土曜日の夕方、
近所の雑木林でインターバル撮影をしているときに、スマホの潮時表アプリ「携帯潮汐」をにらんでいた。そもそも金曜の夜に今後のダンゴ計画を練って、
GENさん、
pawさんにメールしていた。そして、土曜の午後にGENさんから思いがけない返信があった。
「今晩も潮位40cmですがちょっと覗いてくる予定です」
えっ!? そうか、今晩か……。
「2月12日。中潮、最干潮午前1時33分、潮位41.2cm(新宿湾)」
ふむ。
今週は、何度か夢を見た。もちろん「
新兵器SNAKE-09」というファイバースコープが大活躍する夢だ。本屋のように本棚が列になった場所。腰程度の低い本棚で、3列か4列並んでいる。その周り、とくに角にわずかに潮だまりができていて、そこを新兵器でのぞくのだ。なぜ本棚なのか、夢はそういうものなので気にしないでいただきたい。場面が変わると、ちゃんとふつうの磯になったりもしたし。いずれにせよ何人かで楽しく生き物を観察してる。ダンゴウオの抱卵が発見できたわけではないが、新兵器とともに楽しそうなわたし。そんなにも舞い上がっているわたし。
行くか。行くしかないな。
GENさんから
「抱卵個体発見しましたよ~」なんてメールが来たらくやしいし(ここポイント)。
そもそも、ダンゴウオシーズン末期で、来週あたりが最後の観察になりそうだし、新兵器のテストとしても行かなきゃと(大義名分)。
さて、いつもの海。早く着きすぎて、磯に入る前にちょっと釣りでもと港でルアーを引くが、フックがジャケットにざっくり刺さり、にっちもさっちもいかなかったり、港のスロープでこけたりと、ままならない。当然、魚なんて釣れるわけもない。憮然として、そそくさと釣りを終了。この段階でなにか暗示されいるような気もする。。。
23時を過ぎた。GENさんは現れないのでひとりで磯へ。
最干潮で40cmという条件で磯観察をした記憶はない。さすがに潮が高い。新兵器の防水性能は連続30分までと明記されている。そのため、ここぞというとき以外は使わない。デジカメもウェストバックに入れ、写真を撮る気はまったくない。潮が高いと、ダンゴも分散するというか、こちらの意識も分散するせいか、いつものようには見つからない。
GENさん、登場。いつもの水脈筋で、1匹、2匹。腹パンなのかな? 水深が深めだし、岩の上やカジメに乗ったダンゴには用はない。抱卵だ。どこかの穴で大きな背びれをぴんと立てたオスが卵を守っているはずなのだ。潮だまりや水脈筋の側壁をたどるが、ここを新兵器攻めればいけそう!という場所もなく、改めて呆然とする。
穴…。いっぱいあるはずだが、ぜんぜんない。
矛盾するようだが、そういう感じ。オトメカンザシの穴かウニの穴か。はたまた岩の下とかオーバーハングの奧か。腰が痛い。中腰は腰にくる。新兵器もなかなかうまく扱えない。ファイバースコープのアームの長さは1m。狙ったところをうまくのぞけないし、小さな液晶画面で、右とか左とか、上とか下とか、うろうろするけど、うまく制御できない感じ。当然だが、まだ自分の手足になってないのだ。
時間だけが刻々と過ぎ、足下をちょろちょろするミミイカにも目もくれず、頑張るというかやはり全体的にはやはり呆然とした感じ。なにか根本的にまちがってないか。
ダイビングではすでに稚魚が観察されている。浅瀬ではそんな稚魚は気づいていない。気づいていないのか、いないのか?? 浅瀬はメスたちの餌場になってるだけじゃないのか? もしかして、潮下帯上部(つまり大潮最干潮の磯観察でぎりぎり)よりもずっと下で抱卵してるんじゃないか? 疑念が心を揺さぶる。
欠けていく月が雲の隙間から見え隠れする。深夜1時半過ぎ。寒さはまったく感じない。
「そろそろ上がりますか?」
「そうっすね…」
自然はそういうもので、釈然としないということじゃなく、うまくいかないということじゃなく、ただただそれが自然を見るということで、そこがおもしろいところ。そのおもしろさをどうおもしろがるか。
俺たちの意地。それはどこへいくのか?
意地(い-じ)
1 気だて。心根。根性。「―が悪い」
2 自分の思うことを無理に押し通そうとする心。「―を通す」「―を折る」
3 物をむやみにほしがる気持ち。特に、食べ物に執着する心。「―が汚い」「食い―」
(goo辞書より)
だいたい悪い意味じゃん!(笑)。妻は「邪念があると生き物とのラッキーな出会いはない」と断言。ダメじゃん。
新兵器で撮影した画像・動画はお見せできるものはありません。デジカメでもほとんど撮影しませんでした。うまくいかないなあ。あげくにはじめて見たタカラガイの貝殻もどこかで落としちゃうし。GENさんも「ずるっ、バシャ!」とこけて水没していたし(音を聞き逃しませんでした)。
来週、ラストチャンス。久しぶりにpawさん、koucha師匠親子も参戦予定。熱い冬が終わります。
■2012年2月12日のウミウシとか
タツナミガイ(けっこう大きいのは死にそう)
アメフラシ
ミドリアメフラシ
ウミフクロウ
ミスガイ
アオウミウシ(寒いせいか岩に埋まるようにしていた)
アカエラウミウシ
ヤマトウミウシ
ネコジタウミウシ(GENさんが「いますね~」と言っていた)
その他
ミミイカ(写真も撮らなかった。前と同じ個体!?)
ウミユスリカ(少ない。というかほとんどいなかった。シーズンが終わった?)