西山よしおからのメッセージ

愛知県津島市、市議会議員としてこの地域の将来を考え、皆さんの意見を取り入れ、還元できる方法を提言できる場にいたします。 

行政視察レポート、1

2011-08-19 22:16:22 | Weblog
行政視察レポート要旨をまとめました。
津島市厚生病院委員会、委員長 西山よしお
総合病院 坂出市立病院、行政視察
1947年設立、216床(内、救急患者用6床)
1979年より医業収支が赤字、1991年の累積不良債務・25億円まで膨らむ。この危機的状況を脱するために病院改革に着手した。

冒頭・院長挨拶(以下、対応はすべて院長答弁)
「10年前とは状況がだいぶ変わってきており、中小病院にとっては、今は非常に厳しい。当時の院長のカリスマもあり、当時だから出来たこともある。
職場環境の改善等、医師・看護師・職員それぞれがどれだけやる気を出して仕事をするか、がおおきなポイント。
病院全体、地域全体が何とかいい状況を維持していくか、どういう戦略を立ててやっていくかが大事である。」との説明。

1、これまでの経営改善への取り組み内容について
解決すべき問題点の分析
① 病院の存在意義が不明で基本理念がない。
② 明確で具体的かつ達成可能な目標提示がない。
③ 業務・経営管理とその評価が出来ていない。
④ 病院予算作成・事業計画が事務局主導で医療職は関与しない。
以上の事から、基本理念の策定から病院改革を進めた。

Q,病床利用率の推移について
A,平成17年くらいまでは86%、19年くらいから今では70%前後で推移、極めて低い。理由は産科の休止と看護師の数の問題があり、多少抑え気味になっている。

Q,震災の影響とか社会情勢が読めない今後について、病院が取り組む方策はあるか。
A,自治体病院の宿命として救急対応はやらざるを得ない。
現在の状況では医師・職員数においても年齢的にも無理が利かない、労働環境が非常に悪い。これを解決してもっと楽になる方法はないか、考えている。
Q,216床というのはこの地域では適正な規模の病院であるか。
A,この地域では、病床数は過剰地域である。(この地域は総合病院が3つある)
公立病院は競争も激しく、「質を上げていく」「引っ張って行く存在」でなければならない。そのためにも急性期病院としてやっていく必要があるが、現在の医師や職員数では限界。当直に2人は回らない。

Q,DPC対象病院と収益への影響・効果は。
A,当院もDPC対象病院になっていなければ赤字になっている。
DPCの対象病院になり、無駄な医療の削減、急性期病院の安定的経営の確保、医療サービスが標準化する結果「医療費抑制」を実現する。
それがため、病院理念の実現に向けてメンバーのベクトルを合わせ、チーム全体で価値意識を共有できるよう働きかける。常に「患者のために」と考え、自分の部署と組織全体をどう良くするか、これを横断部会で考える作業の繰り返しが組織を変えていく。

2、診療情報管理士の配置について
Q,DPCの対象病院は、医師が患者の症状から「正確な病名」を付ける必要があり、当然、ここで診療情報管理士の役割が重要になってくる。
配置する事によって得られる効果はどうか。
A,今、一般事務職として3名医事課におり、他に嘱託1名、派遣で1名いる。
診療記録(カルテ・検査結果)を管理分析、そのデータを基に病気や治療方法を研究し、提供する事により、医療の安全管理や質の向上に寄与するもので、当然無駄な医療を省き、費用を減らすこともできる。

これからも、個人情報保護の重要性や電子カルテの導入・カルテ開示の法制化等により、ここでもその重要性が高まってくる。
診療情報管理士を配置することで、診療報酬に加算されるので、導入する病院も増えてくる事が予想される。

3、電子カルテについて
A,導入の効果について、
一元管理した患者情報を様々な部門で共有化することで診療の効率化や結果照合の迅速化が図れるが、当院で行われている「わたしのカルテ」について説明願いたい。
Q,「わたしのカルテ」として開示する事によって、迅速・正確な情報伝達が可能になり、共有化する事によって患者と医師のコミュニケーションの緊密化が図れる。このことによって「医師の立つ位置」が明確になり、意識改革を促す。
カメラで診察の様子を写す事もあったが、反対する医師もいなかった。
特にシステム連携により遠隔地の専門医からの診療支援が受けられ、逆に離島等の訪問看護(在宅医療)の充実に結びつく。
「患者サービス」の観点から、薬剤や会計の待ち時間を解消する事も出来る。

Q,津島市民病院では今年の4月より電子カルテ導入したが、この時システムダウンが問題になったが、そのシステムに対する信頼性はどこまであるのか。
A,2000年に導入したが、トラブルがあった時はやはり処置できないが、対処できる方法を模索中である。

4、その他
Q,職種別損益計算について
A,病院の中のコスト意識を持たせる職種別の計算はやっていない。それを行うコストが利益に結びつくか疑問であり、当初やっていたがあまり意味がないのでやめた。

*現在休止している産科について
*病院の予算編成について
*医療連携について
*委託業務について
*ジェネリックの使用について
*救急車の受け入れについて
*研修医について

以上調査項目が多岐にわたり、それぞれ懇切丁寧にお答えいただきました。
今後、津島市民病院に於きましても参考にさせていただくことも多数ありましたので、
本日の視察受け入れにつきまして、厚く御礼申し上げます。

対応いただきました坂出市職員並びに病院院長・職員(敬称略)
事務局:吉川 明人
坂出市民病院:砂川 正彦(院長)
病院事務局長:宮竹 光浩
病院庶務課長:木村 泰規
医局担当主任:林 正明