施設の安全面の確保やスタッフ間の連携が重要課題である。
今後、こう云ったニーズに応えるためには「利用実績が補助対象と云うのは非常に厳しい、補助率を下げないまま支援していく」事が大事ではないか。
今回の津島市議会厚生病院委員会、行政視察にあたり、対応いただきました善通寺市福祉部こども課 岸田課長はじめ社会福祉法人「カナン福祉センター」 橋本仁美園長・スタッフ一同様に御礼申し上げます。