晴耕雨読とか

本読んだり、いきものを見たり。でも、ほんとうは、ずっと仕事してます。

多摩丘陵のタヌキの論文を手に入れました。

2013年01月30日 | 生き物
生きものの調べ物があるときに、
たまにJST(独立行政法人科学技術振興機構)の
J-GLOBALで検索して論文複写サービスを使います。
なかなか便利です。

以前はダンゴウオの産卵生態についての論文もここを通じて購入しました。

今回は多摩丘陵のタヌキの論文を手に入れました。



題名=
多摩丘陵におけるホンドタヌキの
下層植生構造に対する環境選択制に関する研究

研究者=
園田陽一・倉本宣(明治大学農学部)

掲載資料=
環境システム研究論文集32

料金=
910円(税抜き)/A4サイズのコピー8枚/送料込み

ということで、中身は端的に言うと……
多摩丘陵の雑木林で、タヌキがどういう下層植生の場所を使っているかを、
タヌキに発信器をつけて調査したものです。

ちなみに下層植生の調査は、GIS(Geographic Information Systems)を活用して、
電子地図っぽいことでデータ解析したようです。

結果は、タヌキはアズマネザサが茂った場所で休息し、
林縁などの藪や林内で餌を採っていることが分かりました。

当然のようで、でも、なかなか興味深いですね。

雑木林の管理放棄地の昆虫相・クモ類の多様性は、管理地より高く、
斜面放棄地は冬季も種の多様性が減少しない…という報告もあり、
タヌキの採餌場所として価値が高いのでは…という推定もしています。

ほほう。やみくもにササを刈ることが、
タヌキにとってどうなのか? そういう話ですね。

おもしろい!

ついに発見!!…されたみたい。。。

2013年01月30日 | 
ついに、ついに三浦の磯でダンゴウオの抱卵が発見されました!

葉山のダイビングショップNANAさんたちの快挙です!

詳しくはこちら

ま、率直な気持ちを言えば、

くやしさ半分
うれしさ半分

という感じでございます。

自分の手で、いや目で、
最初に発見したかった…とも思います。

でも!

うれしいのも事実です。

次の大潮のタイミングで観察に行きます!
というか、自力で見つけるぞ!

フユシャク散歩2

2013年01月29日 | 生き物
月曜日の夜、雑木林に仕掛けたヒマワリの種をチェックに行って、
「異常なし!」ということで、すっかりしょぼんとしたわたしでしたが、
どうせなら雑木林を一周しようかと歩き始めたら、
なんと交尾中のフユシャクガを発見!!

この対象物に対する邪念のなさが勝因か!?









羽根の表と裏ではずいぶんと印象が変わりますね…。
以下の2つのサイトを参考にすると「シロフフユエダシャク」ではないかと思います。

一寸野虫さんの相模国の自然内のフユシャク図鑑(リンクがうまく貼れませんでした)
日本産フユシャク類WEB図鑑

 *

オスが何匹かぱたぱたしていましたが、
ライトをあてるとどうしても行動に影響が出ます(ダンゴウオと同じですね)。

わたしとしては、別に交尾が見たいわけではなく、
メスのフェロモンに集まるオスを見たいのです。
人間の目には見えないフェロモンが、
オスの行動によって可視化されるのが見たいのです。

なので、ほんとうはオスを追いかけたいのですが、
今回のような満月でもライトなしでは、それは難しいというのが実感です。
哺乳類のように赤いライトとか!?

なんか方法を考えたいところです。。。

 *

それにしてもこの雑木林には何種類のフユシャクガがいるんでしょうか?
これまでにつたない同定ではありますが発見したのは以下の種類です。


■フユシャク亜科
クロバネフユシャク
ウスバフユシャク
ウスモンフユシャク

■エダシャク亜科
シロフフユエダシャク
クロスジフユエダシャク

同定に自信はありませんが、すでに5種類も!
けっこういるなあ…。

引き続きフユシャク散歩も続けますかね。

アカネズミ調査開始!

2013年01月28日 | フクロウ
先日、takeさんのブログで、
フクロウの関する食性の論文が紹介されていました。

それによると、富士山麓の調査では、
フクロウの食べ物のほとんどがアカネズミやヒメネズミなどで、
この2種で食べ物の80%近くを占め、
1羽のフクロウが一年に食べるネズミの量は、
ヒメネズミの重量換算で1000匹以上だというのです。

ヒメネズミで1000匹だと、アカネズミでは500匹ということか……。
うちの近所の雑木林に棲むフクロウはどうなんだろう?

多摩地区の雑木林だと、たぶんアカネズミが基本かな?

それでも、そもそもうちの近所の雑木林にも、
そんなにアカネズミがいるのだろうか?
まぁ、クマネズミやハツカネズミも含めて考えるとして、
どれぐらいのネズミ類がいるんだろう?

いや、クマネズミのような樹上をうまく使うネズミはフクロウの餌としては難しいのかな?
あとは、うちの裏にはドブネズミはいっぱいいますがね…。

そもそもアズマネザサがはびこった雑木林で、フクロウがネズミを捕獲できるんだろうか?

孤立した雑木林で、フクロウの個体群が維持されるためには、
じつは、その孤立した林から林へ移動して、広域でネズミを捕っているのかもしれません。

根拠もなく、それぞれの雑木林にフクロウが繁殖しているんじゃないかと思っていましたが、
いくつかの雑木林が束(?)になって、
フクロウを維持している可能性が高いようにも思い始めました。



多摩区の周辺は、西の稲城市に大きな雑木林があり、
多摩川の河岸段丘に沿って生田緑地まで、点々と雑木林が残っています。
フクロウは、これらを点ではなく面として活用して、
個体群を維持しているんじゃないだろうか?

そもそも多摩丘陵全体で何個体ぐらいいるんだろう…。

うーむ。。。

 *

フクロウの存在は明確なのですが、
その存在を支えるネズミがどれぐらいいるんだろう?

多摩丘陵の野ネズミに関しては、孤立化した雑木林に生息するアカネズミの遺伝的多様性…みたいな研究を、
明治大学の倉本先生の研究室がやっておられたのを哺乳類学会で見た気がします。

実際、生息状況はどうなんだろうなあ…。

こういうとき学生のころなら、どこからともなくシャーマントラップが降ってきて、
適当に仕掛けて捕獲して調査しちゃうところですが、
最近はネズミの捕獲も許可が必要になったので、そういうわけにもいかなくなりました。

さて。

身近なところから始めますか。
シンプルにいきます。ヒマワリ作戦です。
まずは生息しているかどうかのチェックです。



近所の雑木林には低い崖があって、その下を観察するといくつか穴がありました。
ここにはいそうですね。日曜日の夕方の16時ぐらいにヒマワリの種をセットしました。









過度な餌付けにならないように5粒ずつ置きました。
で、21時ぐらいにちょっと見に行きました。



5カ所のうち、1カ所で種がありませんでした。
殻とかはなく、もしかしたら鳥が持っていったのかもしれません。

ふむ。。。。

ある程度めどが立ったらセンサーカメラを仕掛けますか。




月がきれいでした。





超小型猛禽とキクイタダキ!

2013年01月27日 | 生き物
日曜日、穏やかな日和だったので、近所の雑木林に散歩に行きました。



シロハラの後ろ姿。

畑の方をまわって、カシラダカとかホオジロとかを見て、
「フィフィ…」と鳴く鳥の姿を探したりしました。
このフィフィと鳴く鳥は、まだ何者かは不明です。
ウソのフィフィよりもちょっと音程が低いような気がして、
なにか別の鳥だと思っています。
なかなか姿が見えません。。。

斜面を登り小さな神社のところでスーッと後から飛んできて、
目の前の木にとまった鳥がいました。
シロハラかな? と思って、念のため双眼鏡をのぞいてみると、なんとタカ!

後ろ姿で5秒ぐらい見たら、どこかへ飛んでいってしまいました。

黄色くてちょっと長い足、グレーの背中と尾羽。
なにより小さくてツグミの類よりちょっと大きいぐらいに見えました。

うーん、ツミかハイタカでしょうか?
図鑑を見ると、ツミの方がわずか小さいですね。
そもそもハイタカとツミの識別はなかなか難易度が高そう。
さすがに後ろ姿だけでは識別はできるはずはなく……。

でも、まぁ、これはいいものを見ました!
たまに上空を通過する猛禽を見たことがありましたが、
林の中で見たのははじめてです。

 *

その後、藪の中でじっとしているとカラ類の混群に囲まれました。
頭の真上でコゲラがコンコン木を叩いています。
スギの葉っぱにカラ類が……あれっ? まさか…。

やっぱりキクイタダキです~!!

今回はちゃんと顔というか頭も見ましたよ!
たしかにキクイタダキです!当然、写真は撮れませんでしたが。。。



ずっとコンコンやっていたコゲラ。

いやー、予断を持たず、姿を見かけたら一応双眼鏡でのぞくことを習慣づけた方がいいですね。
この時期は、いろんな鳥が下りてきているようです。

北風に負けた…

2013年01月25日 | 
きぃた~風にい、負けた~ ♪
いいえ~、世間に負けたあ~ ♫

あれ? 「寂しさ」に負けたんだっけ?
いや、「貧しさに負けた」ですね。

通じませんか? 通じませんね。
検索したら「昭和枯れすすき」という歌謡曲ですね。

どうでもいいですね。
でも、この歌詞が頭の中でリフレインされていました。

今晩の海は、北風が強くて強くて、寒くて寒くて、波があってあって……。
そもそも潮位が数字より低くなくて、あんまり潮が引きませんでしたね。
海水も濁りまくっていたし……。

ふうぅぅ。心も、体も芯まで冷えて帰ってきました。。。

報告することは何もありません。
写真もなしです。ワレカラいたけどね。

北風に負けたのか、心の貧しさに負けたのか。
見上げた月が、妙にきれいでした。



★翌朝の追記
ウミユスリカはほとんどいませんでした。
風のせいか、繁殖期が終わったのか?

ついにタツナミガイの殻を発見!

2013年01月24日 | 
この時期、浜にはタツナミガイの死体がゴロゴロ打ち上がっています。
焼けてつぶれた野球のボール(軟式球)か、焦げたスポンジのような感じです。
いずれにしても黒い塊です。

以前から、タツナミガイの体に残っている「巻き貝の記憶」が欲しいと思っていました。
生きているときは見えませんが、死体になると背中に殻が見えるのです。

ウミウシの仲間が体の中に残している殻…。

でも、死体は堅くて、切って取り出す勇気もなく、
死体を持ちかえって腐らせるのもいやだし、殻だけ落ちてないかと思っていました。

が、波打ち際で扁平な貝殻を発見!
これはそうかも!?

帰ってきて検索すると、、、ビンゴです~!
やはりこれはタツナミガイの殻のようです!!





長さ33mm。
くるりと巻きかけた感じが、「巻き貝」としてのタツナミガイの記憶なのですね。



2層構造なのか、薄茶色の皮膜がかかっているようです。

新年早々いいもの拾いました。









ビンズイとタヒバリ

2013年01月23日 | 生き物
先日、三浦半島の砂浜で見かけた鳥ですが、
ビンズイ?としましたが、友人のowlさんからコメントを戴きまして…。

「タヒバリかビンズイだとは思いますが、写真では決め手が・・・」と。

ま、やんわりとタヒバリじゃね?といっていただいたような気もします。

そこで、コメントでも書きましたが、
手元にあった『カラー名鑑日本の野鳥』(山と渓谷社)を開いて
ちゃんと読んでみました。

ビンズイとタヒバリの識別ポイントのひとつに、
頬の後ろにある白い斑紋の有無のようです。

白くて丸い斑紋あり→ビンズイ
なし→タヒバリ

ということで、元画像をちゃんと見てみました。




ピントは合ってないし、拡大しすぎでひどいもんですが……。
図鑑を見ると、ビンズイはマユの白のあとに、ちょっと離れたところに白い斑紋があります。
これは…、斑紋はないですね!

これは…タヒバリですね!

こうして、わたしのシワのうすい脳みそにも、
ビンズイとタヒバリの識別点が深く刻まれました!

owlさん、サンキューです。

ヒトデの足

2013年01月23日 | 
ワレカラ探索隊は、砂浜を歩いて磯に行ったのですが、
途中の浜でビーチコーミングをしました。

(表)
(裏)

複雑な造形。
意外と堅い体。
ワニの尻尾?

明らかにこれですね。



ヒトデの体はちゃんと乾燥すると、骨格に近いような感じですね。

ビンズイ?

2013年01月22日 | 生き物
日曜日のワレカラ探索で砂浜を少し歩いたのですが、
見慣れない鳥を発見しました。

セキレイっぽくて、ツグミより小さくて…。






ああ、やっぱりミラーレス一眼と望遠レンズが欲しいな…。

これはビンズイでしょうか???
夏鳥のイメージがあって、山で見たことがありますが、冬はこんなところにいるの?

ふうむ。


ワレカラ探索隊出動! その2

2013年01月21日 | 
ということで日曜日に三浦半島に行きました。
穏やかで暖かい日でした。

ふだん通っているダンゴの磯は、県の天然記念物のため生物の採集ができません。
なので、適当に遊べる小磯を探しました。



思いついてふらっと行ったので、満潮の時間で、
潮だまりをのぞいても、ワレカラは見つかりません。



でも、ブドウガイはいました。



しかし、今回はいつもと観察手法がちがいます。
ニコンのファーブルという実体顕微鏡をもってきたのです。

で、海藻とかをちょっとちぎって小瓶に入れて、じっくり観察して、
ファーブルでのぞく…という手法です。

するとぜんぜん見えなかったのに、
ヨコエビやらいろいろ小動物が入っていて、その中にワレカラも!!



20mmぐらいの大きいヤツ!!
第1触覚が超長い。



頭の後にトゲがある!!

ファーブルでのぞきます。
コンデジを接眼レンズに押し当てて撮影しました。



かっこいい頭。



第2咬脚といういわゆる「ハサミ」がかっこいい。
ここに細毛はないな…。これは識別点です。



2対並んだ鰓は、細長い感じ。

これは…トゲワレカラですね!

トゲワレカラ
Caprella scaura
内湾域の海藻類のほか、定置網やロープなどの
海洋構造物にも付着するそうです。
これも3亜種に分ける場合もあるそうですが、
『日本海岸動物図鑑Ⅱ』(保育社)では、
「現在のところ,はっきりした区別はつけがたい.
亜種の妥当性については,今後,再検討の必要がある.」
としています。

先週に引き続き、ワレカラの2種類目を発見です!
いやー、、、、楽しいかも。

それにしても、この時期の昼の磯は寂しいですね。
満潮というタイミングもあるかもしれませんが、
夜の磯の賑やかさと比べると、なんかシーンとしていました。

ワレカラ探索隊出動! その1

2013年01月20日 | 
ワレカラ類を分類的に見ると以下のようになります。

節足動物門/甲殻亜門/軟甲綱/真軟甲亜綱/フクロエビ上目/端脚目/
ワレカラ亜目/ワレカラ下目/ワレカラ科

ふう。。。あんまり亜目とか下目とかってなじみがありませんね。

ワレカラ科は、世界では46属247種類が報告され、
日本では18属87種類が確認されているそうです。
なかでもワレカラ属が最大のグループのようです。

われらが『原色検索 日本海岸動物図鑑Ⅱ』(保育社/西村三郎編著)には、
ワレカラ科の中から「浅海域に比較的多く出現する」以下の3属が掲載されています。

イクビワレカラ属
ヒメワレカラ属
ワレカラ属

イクビワレカラ属は日本2種、ヒメワレカラ属はそもそも1属1種。
ワレカラ属は、やはり最大で日本近海に68種類いるそうです。

本書では、このワレカラ属のうち、浅海域に生息する代表的な17種類が掲載されています。
ただし、研究もあまり進んでいないので今後分類が再検討する必要があるそうです。

さて、先日の夜のタイドプールにいたワレカラは…。

撮影した写真を子細に観察した結果、おそらくマルエラワレカラだと思います。

漢字で書くと丸鰓割殻。



お腹に付いた鰓が丸いのが特徴。

マルエラワレカラ
Caprella penantis
北海道から九州まで広く分布しており、
今後、数種に分けられる可能性があるとのこと。
本書によると、私たちが観察したのは、内湾に多く、
体節が細い「Sタイプ」と区別されています。

マルエラワレカラSタイプ……。すごいなSタイプ。
ちなみにもうひとつは外洋に面したガラモ場に多く、
体節が頑強な「Rタイプ」だそうです。

頑強って、意外と文語的な表現で分類が語られていますね…。
図を見ると「太い」という感じです。

ふむ。早速海に行ってみましょう。

(つづく)




キクイタダキ発見!

2013年01月20日 | 生き物
土曜日は近所の雑木林の作業日で、朝9時に林に行きました。
そうしたら、何本か植えられているスギ・ヒノキの木立に、
メジロよりちょっと小さい印象の小鳥が2羽いました。

むむっ、もしかしてキクイタダキ!?

双眼鏡がなかったので自信はなかったのですが、
コンデジを望遠いっぱいにして撮影しました。





家に帰って、拡大してみました。
まったく撮れてませんが、ま、キクイタダキですね!

いやー、近所にこんなのがいるなんて。
今年は山から下りてくる(?)冬鳥が多いと聞きますが、
これもそうなんでしょうね。



フユシャク散歩

2013年01月20日 | 生き物
昨日の夕食はカレーで、お腹いっぱい食べてしまったので、
腹ごなしをかねて懐中電灯を持って雑木林に行きました。

冬尺蛾探しです。

1月13日にウスモンフユシャクとおぼしき冬尺蛾が玄関に来ていたのですが、
その後、大雪が降って探しに行けず、結局、お腹いっぱいの昨晩に行ったわけです。

結果、木にとまっていたなんかのオスと、パタパタ飛んでいる1頭を発見。
残念ながら、メスとか交尾中のフユシャクは見つかりませんでした。。。



うーん、、、ウスモン??

家に帰ってくると、玄関の屋根から氷のような雪がにょーんと伸びていました。



夕方落としたはずなんですけど、屋根に乗った雪がまだまだ解けてずり落ちてくるようです。
ほぼ氷なんで、落ちてきたら怖いですね。